最近とっても暖かくなってきた。寒がりの僕は少しずつ手足を伸ばしていく。
桜はいよいよ咲き始め、あちこちの庭に公園に、山を見ても綺麗な桜色が広がっている。
なんだかウキウキしてきて、心も広がっていくみたい。
きょうはあまりの暖かさに、車の暖房をつけないだけでなく窓を開けて走っていた。
家の近くのトンネルに車で入った。
古いトンネルは灯りも少ないのか周りは暗い。昼間の明るい日差しから入るからよけいに暗いのか。
前方の出口ばかりが明るく見える。
薄暗い壁の向こうに、天井は円く下は四角く、トンネルの形に明るく切り取られている。
その画面いっぱいにサクラの木が見えていた。
「きれいだな」思わず口からでた。
トンネルの向こうの空は明るい。光る空気を感じた。
画面はみるみる広がり、トンネルを抜けるとフワッと明るい中に飛び出した。
目の前に大きなサクラの木があった。
なんだかこちらを見て「ボクもいるからね」と言っているよう。
まだしばらくはいろいろなサクラに会いそうだ。