居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

こころもたびをする

2012-11-01 12:05:09 | ポエム

こころもたびをする

 

たびはおもしろいが
それなりに面倒でもある
いつずけてしまうと
ちゅうとはんぱのデッサンみたいに
いつかんせいするのかわからなくなる

小路にはいりこんで
どこへでるのかスリルもあるが
たいていはどこにでもある
工場の裏口かドブにかかったちいさい橋にゆきあたる

それでもいろづいた秋の木の葉が
絨毯を敷いて
さあどうぞといわんばかりの景色にであうと
股旅ものの映画をおもいだす

居続けるとすぐいとおしいきぶんになって
もときた道をもどってゆく
これをさかのぼり旅という

時雨など降ると、きみがこころに秋や来ぬらん(*1)
袖触れ合うも旅の縁とかおもい
寅さんのように鼻歌でつぎの街めざして(*2)
秋晴れのそらのしたテクテクとゆく
山頭火のように白い雲をめざしてゆくか(*3)

こころなんて死活問題のひとつだけれど
なんてことはないふつうにいえば、気分です
蒲団のなかのダウンです
左右上下からおされてははねかえしたり
圧力にたえていることもある
たいせつな麦藁ですが
これでは蟻がおおきな獲物を
巣にはこんでいるすがたににている

そういえば旅には荷物がついてくる

 

 

 

                           (*1)古今和歌集より

                           (*2)映画の「寅さん」

                           (*3)山頭火句集より