近所の幹線道路沿いに、焼きいも屋の車が止まっていた。
ある事業所の敷地内で、焼きいものノボリを掲げ営業中。
とは言え、周囲は住宅が散在する地で、歩行者なんてほぼいない。
通りがかりのクルマがあのノボリに反応するのかも疑問。
そんな場所を歩いて通りすぎていたら、あることに気がついた。
スピーカーから、かなりの大音量で音楽を流しているのだ。
ああ、聴いたことがある曲だ。
何故に?何故に焼きいも屋が完全無欠のロックンローラー??
普通「いーしやーきいも~~」みたいな呼び込み流すんじゃないの??
その場でずっと聴いていたわけではないのでわからないが、ひょっとしたら「昭和ヤンキー曲集」みたいなメドレーの一曲なのかもしれない。
で、思ったのだが。
この曲、俺は無意識のうちに口ずさんでいた。
それこそ完全無欠とは言わないが、だいたい歌えてしまうのだ。歌詞が頭にこびりついている。
別に、この曲が流行っていた当時、好んで聴いていたわけではない。
ただ歌番組は好きだったので、それなりに耳にはしていただろうけど。
そんな程度で、歌詞って無意識のうちに刷り込まれちゃうものなのかね。
思えば、小学校当時のはやり歌。
氷雨とか、待つわとか、ハイスクールララバイとか、北酒場とか。ジャニーズも松田聖子も。
だいたいのヒット曲、ソラでほぼ歌えちゃうんだよな。
繰り返すが、曲自体は特別好きなわけではなくても。
こういう刷り込み?って、たぶん子どもの時分限定のような気がするんだよね。
思春期以降の世間のはやり歌、歌詞がスラスラ出てくる曲はまず無いような気がする。
不思議だ。
いかに、子どもの頃触れたものが大事であるか。そんなことも思わせる。
件の焼きいも屋。
辺りに鳴り響く完全無欠のロックンローラー。
とてもじゃないが繁盛する気配はなく。
なかなかに、シュールな風景だった。
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