6月の予定は → コチラ
<未だに「解除」されていないもう一つの宣言:原子力緊急事態宣言>
最近毎日のように報じられている新型コロナウイルスのことを考えていましたら、
もうひとつ緊急事態宣言が存在していることを突然思いだしました。
いまさらこのようなことを申し上げるのはまことに恥ずかしい限りですが、
私はコロナ禍にすっかり気を取られていて、9年前の3月11日夕刻、当時の
菅首相により「原子力緊急事態宣言」が出されていたことをすっかり忘れて
いました。今でもしっかりご記憶の方もたくさんおられることと思いますが、
思い出していただくために、原子力緊急事態宣言の内容と宣言に付されていた
文言を、首相官邸のホームページから引用して以下に記しておきます。
------------------------------------
■原子力緊急事態宣言■
平成23年(2011年)3月11日16時36分、東京電力㈱福島第一原子膂力発電所において、
原子力災害特別措置法第15条1項2号の規定に該当する事象が発生し、
原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がある
と認められたため、同条の規定に基き、原子力緊急事態宣言を発する。
(注)
現在のところ、放射性物質による施設の外部への影響は確認されていません。
したがって、対象区域内の居住者、滞在者は現時点では直ちに特別な行動を
起こす必要はありません。あわてて避難を始めることなく、それぞれの自宅や
現在の居場所で待機し、防災行政無線、テレビ、ラジオ等で最新の情報を
得るようにしてください。
繰り返しますが、放射能が現に施設の外に漏れている状態ではありません。
落ち着いて情報を得るようお願いいたします。
----------------------------
この非常事態宣言、現在どうなっているかが気になりましたので、
ネットなどを通じて調べてみましたら、現在でも生きている、
つまりコロナ禍に見舞われている今でも日本は原子力緊急事態宣言の下にあり、
宣言は今でも「解除」されていないことがわかりました。
ことの良し悪しは別として、これは私には驚きでした。
宣言の「発出」と解除は法律的にどうなっているのか分かりかねましたので、
さらに調べてみましたら、今中哲二氏(京大原子炉実験所)が
原子力災害特別措置法(原災法)の条文に照らして、原子力緊急事態宣言解除の
考え方や手順について説明しておられる一文(2018年8月)をネット上に
掲載されていることを知りました。
その中で「緊急事態解除宣言の手順」について今中氏は次のように説明されています
(注)「原子力緊急事態宣言の解除について」
-----------------------------
《原災法15条に従えば、緊急事態応急対策の必要性がなくなったときは、
緊急事態解除宣言が可能となる。一方、帰還困難区域など避難指示が
続いているところは、「緊急事態応急対策を実施すべき地域」として
公示されているので、帰還困難区域が残っている限り、現状では
緊急事態宣言解除宣言はできない。(・・・・・)
原災法20条7によると、緊急事態解除宣言後に「原子力災害事後対策を
実施すべき地域」を所掌するのは原子力災害対策本部(本部長は総理大臣)
である。ところが2011年3月11日の“告示”によると、原子力災害対策本部の
設置期間は「原子力緊急事態解除宣言があるまでの間」となっている。
つまり現状では、原子力緊急事態解除宣言をすると原子力災害対策本部も
廃止となってしまい、原子力災害事後対策ができなくなるというジレンマ状態
になっている。
『どうしても解除宣言を!』ということであれば、賢いお役人が何とかする
であろうが、『帰還困難区域が残っている限り、原子力緊急事態宣言の解除は難しい』という
今中の認識は、いまのところ間違っていないように思う。》
----------------------
福島第一原発の事故後、様々な対策が講じられてきましたが、
現状は「復興」にほど遠いものです。帰宅困難区域の存在、困難を極める
先行き不透明な廃炉作業、わずか4%少々の避難した人々の帰還率、
不正だらけの手抜き除染の横行、被爆した人々をはじめとした福島県民の
健康状態についての不十分な調査、住宅手当が打ち切られ生活が困窮している
自主避難の人々、被災し避難した人々に対する「避難者」差別など、
「復興」からは程遠い現状を考えますと、確かに、原子力緊急事態の解除
が許されるような状態ではないと言うべきかもしれません。
しかし、「非常事態宣言」が9年以上にわたり解除されていないという現状は
常識的には考えらえない異常な事態ではないかと言うこともできます。
まだまだ復興は不十分であり、解除するわけにはいかない状態にあると
認識しているのであるならば、政府は一日も早く宣言解除を実現すべく、
福島の人々を支えるための「事後対策」をもっともっと積極的に講じるべきです。
しかしながら、最近は、政府は「復興」していると喧伝することに熱心である
だけであり、「宣言」のことはもうすっかり忘れてしまったかのようです。
このままでは、「原子力緊急宣言」は有名無実化して立ち腐れていくだけです。
緊急宣言は出したものの、時間が経てばうやむやということであれば
無責任以外の何ものでもありません。
2020年5月28日
《脱原発市民ウォーク in 滋賀》
呼びかけ人のひとり:池田 進
〒520-0812 大津市木下町17-41
電 話:077-522-5415
Eメール:ssmcatch@nifty.ne.jp
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最近毎日のように報じられている新型コロナウイルスのことを考えていましたら、
