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トラック専用バイクを考える(2)

2024-08-17 10:24:39 | ロードバイクの科学
 オランダはずっと自国ブランドのKOGAのバイクを使用しています。TEE TEE TRACKは2015年にオランダ人選手のトーマス デッケル選手がアワーレコードへ挑戦したバイクなのです。マイナーチェンジやパーツ類の進化はありますが、基本設計は大きく変わっていません。今年のパリオリンピックからはチェーンを日本の大同工業製にしているようですが、日本チームでは以前から使用していたものです。

 これは個人的な意見ですが、走行距離の短いトラックバイクはロードバイクに比べ、軽量化やエアロ効果が期待できないのではないかということです。確かにロードレースに比べ一瞬のスピードは上ですが、それはコンマ数秒という世界なので、最後はエアロ性能よりパワーがものをいう世界だと思います。歯数の大きいギアをパワーで踏み込むイメージが強いのです。

 日本をはじめイギリスやイタリアは最新のバイクを投入する傾向にあるようですが、最後はオランダ人のパワーの前に屈している印象なのです。そもそも日本の競輪バイクはフレームがカーボンですらないのです。普段はクロモリの丸パイプのバイクで戦っている選手にオリンピック前に最新バイクを渡したとしても、ポジション調整に時間を取られる一方で、どれほどの効果があるのか甚だ疑問です。

 アメリカのバイクメーカーFELTはトラックバイクの学割を実施し、トラック競技の普及にも力を入れているようです。アメリカにはTREKやSPECIALIZEDという強力な自転車メーカーがありますので、FELTはトライアスロンバイクやトラック競技者向けのバイクに力を入れているのではないでしょうか。日本ではドイツのイメージが強いFELTですが、創業者はアメリカ人で本社は創業以来ずっとカリフォルニア州に置かれているのです。
 日本には自転車のトラック競技に関しては競輪というプロの舞台があり、競技施設も整っています。育成に関しても競輪養成所がありますので、才能ある選手を発見できる機会もあり、中野慎詞選手や太田海也選手など今回のオリンピック代表選手は日本競輪選手養成所出身です。日本の競輪はほぼワンメイクのピストバイクですので、トラック競技で使うエアロ効果が高い軽量なカーボンフレームやハンドルバー、ディスクホイールにバトンホイールとロードレースのTTバイクに近い設計になっています。

 TTバイクとの最大の違いはブレーキと変速機が無いこととくらいでしょう。ハンドル幅もUCIのロードバイクの規制より幅が狭いので、バイクコントロールが難しいはずです。あくまでも室内のトラックで使用することを前提としたバイクなのです。日本ではピストバイクが流行した時期がありましたが、競技用のピストバイクにはブレーキが付いておらず、クランクを逆回転させてスピードを落とす設計なので、そのままでは公道を走れません。

 PinalleroやFELT等はトラックバイクのノウハウをTTバイクに活かす格好で開発資金を回収していますが、TMCは果たしてこの開発費用を回収することができるのでしょうか?東レはカーボン素材に関しては世界的なメーカーなので、東レの宣伝戦略だったのかもしれません。個人的にはブリジストンに開発費を出したほうが将来のためになっていたように思います。
 




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