イスラム国による日本人殺害事件が発生してから、アベシは「テロは絶対許さない」とか「日本人救出のため、法律を変えてでも、自衛隊を海外で救出活動に着かせる」などと喚いています・・・・・しかし、日本の法律を変えた所で救出活動が簡単にできるとアベシは思っているんですかね?????
経済も分からなければ、組織も分からず、世界の外交もわからないアベシが、何を吠えてもどうにもならないでしょう。もしするとすれば、莫大な税金を使って情報網を作り、いつでも出動できるための軍隊を作らなければならないようです。そうなるとアメリカのように国民の貧困層は拡大し、中央集権体制となり政府のみが拡大し、その政府を金で動かす奴らが好き放題を始める・・・・・
海外の日本人を救出するより、福島原発事故で被害を受けている人たちを助けたり、内部被ばくによる人たちを助けたりする方が先でしょう。それもできないのに、海外に行って何をするんでしょう?
ダイアモンドオンラインより転載します。
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自衛隊による海外人質救出が到底不可能な理由
ダイヤモンド・オンライン 2月5日(木)8時0分配信
![abesi](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/48/84e15677b2badfa71290e2ff503da410.jpg)
テロ組織「イスラム国」による日本人人質殺害事件を受けて、自衛隊による海外人質救出を行えるようにすべきとの議論が起こっている。だが現実には人質救出作戦は極めて難しく、特殊部隊の強化や「法の壁」を撤廃するだけでは済まない困難が立ちはだかる。
安倍総理は1月25日の、NHKの「日曜討論」で「イスラム国」による日本人人質殺害事件に関し、「このように海外で邦人が危害にあったとき、自衛隊は持てる能力を十分生かせない。救出できるための法整備をしっかりする」と述べた。
現在進められている安全保障関係の法整備では、昨年7月の閣議決定にもとづき「邦人救出」がテーマの1つとなっているが、これは海外での戦乱、災害などの際、多数の在外邦人を避難させる話で、今回のような人質事件での救出とは全く異なるのだが、安倍氏は混同していたようだ。
2月2日の参議院予算委員会の答弁では「今度の法制(整備)には邦人救出も入っているが(人質)事案と直接関わることではない」と修正したが、軍事問題をよく知らないタカ派の間では「自衛隊が海外で人質救出をできるようにすべきだ」との論が高まっている。現実的には人質救出作戦は極めて困難、危険な作戦なのだ。
● 米国ですら、人質救出に ことごとく失敗してきた
米軍は昨年シリアとイエメンで3回の人質救出作戦を行ったが全て失敗に終った。7月3日には「イスラム国」の本部があるシリア北部ラッカの南東郊外にある石油貯蔵施設に、米国人フリージャーナリスト2人が拘束されているとの情報により、精鋭の特殊部隊「デルタ・フォース」をヘリコプターで潜入させたが、人質はそこにはいず、後に2人は斬首された。
11月25日にはイエメン南部の村で「アラビア半島のアルカイダ」に囚われていた米国人フォト・ジャーナリストを救出しようとしたが、人質は別の場所に移されており、作戦は失敗した。このため12月6日に再度別の場所に海軍特殊部隊「ネイビー・シールズ」を潜入させようとしたが警備兵に発見されて銃撃戦となり、米国人の人質とともに、すでに解放が決まっていた南アフリカ人1人も死亡した。
米国は1980年4月25日、イラン革命派の学生によりテヘランの米大使館に閉じ込められていた大使館員ら52人を救出するため、アラビア海の空母ニミッツから8機の大型ヘリRH53Dを発進させ、イラン領内の砂漠にあった使われていない飛行場にC130輸送機を夜間着陸させてヘリに給油し、デルタ・フォースの隊員をヘリに乗せてテヘランの大使館に突入させようとしたが、駐機中の輸送機にヘリが衝突、火災が起き8人が死亡するなどして失敗に終った。
