榎本秋「歴代征夷大将軍総覧」

2011年09月26日 22時38分24秒 | 巻十六 読書感想
古今東西の歴史について考えるに、
どうも解せないというかよく解らないことがままある。自分にとって。

たとえば、ゲルマン民族の大移動からフランク王国、そして独仏国家成立に至る道筋とか。
道筋ってのが漠然とした言い方だとしたら、
必然性というか因果関係と言ってもいい。

ああ、なんで社会主義政権では書記が偉いのか、ってのもあるなw

そういう流れで、
たかだか役職の一つである征夷大将軍が武士政権の長として最高の権威を得るに至った経緯も、
やはり興味深いところだ。

まあ、たぶんネットでちゃらっと検索でもすれば
なんとなく結論が得られるんだろうが、
そこはそれ、
なんとなく入門的な新書を手に取るのも一興。
ある種の暇つぶしとしても。(いい意味で)

歴代征夷大将軍総覧 (幻冬舎新書)
クリエーター情報なし
幻冬舎


文字通り「総覧」しており、
その意味で不足はない。
摂家将軍とか親王将軍とか、存在も知らんかったので、
素直に勉強になった。

巻末の参考文献を眺めるに、
参照元は学術論文などではなくほとんどライトな「文献」のようだ。
そういうこともあり、ウィキペディア眺めたほうが情報量が多いという気もする(記述の正当性は置いておいて)。
しかしそれでも、とっつきやすさではこうした新書判に軍配が上がるだろう。

冒頭で挙げた「将軍」職の変質については、
よく解ったような解んないような、
まあこれは俺の読解が悪いということでいいけど。

気楽な読み物としては十分なものでございました。

それを前提に、ちょっと突込みどころを。
◆各項のタイトル部に将軍の生没年しか書いてないけど、
 在位年も並べて書いていないとダメ(断言)。
 それがあればだいぶ理解しやすくなる。
◆ほぼ同じ理由で、簡単な年表がほしかった。
 特に、将軍と執権や老中などとの対応関係とか、
 一目でわかると理解しやすい。
◆各将軍のタイトル部(名前)に読み仮名がほしかった。
 たとえば前将軍の項の本文中で一度読み仮名が出ていると、
 当の将軍の項では読み仮名なしだったりする(例:足利義尚)。
 ちょっと不親切。
◆最後、徳川慶喜の項が終わるとそのままあとがきもなく終了。
 ちょっとさびしい。
 一応前書きがあるんだから、まとめ的なページがないのは不十分。
◆今は水沢市じゃなくて奥州市だよ。
 まあこれは些細なハナシだが。

以上、文章表現も含めてもうちょっと感がありはしたが、
あんまり期待もしないで手に取ったので総体的に満足。
ライトな感覚で寝っ転びながら歴史をさらいたい方へ、おすすめ。
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