宇多田ヒカル 「BLUE」

2006年10月11日 21時58分00秒 | 巻二 起居注
「あぁ、変な色の夕焼けだなぁ。」

誰かの声で、僕も思わず窓際に振り向いた。

そこには
全然紫色の、少々混沌とした空が
西の方から仙台の街を意味ありげに包んでいたのだ。

ULTRA BLUE
宇多田ヒカル
東芝EMI

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たとえば言葉が表現されるとき。
それは口腔から発せられる摩擦音などとしての言葉。
それは原稿用紙数十枚の文字として置き去りにされる単語たち。
それは、かすかな憂鬱色を帯びた調子で、
時として受話器の向こう側から聞こえてしまうこともあるらしい。

…そんな世界に、比喩ではなく僕は住み着いて三十有余年。
一体全体、その三十数年間のうち、
こんな宙ぶらりんな嫌悪感と後逸感に苛まれていた期間は
どのくらいの割合なんだろうか。

「あぁ、変な思考様式だなぁ」
誰かのそんな声で、僕は振り向いた。
後ろには、誰もいなかった。
居なかったどころか、真っ暗闇の空間に、
自分のタドタドシゲなアシアトひとつ。

生憎(あいにく)、そういう生き方しか出来ないのだ。

言ってみれば、
理性と情念の分離構造とでも表現できる構築物に
僕は迷い込んで久しい。
「理屈」では分かっているのだ。
どうしようもない事象なんかほっといても何の支障も生じないということを
他の誰よりも知っているつもりなのだ。
だから、どうした。?

ブルーは、そんな人種の特権。
ブルーは、秋の空の色。
ブルーは、秋の海の色。
ブルーは、一切のマヤカシを内包しつつスピード違反を繰り返す、
そんな特権階級の心象風景のみに存在を許された、
パレットの一番左かわの色。

いつかきっと、
誰かが僕に教えてくれたり
誰かが僕に囁いてくれる日を
憎悪と皮肉と嘲笑と落胆と挫折感を込めて、
僕は待っています。
「あぁ、なんて真っ青な空なんだ!」

執行猶予3791時間を希望。
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