暑さは過ぎた

今日、病院へ行ってきた。病院といっても僕ではない。

妻がガンを手術で摘出してから今月で満三年になる、春に定期検査した時に、
「腫瘍マーカーが高くなっているのでどこかにガンが転移、再発しているといけないので詳しく検査を八月にしましょう。」
と担当の医者に言われていた。

先週から三日に亘り検査をしていた。大腸カメラ、胃カメラ、CT、血液検査などである。今日がそのすべてを踏まえての医者の判断を伝えてくれる日だった。妻に、一緒に行くからといっても、一人でいいからといって承知をしない。なんでもない様な顔をしながら、イライラとしているのが分かる。僕もどこかにあればまた、手術で取ってもらうしかないが大変だな、などと考えていた。

今朝になって結局一緒に行くことになった。予約の時間より二十分ぐらい早く言ったのだが、待合室は、もう沢山の患者さんが待っていた。小一時間待たされて名前を呼ばれた。

部屋に入って医者を待つと、間もなく若い医者が忙しそうに出てきて、カルテを見ながら、
「CTにはどこにも異常はないですね、カメラも大丈夫ですね。春先に腫瘍マーカーが高かったのですが今回は平常ですね。なんでもないです。よく高いことがあるんですよ。でも、ほとんど関係ないんです。たまに悪いことがあるのでね。悪ければ今回下がることはないので、大丈夫ですよ。次は半年後で良いですね」
と、今までより診察の間隔が長くなって終わった。

あまりにあっけらかんとした話にどうして良いか戸惑ってしまう。頭で理解出来ても、体はまだ深刻な気分から抜け出せていない。
深刻な顔をされて言われるより良いかもしれないが。

とりあえず夏の暑さもひと段落した。







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