ベトナム戦争中の1970年11月20日には、北ベトナムに撃墜された米軍パイロットなど多数の捕虜が収容されていると見られたハノイ西方37キロのソンタイ収容所を米陸軍の精鋭レインジャー約100人がヘリ6機で急襲したが、捕虜はそこにはいず大空振りに終わった。
米国が人質救出に成功したのは、私が思いつく限りでは、2009年4月12日、ソマリア沖で海賊に捕えられた米国コンテナ船の船長を海上で奪還した例と、2012年1月15日、ネイビー・シールズが落下傘で降下してソマリア海賊の拠点を襲い、囚われていた米国人女性(地雷処理のボランティア)を救出した例だけではないか。
1975年5月12日に米コンテナ船マヤゲスがカンボジアの警備艇に拿捕された際には米海兵隊60人がヘリからロープでマヤゲスに降着したが同船は無人だった。米軍は付近のコータン島に乗組員が拘束されていると見て(実は別の島に収容されていた)、艦載機による攻撃と上陸作戦を行い、カンボジアの警備兵と激しい戦闘になった。
それ以前にカンボジア政府は乗組員の釈放を決めており、攻撃開始当時、乗組員は漁船でマヤゲスに戻りつつあった。この戦闘では米兵15人が戦死、3人が行方不明となった。全く無駄な犠牲だったが、アメリカでは当初「人質解放」に成功したように報道された。
● 法整備や部隊強化だけで済まない 現実的に困難な課題が山積
アメリカは偵察衛星、有人、無人の偵察機を多数持ち、数百万回線の電話や無線交信を同時に傍受できるNSA(国家保全庁・職員3万人)はハッキングの達人や世界各地の言語の専門家(移民が多い)を揃えている。紛争地域にはCIA等の工作員が入り、地元の協力者も確保しているはずだが、それでも人質や捕虜の所在を正確に突きとめるのは至難の業なのだ。
米情報機関は9.11テロ事件後10年もかけてパキスタンでオサマ・ビン・ラディンが潜伏する邸宅を突きとめ、2011年5月2日ネイビー・シールズがヘリで急襲し射殺したが、これは本人と護衛を一緒に殺せば任務を果たせるから人質救出より相当容易だ。人質救出では見張りや周辺の警備兵を制圧しつつ、人質は無事に連れ帰らなければならないから、その困難と危険は数倍だろう。
日本で「人質救出」を論じる人は、特殊部隊の強化や自衛隊の海外での活動についての「法の壁」を撤廃するだけでやれる、と思っているようだ。だが、まず人質の所在を知るためには解像力の高い偵察衛星や有人・無人の偵察機、世界的な盗聴網を備える必要があるし、各地の言語に熟達した人々を多数揃えておかなければならない。
例えば同じアラビア語でも方言は20以上もあるそうだ。テロリストがなまりのある言葉で、隠語を使って電話で話すのを盗聴するには世界各地から優秀な移民数百人を募るしか手はあるまい。
また潜入する特殊部隊は槍の穂先にすぎず、他国領内でヘリコプターなどが行動するには航空優勢(制空権)が必要な場合も多い。そのために常時空母1隻を出動できるようにするには、修理中、訓練中の空母を含め、3隻が必要だ。特殊部隊が潜入に失敗して戦闘になった場合に備え、バックアップに空挺部隊やヘリコプターで機動する部隊、さらに対地攻撃機も待機させておかねばならない。
それほど大掛かりではなくても、人質救出に成功した例としては、
(1)イスラエル特殊部隊が1976年7月3日に行ったウガンダのエンテベ空港での人質救出(エールフランス機を乗っ取り、ユダヤ人乗客106人と交換にイスラエルで服役中の40人の釈放を要求)
(2)西ドイツの内務省特殊部隊GSG9が1977年10月13日に行ったソマリアのモガディシュ空港での人質救出(ルフトハンザ機を乗っ取り、乗員・乗客91人を人質)
