ジャレド=ダイアモンド「文明崩壊上下巻」

2010年12月11日 17時54分24秒 | 巻十六 読書感想
「銃・病原菌・鉄」の著者による、破滅の類型と未来への希望。
いまさら読んでみますた。

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)
ジャレド・ダイアモンド
草思社


文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)
ジャレド・ダイアモンド
草思社


過去に栄えた文明が辿った破局のシナリオと、
現在進行中の破局への道(ただし軌道修正可能)。
この著者ならではの、知的好奇心をくすぐるような筆致。
日本語訳も見事。分厚くて重いテーマなのにスラスラ読める。

持続可能な社会を実現しないと、
我々の世界はあっという間に崩壊してしまう可能性をはらんでいる。
要は環境保護の重要性を説く書なのだが、
事は単に目の前の環境論にとどまらない。

たとえば、
グローバルな現代社会がいかに脆弱であるか知らされた「リーマンショック」。
自然災害と言うよりは人災の色が濃いハイチ大地震。
メキシコ湾の原油流出事故。
これら三つの出来事は、本書が上梓された後の話なのだが、
本書の中で空恐ろしいほどに予言されていたのだ。
この点だけとっても、
いかに著者の洞察力が途方もないか知られよう。

そしてこの書のクライマックスは終章に待っている。
環境保護をただ唱えるだけでなく、
リアルに実践的な方法論を教えてくれる。
しょせん企業は企業なので、
利益だとかブランドイメージを最大限に意識するものだ。
だから、「そこ」を突くべきだ、と。
賢明なる消費者たれ、ということか。

興奮の書なり。

---------- キリトリ -----------
↓前人未到の名著。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
ジャレド ダイアモンド
草思社


銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
ジャレド ダイアモンド
草思社

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