TCR SLモデルについての考察（1）

　TCR2購入直前の身ではありますが、どうしても気になるのが、「世界最軽量アルミフレーム」をうたい文句にこの春限定発売されるGIANTのTCR SLモデルです。TCR2を納得して購入する為にもTCR SLモデル、特にTCR SL2について考えてみたいと思います。
　「世界最軽量」という表現が適切かどうかは別にして、これまでアルミフレームの完成車で最も軽いと見られているCANNONDALEのCAAD10のフレームより30ｇ軽量化されていることは間違いありません。フレームベースではわずか30ｇなのですが、同じ105搭載のCAAD 5の総重量と比べるとTCR SL2は完成車ベースで300ｇという大きな軽量化に成功していることは注目に値すと思います。1100ｇという重量はフレームベースでGIANTのADVANCEDと比べ50ｇ、最上級カーボンADVANCED SLとでも85ｇしか違わないという軽さなのです。
　TCR SL2の場合、コンポが同じFULL 105のTCR1との車重比較では、何と1ｋｇも軽いことになります。100ｇの軽量化に数万円という自転車界の常識で考えると、わずか３万円で1ｋｇの軽量化というのは破格です。フレームベースで200ｇ。ホイールとタイヤで500ｇ。ハンドルバーとシートポストをCONNECT SLにすることで数10ｇの軽量化になります。
　TCRは1でも2でもフロントフォークはADVANCEDモデルと同じ”Advanced-Grade Composite， Aluminum Over Drive(1-1/8”-1-1/4”)コラム ”が採用されていますが、TCR SLシリーズにはCOMPOSITEモデルと同じ”GIANT Composite， Full Composite Over Drive(1-1/8”-1-1/4”)コラム ”が採用されています。フロントフォークの重量は300ｇから400ｇ程度のものですから、そんなに大きな重量差にはならないと思います。
　残りの200数10ｇはおそらくペダル分だと思います。7.1ｋｇ、7.9ｋｇという車重はCOMPOSITEモデル同様にペダル抜きの重量でしょう。TCRシリーズで1と2にだけ”Aluminum CAGE”のペダルが付いていますので、正確に重量を比較する場合、問題になるのはこのペダルの重さだと思います。廉価版のアルミペダルの重さはペアで300ｇを超えることが少なくないのですから・・・
　そもそもALLUX SLやADVANCED SLの”SL”は”SUPER LIGHT”の略称だったはずです。昨年のSCR1はALLUXですが、今年のTCR2はALLUX SLになり使用コンポーネントなどがほぼ同じで総重量で200ｇ軽くなっているのです。それがALLUX SL”SUPER LIGHT WEIGHT TECNOLOGY”では究極の1100ｇとなり、TCRのALLUX SLに比べ200ｇ、SCRのALLUXとなら400ｇ程度軽量化されたフレームということになる訳です。
　同じGIANTでコンポとホイールが同じTCR ADVANCED SEとTCR SL1との比較では、フレームベースでは50ｇ、完成車ベースだと200ｇの差があります。当然、フルカーボンのTCR ADVANCED SEの方が200ｇ軽いことになるのですが、これはおそらくシートポストとフォークの違いによるものではないかと見ています。にしてもアルミとカーボンの価格差が２万円ということは考えられないのですが・・・
　一方、同じ105のSL2とTCR ADVANCED3は7.9ｋｇと完成車ベースで車重は同じです。というよりもTCR ADVANCED3はXS(430mm)サイズなのに対し、SL2はM(500mm)サイズでこの重さなのです。しかも、価格はTCR ADVANCED3の方が８万円高いことになります。ホイールが同じなら２万円の差が、ホイールが変わることで８万円の差になるということはDT SWISS R1800は相当高価なホイールということになってしまいます。実際、そんなことはあり得ないので、COMPOSITEシリーズでもADVANCEDシリーズでもSRAM搭載のSEモデルは破格の安さだということなのでしょう。