京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

すねている

2016-09-24 16:39:40 | 日記
すねている
    金澤 ひろあき
帰りの電車に乗るころに
雨が落ちはじめる

台風が来るのと
我が家に帰り着くのと
どっちが早い

仲秋の名月をほめたのが
つい三日前
もう空がすねている

運命が変わるときも
こんな風なのだろうか

北円堂

2016-09-23 19:50:07 | 日記
北円堂
   金澤 ひろあき
 大学の頃、奈良出身の同級生が、「奈良はなーんにもないところで・・・」と謙遜していました。
 確かに若者が楽しむものは「なーんにもない」のです。しかし、東大寺、春日大社とそれを囲む自然林や古い町並みが好きな私は、せっせと通うことになりました。
 あの頃に比べると、ずいぶん変わってしまいましたが、興福寺や春日大社にはおもかげがいっぱい残っていて懐かしいです。その中でもなくなられた方のことなどを、ふっと思い出します。
 興福寺の北西隅に北円堂があります。円堂と言っても八角のお堂です。もとは藤原氏の祖、不比等の供養のために建てられたそうです。廟堂なので八角だとか。
 平安末期に平家が大仏といっしょに焼いてしまったのを、再建しています。春と秋にだけ拝観できます。
 小さなお堂ですが、中は素晴らしいですよ。運慶作の仏様がいっぱい並んでいます。中央に弥勒如来。50億年後に人類を救いに現れるとか。
 そのとき、どんな教えを説かれるのでしょうか。
 如来の左に世親。気の強そうな顔をしています。右手に無著。穏やかな顔つきです。二人は北インドの僧で、居間は弥勒とともにトソツ天にいるとか。この像がリアルで今にも動きだしそうです。これも運慶作。周りに四天王。平安時代の仏像だそうです。
 法相宗と言われてもピンときませんが、『西遊記』でおなじみに玄奘さんが開かれたそうです。『般若心経』を含めた『般若経』がお経だそうで、そう言われると少し親しみが感じられます。三島由紀夫の『豊饒の海』にも出てきます。
  兄弟は弥勒の脇侍風薫る   ひろあき

草食系

2016-09-23 13:12:37 | 日記
草食系
     金澤 ひろあき

雪どけの音四方より集まり来    
雪どけ音大いなるもの目をさます
鍋待つ間さびしい奴はよくしゃべる 
冬薔薇負けず嫌いを競い合う
前かがみこうも寒いとクセになる  
新雪に足跡つけてひとりじめ
コートより季節外れの素足かな   
草食系男子末尾に冬マラソン
冬の霧もっと秘密が増えてゆく

ちょっと気が早いですけど、冬の句ですね。この句を作った年は
正月から大雪になった年でした。今度の冬はどうなんでしょう。
過去の句をふりかえると、いろいろな事を思い出します。

ひいふうみい

2016-09-23 13:07:53 | 日記
ひいふうみい
     金澤 ひろあき

裸木の思い思いに瞑想す      
春兆す少し青みを帯びる雨
友来たるちょっと小降りになれよ雪 
「あら、雪」と言ってまなざし深くする
水仙を活けて床の間ひきしまる   
京町家雪の予感の童話聴く
トラックの屋根に異郷の雪の夢   
夜の雪よき夢みよと言っている
風花や一座のまなざし空一点    
風花のひいふうみいと追憶す

イメージ詠 「水たまり」

2016-09-21 13:08:37 | 日記
イメージ詠 R君の絵より 「水たまり」
      金澤ひろあき
思い通りにゲームに勝てない少年は
友達の輪から離れた
夕方がやがて夜になろうとする
むかし逢魔が刻と呼んだ時間

目の前に大きな水たまり
空には決められた通りに
星と月が並ぶ
水面には星と月がさかさまに映る

世の中みんなさかさまだ
少年は水たまりに石を投げ
彼の革命をこころみる

気がすまない少年は
水たまりに入り
足でかき乱す

 R君は私の知り合い。絵を趣味にしておられます。
彼の絵をもとに、イメージを言葉にしてみました。