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ロードバイクの空気抵抗を考える(8)

2024-08-31 16:20:26 | ロードバイクの科学
 未だ結論には至ってはいないのですが、ここまでの走りではエアロフレームとエアロハンドル効果が一番大きいような気がしています。特に内向きのブラケットポジションで前三角の面積を小さくするエアロフォームの効果が一番大きいように感じています。

 体腔が600mmの人がハンドル幅400mmのバイクに乗った場合、前三角の表面積は12000㎟ですが、ハンドル幅が380mmなら11400㎟で表面積が600㎟減少することになります。この表面積の減少は身長が高く体腔が高く成れば成るほど大きな数値になります。どの程度空気抵抗の減少になるのか正確な数値は分かりませんが、確実に空気抵抗を減らす効果が期待できるはずなのです。
 典型的なのがレムコ・エヴェネプールでしょう。身長が171cmと小柄な選手ですが、昨年の個人TTの世界選手権を征し、今年はパリオリンピックでもTTとロードレースの2つの金メダルを獲得しているのです。

 ロードレースで小柄な選手は登りで有利とされて来ましたが、どうやらタイムトライアルでも有利なのかもしれないのです。トラック競技では強いとされる大柄な選手でも屋外のタイムトライアルでは小柄なエヴェネプールには敵わなかったのですから。
 これは屋内のトラックと違い屋外のロードでは細かなアップダウンと風の影響があることが大きく影響しているのだと思います。向かい風は明らかに空気抵抗を増しますし、登りでは小柄で軽量な選手の方がパワーが少なくてすむので有利なのです。ただ、エヴェネプールの場合、登りではポガチャルやヴィンゲゴーには敵わないのですが、今年のツールのように平坦基調のTTだと彼らにも先着してしまうのです。

 小柄なエヴェネプールの場合、まず体腔が低く肩幅も狭いので大柄な選手に比べ、前衛投影面積が小さいことは間違いありません。TTバイクは空気抵抗を削減するための究極のバイクなのですが、大柄な選手はバイクのサイズも大きくなりますし、体腔が高く肩幅も広くなりますから、身体の空気抵抗も小柄な選手より大きくなることは間違いありません。
 DHバーなどでポジションは前傾が深く、ノーマルバイクより前衛投影面積が小さくなるので空気抵抗は少なくなりますが、選手の体形はどうしようもないのです。つまり、大柄な選手はより大きなパワーが求められることになります。短時間のトラック競技やゴール前スプリントでは大柄でパワーのある選手が有利とされて来ましたが、近年では小柄なスプリンターも増えているのが実情なのです。これは前衛投影面積の少なさが空気抵抗を軽減し、ロードレースでは有利に働いていることの証ではないでしょうか?
 

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