(3)フランスの憲兵隊介入部隊(GIGN)が1994年12月24日に行ったマルセイユ空港での人質救出(エールフランス機をアルジェ空港で乗っ取り、乗員・乗客232人を人質に、アルジェリアの「救国戦線」幹部2人の釈放を要求)などがあるが、旅客機のハイジャックの場合は、はじめから人質の所在が明確だから成功したのだ。
この他にも英、仏による海外での人質救出の成功例はいくつかあるが、それらはアフリカの旧植民地で発生し、元の宗主国は地元の事情に詳しく、独立後も軍人の教育・訓練や装備の供与で軍同士の関係が密接だったことが成功の主因だったようだ。
日本で従来論じられてきた「邦人救出」は在留邦人の避難だから、昨年7月の閣議決定では「領域国政府の同意に基づき」その政府の「権力が維持されている範囲で活動する」としている。もし自衛隊が他国政府の権力が及ぶ支配地域で「人質救出をしたい」と申し込んでも、相手の軍や警察には面子もあるから「それはこちらが責任を持って行う」と回答する公算が大きい。
仮に日本で外国人が人質になった場合、外国軍が「日本で人質救出作戦を行いたい」と言ってきても、日本の警察庁や防衛省は「情報交換だけにしたい」と答えるだろう。
● 在留邦人避難においても 軍事力での保護は現実的でない
在留邦人の避難に関しては、すでに自衛隊法で航空機、艦艇の派遣だけでなく、陸上での輸送も可能となっていて武器も携行できる。ただ武器使用は警察権に準じ、正当防衛、緊急避難の場合に限定されている。何とか邦人を無事に港や空港に運ぶのが目的だから、こちらから先に射撃をしないのは妥当だろう。
在留邦人の避難には人質救出とは別の難しさがある。救出の対象人員が多すぎるのだ。例えば韓国には約3万人の居住者の他に旅行者も約3万人と見られ、中国には14万人、うち上海に6万人近くが居住している。その輸送のための空港や港湾の使用の協定はなく、戦乱や暴動、災害の場合、大混乱のさなかに相手国の同意を得られるか否かは定かでない。
1997年に合意された「日米防衛協力のための指針」(ガイドラインズ)では「日米両国政府は、自国の国民の退避及び現地当局との関係について各々責任を有する」と定めており、米国の助力も期待できない。
安倍首相は2月2日参議院予算委員会で「国民の命、安全を守ることは政府の責任であり、その最高責任者は私だ」と述べた。だが、政府の責任は一義的には自国の主権の及ぶ範囲内で、自国民、外国人を問わず、その安全を守ることにあり、他国の主権下の地域での邦人保護には自ずと限界がある。政府があまり「責任」を強調すれば、権利はないのに責任だけを負い、国民に過大な期待を抱かせる結果となるだろう。
もし海外での戦乱、暴動などの際、自衛隊を出動させて邦人救出に一度成功すれば、次に、内陸であるとか、暴徒の勢力が強すぎるなど、はるかに状況が悪い場合でも、留守家族や同僚、経済団体、マスメディアなどが自衛隊の出動を求め、「前回とちがい危険が高すぎる」と言えば「危険だからこそ助けに行ってくれと言っているのだ」「前は助けたのに見殺しにする気か」などと政府、自衛隊が非難され、やむなく派遣した部隊が孤立でもすれば、大部隊を送って本格的戦闘をする必要も起こりかねない。
日本の旅券には「日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。日本国外務大臣」と書かれ、保護は相手国の官憲にお願いしている。海外への渡航は本来他国の主権に身を委ねる行為なのだ。
日本政府が海外各地の危険度などの情報提供や、相手国政府との交渉などで邦人保護に努めるのは当然だが、軍事力による保護はいかに法律を変えても現実的に困難であることを周知させることが重要と考える。
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田岡俊次