発達障がい・こころのやまい

専門外ながら相談を受けることがあり、その際に読んだ本や集めた情報を書き留めました(本棚9)。

双極性障害I型とII型の違いをMRIで分析

2016-01-19 06:07:31 | 
 双極性障害は躁状態とうつ状態のサイクルを反復する病気です。
 双極障害はⅠ型のⅡ型に分けられ、入院が必要になる強い躁状態をきたす場合はⅠ型、日常生活に支障のない程度の躁状態にとどまる場合はⅡ型と診断されます。

 紹介する論文は、双極性障害のⅠ型とⅡ型をMRIによる脳のマクロ的構造を評価して鑑別する試みです。
 ポイントは、以下の通り;

・双極性Ⅰ型障害では前頭部、側頭部および内側後頭部で、皮質容積・皮質厚・皮質表面積の低下を認めた。
・双極Ⅱ型障害では前頭部のみで、皮質容積・皮質厚・皮質表面積の低下を認めた。


 変化の範囲が異なるようですね。

■ 双極性障害I型とII型、その違いを分析
提供元:ケアネット、公開日:2016/01/19
□ 双極性障害I型とII型、その違いを分析のイメージ
 スウェーデン・カロリンスカ研究所のChristoph Abe氏らは、双極性障害I型(BD I)およびII型(BD II)患者について、皮質容積・皮質厚・皮質表面積を同時に分析するコホート研究を行い、診断に関連した神経生物学的な違いを明らかにした。著者らは、「今回の結果から、BD IとBD IIの症状の違いを説明することができ、診断のバイオマーカーとなりうる可能性を示している」と結論している。ただし、本検討結果で示された違いについては、「疾患の進行性の変化によって、また発症前の状態によっても説明でき、社会・環境・遺伝的な未知の要因に影響された可能性もある」と研究の限界にも言及している。Journal of Psychiatry Neuroscience誌オンライン版2015年12月7日号の掲載報告。

 BDは、主に躁病、軽躁病、うつ病の発症によって特徴付けられる一般的な慢性精神障害で、認知機能障害あるいは脳構造の異常(健常者に比し前頭部の皮質容積が小さいなど)と関連している。I型とII型では症状や重症度が異なるが、これまでの研究はBD Iに焦点が当てられていた。研究グループは、BD I患者81例、BD II患者59例および健康な対照群85例を対象に、皮質容積、皮質厚、皮質表面積をMRIで測定し、重要な交絡因子に関して調整し解析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・BD患者の前頭部、側頭部および内側後頭部で、皮質容積・皮質厚・皮質表面積の異常が認められた。
・内側後頭部の異常にはリチウムと抗てんかん薬の使用が影響を及ぼしていた。
・BD I患者およびBD II患者では共に一般的な皮質異常(健常者と比較し前頭部における皮質容積・皮質厚・皮質表面積が低下)が認められた。
・側頭部および内側後頭部の異常はBD I患者でのみ認められ、皮質容積および皮質厚が異常に低かった。

<原著論文>
Abe C. et al. J Psychiatry Neurosci. 2015 Dec 7;41:150093.

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