渡邉義浩「三国志 演義から正史、そして史実へ」

2019年08月13日 10時56分43秒 | 巻十六 読書感想
書店に平積みだったので最近出た本かと思ってたら
初版は2011年3月だった。

新書の新刊は新聞広告なんかで情報を得るようにしてるのだけれど
その時期は本どころじゃないカオスの時期だったもんなあ。2011年3月。


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自分と三国志との出会いって、
小学校の頃にやってた人形劇をチラッと見たのがたぶん初めて。
本格的にその内容を知り、ハマるようになったのは
大学時代にゲームの三国志(光栄)をやるようになってからだ。

だから、あの漫画やあの小説から入る人たちに比べたら
たぶん異質なのかも知れない。

その後は、岩波文庫版や井波律子さん版の演義を読んだり、
ちくまの文庫版正史を揃えたり(読破は老後の課題)
いろんなムック本やゲームの攻略本()を漁ったり。

ああ、映画レッドクリフなんてのも観たっけ。
まあ、アレは、、

今現在でも、
コーエーの三国志11をやりこみ、14が出るという情報にワクワクしてる。
そんなくらいには、自分の人生でとても深く長く付き合ってもらってる。

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本の感想。

三言で言えば、
文章が読みやすい。趣旨がわかりやすい。論旨が腑に落ちる。

正史と、演義の代々のバージョンの生成過程。
それぞれが、エピソードや人物をどのように扱ってきたか。

なるほど、、と呟く個所は少なくなかった。

特筆すべきと思ったのは、本書の終盤。
演義ではほとんど(もしくは全く)触れられていないパートである。

九品中正制のことをここまで明快に知ったのは恥ずかしながら初めてだ。
そして、その制度によって、中世の貴族制が出来上がっていく。

竹林の七賢については、
司馬氏の権力奪取過程と絡めて解説されることで
実に理解が進んだ。
あと、韜晦っていう言葉の意味を初めて知った笑

司馬炎がアホの跡取り息子を廃さなかった理由も
儒教との関わりで説明されればなるほどなあ、と。


それと、語り口の絶妙さもよかったな。

たとえば、
嵆康の項の末尾で、嵆康を死に追いやった鍾会に触れたうえで、
その直後に鍾会による蜀征討を配置する。

この流れは、読んでいてとても気持ちがいい。
絵にかいたような、というか。場面転換が。

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やっぱり三国志は面白いな。
晋成立以後の大混乱の時代も含めて。
中国史の中で、この中世の時代が一番好き。

余談だが、
中国のいつの時代を中世と規定するか、
少なくとも自分の学生時代は「京大派」「東大派」に分かれてて
前者に属する我が研究室の流儀から行けば
あの時代はやはり中世なのである。
なんだそれ笑

あの論争、今はどーなってんだろ。

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と、いうことで。

国立東京博物館、まもなく行きます。

ほんとは3回くらい通いたいんだけどね。


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