双極性障害は躁状態とうつ状態を反復する病気です。
躁状態では周囲が困り、
うつ状態では本人がつらい。
しかしうつ状態に抗うつ薬を使用すると、
“躁転”といって躁状態を誘導し、
大変なことになるので使用してはいけない、
という暗黙のルールがあります。
でも双極性障害のうつ状態に特化した薬剤はなく、
患者さんはつらい状態を我慢してやり過ごすことになります。
気分障害(うつ病、双極性障害)には不安症を合併しやすいといわれています。
この不安症に有効な薬は、やはり抗うつ薬です。
どうにもこうにも、抗うつ薬を避けて通れないのが現状のようです。
関連書籍を読むと、
「双極性障害に抗うつ薬を使用する場合は、単独ではなく気分安定薬(リチウム)を基本薬として投与すべし」
との記載が目にとまります。
さて、実際にはどの程度抗うつ薬が処方されているのでしょう。
以下の報告では、
双極性障害I:32.1%
双極性障害II:46.4%
と1/3〜1/2の患者さんに処方されている実態が判明しました。
やはり抗うつ薬を使わないわけには行かないようですね。
□ 日本人双極性障害外来患者に対する処方パターン~I型とII型の違い
(ケアネット:2022/01/25)より抜粋;
・・・
2017年に実施された日本の精神科クリニックにおける双極性障害の多施設治療調査(MUSUBI研究)に参加したBD-IまたはBD-IIの外来患者2,774例を対象に、現在の精神状態、治療薬およびその他の要因に関するデータを収集した。
・気分安定薬、抗精神病薬、抗うつ薬の使用率に関して、有意な差が認められた。
・BD-I患者では、気分安定薬(BD-I:86.0%、BD-II:80.8%、p<0.001)と抗精神病薬(BD-I:61.5%、BD-II:47.8%、p<0.001)の使用率が高く、BD-II患者では抗うつ薬(BD-I:32.1%、BD-II:46.4%、p<0.001)の使用率が高かった。
・BD-I、BD-II患者ともに最も多く使用されていた抗精神病薬はアリピプラゾール(エビリファイ®)、気分安定薬はリチウム(リーマス®)であった。
・最も多く使用されていた抗うつ薬は、BD-I患者ではエスシタロプラム(レクサプロ®)、BD-II患者ではデュロキセチン(サインバルタ®)であった。
・BD患者に最も使用されていた抗うつ薬のクラスは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であった。
・併用療法に関しては、抗うつ薬を含む併用療法がBD-II患者で用いられることが多かった。
著者らは「BD-IとBD-II患者では向精神薬の使用状況に違いが認められた。日本では、BD外来患者に対し気分安定薬や抗精神病薬が使用されており、一般的なガイドラインに準じていた。抗うつ薬の使用効果や躁病エピソードのリスクに関するエビデンスは十分ではなく、さらなるエビデンスの収集が必要とされる」としている。
2017年に実施された日本の精神科クリニックにおける双極性障害の多施設治療調査(MUSUBI研究)に参加したBD-IまたはBD-IIの外来患者2,774例を対象に、現在の精神状態、治療薬およびその他の要因に関するデータを収集した。
・気分安定薬、抗精神病薬、抗うつ薬の使用率に関して、有意な差が認められた。
・BD-I患者では、気分安定薬(BD-I:86.0%、BD-II:80.8%、p<0.001)と抗精神病薬(BD-I:61.5%、BD-II:47.8%、p<0.001)の使用率が高く、BD-II患者では抗うつ薬(BD-I:32.1%、BD-II:46.4%、p<0.001)の使用率が高かった。
・BD-I、BD-II患者ともに最も多く使用されていた抗精神病薬はアリピプラゾール(エビリファイ®)、気分安定薬はリチウム(リーマス®)であった。
・最も多く使用されていた抗うつ薬は、BD-I患者ではエスシタロプラム(レクサプロ®)、BD-II患者ではデュロキセチン(サインバルタ®)であった。
・BD患者に最も使用されていた抗うつ薬のクラスは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であった。
・併用療法に関しては、抗うつ薬を含む併用療法がBD-II患者で用いられることが多かった。
著者らは「BD-IとBD-II患者では向精神薬の使用状況に違いが認められた。日本では、BD外来患者に対し気分安定薬や抗精神病薬が使用されており、一般的なガイドラインに準じていた。抗うつ薬の使用効果や躁病エピソードのリスクに関するエビデンスは十分ではなく、さらなるエビデンスの収集が必要とされる」としている。
<原著論文>