岩手磐井の鄙びた町から大都会仙台市に単身出てきたのは、大学進学のとき。
さすが東北の誇る大都会。
平成最初期の当時、アーケード街の至るところに大小様々な本屋さんがあって。
数々のレコード(CD)店と共に、私の知的物欲をいつも激しく刺激してくれたのだった。
特に、サンモール一番町。
大学時代に所属していた交響楽団の部室は片平キャンパスにあって。
さらに、行きつけに選んだ理髪店もたまたまこの界隈にあって。
当時私は川内に暮らしていたが、上記の事情によりサンモールが生活圏の一部となっていた。
その頃この商店街には、僅かな距離の間に3つの書店があったと思う。
その中でも、丸善と金港堂さんには大変お世話になったな。
丸善は言わずと知れた大規模書店。
だいたいのタイトルは手に入る。
一方の金港堂は、当時の自分にとってはマンガの単行本が充実している店。
それが当時の私の認識だったと思う。
当時、金港堂は2階がコミックコーナーで。
足を運ぶだけでワクワクしたっけな。
もちろん、地下1階の専門書コーナーも含め、知的好奇心と物欲を十分に満たしてくれる店であった。
雰囲気がとっても落ち着いていて。
地元関係の著作も充実してたな。
その後、学校を卒業し、仙台市民でもなくなった。
生活圏というか日常的な行動範囲が仙台駅と職場を結ぶルートとなった。
そして丸善は駅前に移転し、ネット書店の隆盛も相まって私がサンモールに立ち寄り金港堂を訪れることはほとんどなくなったのであった。
懐かしさ半分で、ここ数年以内に何度か行ってみたこともある。
2階のコミックコーナーに往時の姿はなく、店全体の賑わいも寂しい状況だな、と正直感じたっけな。
閉店に際して、残念とか惜しいとか、そんな声を上げる資格は私に無いと思う。
実質ここ20年以上、顧客じゃなかったからね。
でも、平成初頭にあんなにたくさんあった中心街の書店が軒並み姿を消してしまった今、最後に残った僅かな灯火の一つが消えるのだな、という感慨は禁じ得ない。
おせわになりました。
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