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登りのスタミナと我慢強さでツールを連覇していたヴィンゲゴーを力でねじ伏せたのがポガチャルでした。ポガチャルは乳酸除去能力が高い選手と言われています。優れたロードレーサーはこの能力が高いのが当たり前の世界ですが、ポガチャルは1割程度高いと言われています。ヴィンゲゴーもこの能力が高い選手のひとりでしょう。
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乳酸は且つては疲労物質と言われていましたが、ロードレース界では既に乳酸は代謝の過程でできるエネルギー源であり、生成された筋肉内で使われたり血液に乗って他の必要とされる細胞で使われたりすることが知られているのです。長時間高い出力が求められるロードレースでは乳酸が溜まって脚が動かないとレースはそこで終わってしまいます。ですから、選手たちはパワーメーターなどを使い乳酸閾値を大きく超えない走りを心掛けているのです。
そのパワーメーターがスタート直前のチェーントラブルで使えなかったレムコの世界選手権個人TTの連覇は流石としか言いようがないのですが、時間としては1時間に満たないレースだったのでFTPの限界でも走り切れたのでしょう。4時間を超えるロードレースではそうはいかないはずです。
ポガチャルが高いパワーウェイトレシオで飛び出すと、それについて行った選手がバテテしまう。ポガチャルは一旦乳酸閾値を超えても、他の選手より早く回復するので徐々に後続と差が開いて行くことになる訳です。
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一方のレムコは小柄な身体に備わった天性の強力なパワーを理想的なフォームで空気抵抗を軽減する走りで、徐々に後続との差を広げて行くタイプの選手。高速巡行能力が非常に高い選手で、個人TTでは無敵状態なのです。身長171cmの選手が身長が190cmを越える大柄な選手と同じギアを回せるのは、パワーは勿論ですが、レムコの空力効果の高いフォームによるところが大きいと思っています。エアロポジションに近いフォームで走らせたらレムコには誰も適わないでしょう。
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いよいよそのポガチャルとレムコの世界選手権での対決が始まります。女子のレースはベルギーのロッテ・コペッキーが連覇をしていますが、果たして昨年の覇者のファンデルプールはどんな走りを見せてくれるのでしょう。春先の調子なら連覇も可能と思っていましたが、ツールの頃から調子が上がっていないように見えます。加えてポガチャルとレムコが相手というのも分が悪い。
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世界選手権はワンデーレースでクラシックレーサー向きのため、過去にトリプルクラウン(ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、世界選手権)を達成したのは1987年のステファン・ロッシュと1974年のエディ・メルクスの二人だけという極めて狭き門なのです。それに挑むのがポガチャルという怪物です。対するレムコもオリンピックで2冠と世界選手権の個人TT連覇という偉業を達成している神童です。
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怪物対神童のワンデーレースでの対戦成績はほぼ互角ですが、成長力という点で怪物ポガチャルに軍配が上がりそうです。また、今回のようにアップダウンが多く、トリッキーな下りもあるコースでは空力に特化したレムコのスピードは削がれると見ています。加速と減速を繰り返すコースではポガチャルが圧倒的に有利なはず。最終周回の少し手前(ゴール前30km)からスパートし逃げ切る姿が脳裏に浮かんでいます。
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