もうひとつ緊急事態宣言が存在していることを突然思いだしました。
いまさらこのようなことを申し上げるのはまことに恥ずかしい限りですが、
私はコロナ禍にすっかり気を取られていて、9年前の3月11日夕刻、当時の
菅首相により「原子力緊急事態宣言」が出されていたことをすっかり忘れて
いました。今でもしっかりご記憶の方もたくさんおられることと思いますが、
思い出していただくために、原子力緊急事態宣言の内容と宣言に付されていた
文言を、首相官邸のホームページから引用して以下に記しておきます。
------------------------------------
■原子力緊急事態宣言■
平成23年(2011年)3月11日16時36分、東京電力㈱福島第一原子膂力発電所において、
原子力災害特別措置法第15条1項2号の規定に該当する事象が発生し、
原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がある
と認められたため、同条の規定に基き、原子力緊急事態宣言を発する。
(注)
現在のところ、放射性物質による施設の外部への影響は確認されていません。
したがって、対象区域内の居住者、滞在者は現時点では直ちに特別な行動を
起こす必要はありません。あわてて避難を始めることなく、それぞれの自宅や
現在の居場所で待機し、防災行政無線、テレビ、ラジオ等で最新の情報を
得るようにしてください。
繰り返しますが、放射能が現に施設の外に漏れている状態ではありません。
落ち着いて情報を得るようお願いいたします。
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この非常事態宣言、現在どうなっているかが気になりましたので、
ネットなどを通じて調べてみましたら、現在でも生きている、
つまりコロナ禍に見舞われている今でも日本は原子力緊急事態宣言の下にあり、
宣言は今でも「解除」されていないことがわかりました。
ことの良し悪しは別として、これは私には驚きでした。
宣言の「発出」と解除は法律的にどうなっているのか分かりかねましたので、
さらに調べてみましたら、今中哲二氏(京大原子炉実験所)が
原子力災害特別措置法(原災法)の条文に照らして、原子力緊急事態宣言解除の
考え方や手順について説明しておられる一文(2018年8月)をネット上に
掲載されていることを知りました。
その中で「緊急事態解除宣言の手順」について今中氏は次のように説明されています
(注)「原子力緊急事態宣言の解除について」
-----------------------------
《原災法15条に従えば、緊急事態応急対策の必要性がなくなったときは、
緊急事態解除宣言が可能となる。一方、帰還困難区域など避難指示が
続いているところは、「緊急事態応急対策を実施すべき地域」として
公示されているので、帰還困難区域が残っている限り、現状では
緊急事態宣言解除宣言はできない。(・・・・・)
原災法20条7によると、緊急事態解除宣言後に「原子力災害事後対策を
実施すべき地域」を所掌するのは原子力災害対策本部(本部長は総理大臣)
である。ところが2011年3月11日の“告示”によると、原子力災害対策本部の
設置期間は「原子力緊急事態解除宣言があるまでの間」となっている。
つまり現状では、原子力緊急事態解除宣言をすると原子力災害対策本部も
廃止となってしまい、原子力災害事後対策ができなくなるというジレンマ状態
になっている。
『どうしても解除宣言を!』ということであれば、賢いお役人が何とかする
であろうが、『帰還困難区域が残っている限り、原子力緊急事態宣言の解除は難しい』という
今中の認識は、いまのところ間違っていないように思う。》
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福島第一原発の事故後、様々な対策が講じられてきましたが、
現状は「復興」にほど遠いものです。帰宅困難区域の存在、困難を極める
先行き不透明な廃炉作業、わずか4%少々の避難した人々の帰還率、
不正だらけの手抜き除染の横行、被爆した人々をはじめとした福島県民の
健康状態についての不十分な調査、住宅手当が打ち切られ生活が困窮している
自主避難の人々、被災し避難した人々に対する「避難者」差別など、
「復興」からは程遠い現状を考えますと、確かに、原子力緊急事態の解除
が許されるような状態ではないと言うべきかもしれません。
しかし、「非常事態宣言」が9年以上にわたり解除されていないという現状は
常識的には考えらえない異常な事態ではないかと言うこともできます。
まだまだ復興は不十分であり、解除するわけにはいかない状態にあると
認識しているのであるならば、政府は一日も早く宣言解除を実現すべく、
福島の人々を支えるための「事後対策」をもっともっと積極的に講じるべきです。
しかしながら、最近は、政府は「復興」していると喧伝することに熱心である
だけであり、「宣言」のことはもうすっかり忘れてしまったかのようです。
このままでは、「原子力緊急宣言」は有名無実化して立ち腐れていくだけです。
緊急宣言は出したものの、時間が経てばうやむやということであれば
無責任以外の何ものでもありません。
2020年5月28日
《脱原発市民ウォーク in 滋賀》
呼びかけ人のひとり:池田 進
〒520-0812 大津市木下町17-41
電 話:077-522-5415
Eメール:ssmcatch@nifty.ne.jp
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