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美しい自然とともに

「きらきらひかる」

2014-03-16 23:38:01 | 日記

この間、江國香織さんの「東京タワー」を読んだ。

古本屋で見かけ,以前話題になった本なのだが読んでいなかったので読んでみようかと購入。

最近、なんだか恋愛小説でも読みたいと、江國香織さんの本を見ていたのだが、この本は少し変わった恋愛小説。

でも、面白かった。

 

読み終わって巻末についている、新刊案内を読んでいたら、江國さんの欄に「きらきらひかる」の案内が出ていた。

その説明に「妻はアル中、夫はホモ。セックスレスの奇妙な新婚夫婦を軸に描く、素敵な愛の物語」とあった。

これを見たらこの本が読みたくなって本屋へ行って「きらきらひかる」を探してきた。

 

アル中の笑子と医者でホモの睦月が結婚生活を始める。そこに、睦月の恋人、紺くんというとってもかっこいい男が絡んで話が進んでいくのだ。

この紺くんという男は僕には頭がよくとっても美男子に映った。

まだ学生のようだがきっと大学では女の子がほってはおかずに色々とちょっかいを出してきているのだろう。

睦月も医者らしく落ち着いて人の話をよく聞く人のようで、しかもなかなか我慢強い。好感の持てる人のようだ。はた目にはホモとは思えない。

笑子はアル中というが、僕から見るとお酒が好きな人という感じ。少し精神が不安定でうつのけがあるけれど。

 

こんな人たちの物語なのに、読んでいると決して嫌悪感はかんじない。

むしろ好感さえ抱く。違う世界のことのようには思えないのだ。

それぞれがお互いを大切にし合って生きていく。

趣味嗜好は違うのだがそれはお互いの特性として認め合っている。

 

江國さんはあとがきに

「恋をしたり信じ合ったりするのは無謀なことだと思います。どう考えたって蛮勇です」と書いている。

夫婦といえどもお互いを大切ににして、一個の人格を認めて生活していかなければいけないのだろうと思った。

それにしては随分変わった設定にしたものだが。


”イェンタウン”の人たち。

2014-03-12 21:31:53 | 日記

身体の具合は良くなっているような気がする。

”気がする”というのは、生活をしている中で”病気”なんて忘れているから。

その中で、フッと気がつくと目が回っている。ときには気持ち悪くなっていたりする。

そんな時「あ、また目が回っている」と思うだけでさほど気にならない。

気持ちが悪くなっているときでも、「目が回るからかな」なんて思うだけ。

こんな具合だから良くなってきていると思う。

車を運転するようになってから読む時間がぐっと少なくなったのだが、相変わらず本を読んでいる。

本は違う世界に連れて行ってくれるから。でも、あんまり突飛なところに連れて行かれても気持ちがついていかれない。

 

先日は岩井俊二の「スワロウテイル」を読んだ。

僕はこの意味を燕のしっぽのことかと思って読んでいたのだがどうも変なので調べてみると、アゲハ蝶のことだった。

そういえば”イェンタウン”という街に出てくる女の人は胸にアゲハチョウの綺麗な刺青をしている。そして、その人を慕う女の子も名前を”アゲハ”という。

この娘らを中心に話は進んでいくのだが。

この架空の街イェンタウンに住んでいる人たちは国籍不明の人たち。自分たちでもどこの国から来たのかわからない。

タイ人かフィリピン人か中国人かそれとも日本人なのか。

でも読み進むうちに、この架空のダウンタウンの中で起こっていることが本当にあったことのように思えてくる。

食うために売春をする女。墓を暴いて死体と一緒に埋葬してある物を売り飛ばして金にする。そして、殺人も。

こんな人たちもそこらにいるように思えてくる。

みんな欲と希望にゴチャ混ぜになりながら生き抜いていく。

岩井俊二という人はこんな街をどうして思いつくのだろう。未来の街なのか過去の街なのか、現在のことなのか全く不明なのに。

決して作った話の街ではないような、どこか少し遠くに行くとあるような気がする街。

 

とんでもない世界にこの本は連れて行ってくれたけれど、未来はどんな具合でも自分で開いていくんだなと何故か思った。

風邪をひいて、ひと月も治らずフラフラゾクゾクしながら読んだ本だけれど。