居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

電車道

2012-11-10 19:58:50 | ポエム

電車道

 

夜の9時頃に
なんとなく散歩する
人通りのない電車道
空気が冷えてくると
よれよれのアスファルトに
だんだん近づいてくる
ハイヒール
コンなのかカンなのかケンなのか
若い歩幅がおいついてくる
コンコン カンカン ケンケン
昔 戀をしていた時
待ち焦がれたおとだ

戀をおいてきぼりにした今
コンカンケンをあつめて
コツコツ コツコツにビブラートがついて
いい音がするものだと
ほれぼれしていると
しせいのいい赤い薔薇が
おいこしていった

たちどまって
星の少ない夜空をみて
またビブラート付きのコツコツコツに
傾聴する

電車はこない電車道を
かたちだけ残っていた戀の手をひいて
道連れにしてあるく
ベートーヴェン・ピアノソナタ「月光」が
いいねえ きれいだねえ 

ほんとうにそうでしょうかねえ


渇くのど

2012-11-10 13:12:48 | ポエム

渇くのど

 

 

のどがかわいたので
セットしておいたレモンのジュースを少し飲んだら
ずいぶんとあかるいふんべつがついて
ある日きっと返事がくる手紙のことを
おもいだした

   人文学の論文の下書きにつかえるとおもった

ガキのころ
おやじにしかられて
そのまま家出したという経験もないが

   ハートウォーミングして運転している僧侶のドライヴ

ダチのいえにいつづけしたことはある

  燃えるシーズンのファッションだ

アシガルはなんでも言いつけられる
それがアシタの正体だ

  時には夢幻の下絵にウツツをぬかす

春  街なかのちいさな産院の窓を見た
夏 遠浅で透明な湖で水遊びした
秋 枳愨の生け垣にもたれた
冬 継貼りの靴下をはかされた

ナースがかたずをのんで見送る
ササヤキがきこえるときもあった

   誕生日にならない日もあるのだろうか

間断なく生まれ間断なく死ぬ
30分で生と死をすます昆虫もいるだろう
30分、餌だけたべるとサヨナラをする

   猛烈に短い映画は30分でおわる

遠雷が鳴り黒雲がスピードをあげる
自然は無鉄砲な人のようだ

いつもの海辺か?
点々とした足跡がある