TCR SLモデルについての考察（2）

　GIANTがALLUXフレームの軽量化に打って出たのは、一見CANNONDALEを意識しての戦略のように見えます。これまで「世界最軽量アルミフレーム」といえばCANNONDALEのCAADでした。そのCANNONDALEが今年発表したのが1130ｇという超軽量のCAAD10だったのですが、GIANTはそれをあっさり抜いてしまったのです。勿論、ALLUX SL”SUPER LIGHT WEIGHT TECNOLOGY”フレームはまだ市場に出ていないので、耐久性や乗り心地といった不安要因も少なくないと思います。
　ただ、対CANNONDALEなら「何故今年なのか？」という点が気になるところです。というのも、CANNONDALEはCAAD4以降30年もの長きにわたりCAAD8、CAAD9、CAAD10とアルミフレームの軽量化と乗り心地を常に意識した戦略で自社のアルミフレームを純粋に進化させて来ているのに対し、GIANTは2005年にALLUX SLにカーボンバックを搭載したTCR HYBRIDを、2006年にそれをALLIANCEと改称し、2010年までカーボンとのHYBRID化によって軽量化を目指して来たという経緯があり、少なくても2010年モデルまではGIANTのアルミフレームに対する拘りが感じられなかったからからなのです。
　それが2011年モデルではTCRのALLUX SLフレームのデザインを一新し、ALLIANCE以上のモデルに搭載していたパワーコアBBを惜しげもなく採用したばかりか、ついには1100ｇという超軽量化にまで成功しているのです。これはGIANTがALLIACEの発売停止によりカーボンとアルミの2極化構造を迫られた結果なのかもしれませんが、この短期間に次々と発表されるアルミフレームの進化には正直驚きを感じています。これはアルミの高い形成技術の積み重ねがなければとても出きることではないでしょう。つまりGIANTには元々アルミフレームをここまで軽くする技術はあったが、ALLIANCEシリーズの評判が高かった為、ほぼ同じ価格帯で純粋にアルミだけのフレームをラインナップさせる必要がなかったと考えるのが自然なのかもしれません。
　昨年のTCR ALLIANCE1と比べると価格にして1万安く、重さは600ｇも軽いTCR SL2。TCR ALLIANCE SEと同じ重さで価格が2万円安くなったTCR COMPOSITE SE。アルミとカーボンのHYBRIDだったALLIANCEの製造コスト削減で再び分化したら、カーボンの側にCOMPSITEモデルがアルミ側にTCR SLモデルができちゃった・・・というのが実情ではないかと思っているのは私だけでしょうか・・・？
　SL1なら２万円高でも迷わずTCR ADVANCED SEを選びます。SL2の場合は流石に300ｇ軽いTCR COMPOSITE SEとどちら？と問われると難しいものがありますが、同じアルミフレームのCAAD10 5やTCR1との比較ならSL2は非常に高いコストパフォーマンスを発揮しているといえるでしょう。
　TCR SLシリーズはコストパフォーマンスの非常に高い完成車だと思いますが、フレームを見る限りTCR1やTCR2のようなダウンチューブの太さがありませんから、パワーコアBB搭載ではないかもしれません・・・フレーム剛性や乗り心地がどうかという問題も残されていますので、もう少し動向を見る必要があるかもしれません。ただ、1.5ｋｇ程度の軽量化なら自分の身体をシェイプアップすることで対応できると信じて、明日にでもTCR2を予約することに決めようと思っています。