それはまだ自分が小学生の頃のことである…。
伯父が古い小屋だか家だか…別荘みたいなものを手に入れたことがあった。
小屋の周辺には山菜がたくさん生えるらしく…伯父は親切にも山菜採りに行かないか…と親戚衆に声をかけてくれた。
親戚衆は我が家も含めてみんな楽しいことが大好き…。
時間を合わせて…赤ちゃんたちを含む二十名弱の団体さま…で現地へ出かけた。
春とは言っても蕨の季節だから…初夏に差し掛かっていたのではないかと思う。
小屋の記憶はまったくないが…それこそあちらにもこちらにも蕨(わらび)や薇(ぜんまい)などが生えていて…驚喜した覚えがある…。
その頃はまだ町中に住んでいたので…田舎と言えば叔母の家の周辺…田んぼや畑しか知らなかった…。
自分で山菜を採ってみたことで…もっと違う自然に富んだところがあるのだ…ということを子供ながらに改めて知ったような気がした…。
山菜はどれもよく育っていて…抱えるほど採れるのだか…辺りの土地はところどころ並んで陥没していて…何でこんなに小さな穴がいっぱいあるんだろう…と不思議に思っていた…。
ちょっと小高くなったところの側面にも穴がぼこぼこ空いている。
どれも50センチくらいから1メートルくらいそれほど深くはなくどちらかと言うと随分前に掘って…今は少し埋まったところへ山菜が生えた…という感じ…。
それは参加した大人たちもみんな思っていたことらしかったが…その時は誰も何も言わなかった…。
蕨や薇を山ほど収穫して…みんなホクホク笑顔で我が家へ戻って行った。
自分たちも大喜びで帰宅した…。
重曹を入れて湯がいて生姜醤油で食べるというのが実家の蕨の食べ方…。
薇はあくを抜いて醤油で炊く。
天ぷらならあくを抜かなくても美味しく食べられる…。
蕎麦の具にしてあるのは…よく見かけるよね…。
今なら季節が来ればスーパーで売ってるが…当時は町に住んでいると稀にしか手に入らない食材…有り難く頂いた…。
蕨や薇は煮物の他に…おこわ…炒め物…味噌汁…サラダ…卵とじなど…結構いろんな料理に使える。
本当は湯がかなくても重曹を入れた熱湯に浸しておけばあくは抜ける。
冷めた後は水にさらしておいて何度か水を替えればよい…。
あくを抜いて凍らせておいたり…干したり…塩漬けにしたりして保存もでき…野菜のように使えて便利だが…その頃はそんなことは知らず…悪くならないうちにさっさと食べてしまった。
塩漬けは田舎の人から教わった。 かなり匂いがきついので好き嫌いはあると思うが…塩を抜いて炒め物にすると美味しい…。
その土地に暮らす人の生活知恵というのはすごいなぁ…といつも思う…。
おっと…横道に逸れた…いかんいかん…。
そんなこんなで太った蕨や薇を家族で平らげ大満足…。
珍しいことを体験させてくれた伯父に感謝感謝…。
それからしばらくして…山菜採りのことなどすっかり忘れた頃のこと…。
叔母の家でか…自分の家でか…はたまた電話中の話を耳にしたのかは忘れたが…母が苦笑しながら親戚と話をしているのを…偶然…聞いてしまった…。
あの…ぼこぼこ空いていた穴の正体…。
あれはどうやら…古い墓穴らしい…。
墓地を移転するので掘り返した跡ではないか…と…。
「あの辺りは…多分…土葬だわね…。 」
そう母が言った…。
穴…土葬…古い墓…太った山菜…養分…。
養分…つまり…それは…。
・・・・・・・・・・・・。
たっぷり…食っちゃったし…。
伯父が古い小屋だか家だか…別荘みたいなものを手に入れたことがあった。
小屋の周辺には山菜がたくさん生えるらしく…伯父は親切にも山菜採りに行かないか…と親戚衆に声をかけてくれた。
親戚衆は我が家も含めてみんな楽しいことが大好き…。
時間を合わせて…赤ちゃんたちを含む二十名弱の団体さま…で現地へ出かけた。
春とは言っても蕨の季節だから…初夏に差し掛かっていたのではないかと思う。
小屋の記憶はまったくないが…それこそあちらにもこちらにも蕨(わらび)や薇(ぜんまい)などが生えていて…驚喜した覚えがある…。
その頃はまだ町中に住んでいたので…田舎と言えば叔母の家の周辺…田んぼや畑しか知らなかった…。
自分で山菜を採ってみたことで…もっと違う自然に富んだところがあるのだ…ということを子供ながらに改めて知ったような気がした…。
山菜はどれもよく育っていて…抱えるほど採れるのだか…辺りの土地はところどころ並んで陥没していて…何でこんなに小さな穴がいっぱいあるんだろう…と不思議に思っていた…。
ちょっと小高くなったところの側面にも穴がぼこぼこ空いている。
どれも50センチくらいから1メートルくらいそれほど深くはなくどちらかと言うと随分前に掘って…今は少し埋まったところへ山菜が生えた…という感じ…。
それは参加した大人たちもみんな思っていたことらしかったが…その時は誰も何も言わなかった…。
蕨や薇を山ほど収穫して…みんなホクホク笑顔で我が家へ戻って行った。
自分たちも大喜びで帰宅した…。
重曹を入れて湯がいて生姜醤油で食べるというのが実家の蕨の食べ方…。
薇はあくを抜いて醤油で炊く。
天ぷらならあくを抜かなくても美味しく食べられる…。
蕎麦の具にしてあるのは…よく見かけるよね…。
今なら季節が来ればスーパーで売ってるが…当時は町に住んでいると稀にしか手に入らない食材…有り難く頂いた…。
蕨や薇は煮物の他に…おこわ…炒め物…味噌汁…サラダ…卵とじなど…結構いろんな料理に使える。
本当は湯がかなくても重曹を入れた熱湯に浸しておけばあくは抜ける。
冷めた後は水にさらしておいて何度か水を替えればよい…。
あくを抜いて凍らせておいたり…干したり…塩漬けにしたりして保存もでき…野菜のように使えて便利だが…その頃はそんなことは知らず…悪くならないうちにさっさと食べてしまった。
塩漬けは田舎の人から教わった。 かなり匂いがきついので好き嫌いはあると思うが…塩を抜いて炒め物にすると美味しい…。
その土地に暮らす人の生活知恵というのはすごいなぁ…といつも思う…。
おっと…横道に逸れた…いかんいかん…。
そんなこんなで太った蕨や薇を家族で平らげ大満足…。
珍しいことを体験させてくれた伯父に感謝感謝…。
それからしばらくして…山菜採りのことなどすっかり忘れた頃のこと…。
叔母の家でか…自分の家でか…はたまた電話中の話を耳にしたのかは忘れたが…母が苦笑しながら親戚と話をしているのを…偶然…聞いてしまった…。
あの…ぼこぼこ空いていた穴の正体…。
あれはどうやら…古い墓穴らしい…。
墓地を移転するので掘り返した跡ではないか…と…。
「あの辺りは…多分…土葬だわね…。 」
そう母が言った…。
穴…土葬…古い墓…太った山菜…養分…。
養分…つまり…それは…。
・・・・・・・・・・・・。
たっぷり…食っちゃったし…。