自分は字を書くのが下手だ…。 
子供の頃…習字教室に通っていたんだけど…未だにとんでもない悪筆…。
だから…年賀状も大の苦手で…毎年…頭が痛い…。
この季節が来るたびに…半べそものだよ…。
この頃は…大方パソコンで作ってしまうけれど…手書きじゃなければ失礼にあたる相手も居て…恥と苦痛の種…。
すらすらっと格好良く書いてみたいもんだけど…それがなかなか…ねぇ。
この地域の公立の小中学校では夏休みや冬休みの宿題の中に習字…書写がある。
これは自分らの時代からずっと変わらない…。
変わったのは道具…。
習字を習ってない子はだいたい学校でセットになっているもの購入するんだけど…これが頗る珍妙…。
確かに持ち運びには軽くて便利なものになっているが…なんだか玩具のようだ…。
墨がなくて墨汁を使うのは…練習用だからまだ良しとして…硯がプラスチックなのは頂けない…。
表面をざらざらにして一応は墨が磨れるようにはしてあるが…こんな軽いものでは安定が悪い…。
文鎮もカラーコーティングされていて…文鎮という響きよりはまさにペーパーウェイト…。
筆の持ち方も鉛筆持ち…学校で教えないのかと訊いたら…やらないんだって…。
和の心なんてあったもんじゃないなぁ…。
自分の育った町では近所に文房具屋を兼ねた筆屋が在った。
文具を買いに行くと…おじさんが店の筆の陳列棚の奥でいつも筆をこさえていた。
陳列棚にはたくさんの筆が並べてあって…絵のように綺麗だった。
穂先のふくよかさ…竹の清々しさ…今なら…そう表現するかも知れない…。
そんな難しい言葉は知らなかったけれど…子供心に筆っていいなぁ…と思った。
その店へ行っていたのは小学校1~2年…そんな頃だったっけ…。
おじさんの手が器用に竹の筒…筆の軸部分をからからと音を立ててそろえていた。
古いことで…一瞬だったから…はっきりとは覚えてないのだけれど…何かの毛が穂先の高さを合わせて横一列にぺらっと横長の板のように伸ばされているのを見たような気がする。
それを巻くかどうかして…糸で括っていたような…そんな記憶…。
自分が習字で使っている安い筆の白ばかりじゃない…いろんな色の毛があって…それがいろいろな動物の毛で…書き味が全部違うのだということを…いつだったかおじさんから教わった気がする…。
たった一度仕事場に入れて貰ったことがあるんだ…。
あの時の自分が高学年だったら…もっと…はっきりといろんなことを覚えていられたのだろうに…とても残念だ…。
品のよい人で…仕事の道具と材料を前にして…いつも静かに座っている。
絶えず手が動いていた…。
年代から考えると…おじさんは大正の終わりから昭和初期に修行した職人さんだったと思う…。
相変わらず…人に見せられないひどい字だけど…こんな悪筆の自分が…あの頃…おじさんが一本一本心を込めて丁寧に作っていた筆を使っていたんだと思うと…何かもったいないような気もする…。
材料は安いものでも…おじさんの手作りだったんだよね…。
有り難いね…。
どんな単純なものでも…安いものでも…昔は人の手で作られていたんだ…。
今みたいに機械で作る量産品じゃなくてね…。
ほんと…贅沢な時代だったね…。

子供の頃…習字教室に通っていたんだけど…未だにとんでもない悪筆…。
だから…年賀状も大の苦手で…毎年…頭が痛い…。
この季節が来るたびに…半べそものだよ…。

この頃は…大方パソコンで作ってしまうけれど…手書きじゃなければ失礼にあたる相手も居て…恥と苦痛の種…。
すらすらっと格好良く書いてみたいもんだけど…それがなかなか…ねぇ。

この地域の公立の小中学校では夏休みや冬休みの宿題の中に習字…書写がある。
これは自分らの時代からずっと変わらない…。
変わったのは道具…。
習字を習ってない子はだいたい学校でセットになっているもの購入するんだけど…これが頗る珍妙…。
確かに持ち運びには軽くて便利なものになっているが…なんだか玩具のようだ…。
墨がなくて墨汁を使うのは…練習用だからまだ良しとして…硯がプラスチックなのは頂けない…。
表面をざらざらにして一応は墨が磨れるようにはしてあるが…こんな軽いものでは安定が悪い…。

文鎮もカラーコーティングされていて…文鎮という響きよりはまさにペーパーウェイト…。
筆の持ち方も鉛筆持ち…学校で教えないのかと訊いたら…やらないんだって…。
和の心なんてあったもんじゃないなぁ…。

自分の育った町では近所に文房具屋を兼ねた筆屋が在った。
文具を買いに行くと…おじさんが店の筆の陳列棚の奥でいつも筆をこさえていた。
陳列棚にはたくさんの筆が並べてあって…絵のように綺麗だった。

穂先のふくよかさ…竹の清々しさ…今なら…そう表現するかも知れない…。
そんな難しい言葉は知らなかったけれど…子供心に筆っていいなぁ…と思った。
その店へ行っていたのは小学校1~2年…そんな頃だったっけ…。
おじさんの手が器用に竹の筒…筆の軸部分をからからと音を立ててそろえていた。
古いことで…一瞬だったから…はっきりとは覚えてないのだけれど…何かの毛が穂先の高さを合わせて横一列にぺらっと横長の板のように伸ばされているのを見たような気がする。

それを巻くかどうかして…糸で括っていたような…そんな記憶…。
自分が習字で使っている安い筆の白ばかりじゃない…いろんな色の毛があって…それがいろいろな動物の毛で…書き味が全部違うのだということを…いつだったかおじさんから教わった気がする…。

たった一度仕事場に入れて貰ったことがあるんだ…。
あの時の自分が高学年だったら…もっと…はっきりといろんなことを覚えていられたのだろうに…とても残念だ…。

品のよい人で…仕事の道具と材料を前にして…いつも静かに座っている。
絶えず手が動いていた…。
年代から考えると…おじさんは大正の終わりから昭和初期に修行した職人さんだったと思う…。

相変わらず…人に見せられないひどい字だけど…こんな悪筆の自分が…あの頃…おじさんが一本一本心を込めて丁寧に作っていた筆を使っていたんだと思うと…何かもったいないような気もする…。
材料は安いものでも…おじさんの手作りだったんだよね…。
有り難いね…。

どんな単純なものでも…安いものでも…昔は人の手で作られていたんだ…。
今みたいに機械で作る量産品じゃなくてね…。
ほんと…贅沢な時代だったね…。
