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国史跡・西沼田遺跡。西沼田遺跡公園。天童市矢野目。
2024年9月8日(日)。
山形市街地の山形県立博物館教育資料館(重文・旧山形師範学校本館)見学後、天童市の西部にある西沼田遺跡公園へ向かった。
道標にしたがい、平原の中にある公園に入ると、ガイダンス施設の「ぬまりん館」は改装工事中であった。駐車場の台数が多かったので奇異に感じながら、中に入ると家族連れが体験学習をしていた。
西沼田遺跡は、6世紀末から7世紀前半にわたる古墳時代後期の農村集落遺跡で、約4万5千㎡の広さを持つ。山形盆地の最上川右岸低地上にある遺跡で、立谷川扇状地の扇端部に位置する。これまで、物を保管していたと考えられる高床倉庫2棟、平地式建物14棟、河川跡、水田跡としての畦畔(けいはん)状遺構、溝、井堰(いせき)などが発見されている。
低湿地であるために建築部材や木製品が多量に発掘された。土器は土師器(はじき)を主とするが、西日本から搬入された須恵器も混じる。
ここからは12棟の打込み式の柱によって構成される建物跡が検出されている。
柱はすべて地面よりの打込み式で、長方形の平面をもつものが多い。一部では住居内に丸太材を敷き詰めた床をもつものもある。これらの住居跡は竪穴式と異なって打ち込み柱や転ばし根太に床土を盛り立てた構造をもち、山形市嶋遺跡と共通する。
鋤・鍬・田下駄・鎌の柄・堅杵等の農具・曲物・槌・自在鉤(じざいかぎ)・下駄・弓・矢・織機の一部等の木製品が多数出土した。
2008年に遺跡公園として開園し、古墳時代後期の歴史や文化を学ぶことができる生涯学習施設として活用されている。
ガイダンス施設には、西沼田遺跡から出土した土器や木製農具などの遺物を常時展示しているほか、勾玉やストラップづくり、火起こしなどの体験学習を行うことができる。
川をせき止める井堰や、井堰から水田へ水を引き込む水路、水田の遺構。
公園内には、古墳時代後期の人々が暮らしていた建物や収穫物を保管していた倉庫のほか、河川や水田なども復元されており、古代米の田植えや稲刈りなどを体験することができる。
遺跡を保護するための盛り土上に、水田、井堰や水路、高床倉庫1棟と平地建物2棟、作業小屋1棟と木柵が復元されている。
11号建物、遺跡の中で一番大きな建物で大家族の長が住んでいたと考えられる平地建物。
内部に入るとボランティアガイドがおり、炉には火が入れられていた。
10号建物、11号建物に次ぐ大きさの建物で長の親族が住んでいたと考えられる平地建物。
復元集落から振り返って眺めるガイダンス施設方向。
15号建物・木柵、道具の製造に使用する作業小屋と考えられる建物で、周辺から未完成の木製農具多数が発見されている。
このあと、天童市街地へ向かい、天童織田の里歴史館・旧東村山郡役所資料館などを見学した。