「二十一世紀の音霊」 一青窈ツアードキュメント

2006年07月24日 14時40分00秒 | 巻二 起居注
一青窈、は どうして歌っているんだろう。

伝えるために歌っている?
父や母に、そして、伝えたい全ての人に  ?

私は今日こう感じた。
一青窈は解き放つために歌っている。
彼女がその人生を通して経験し、目にし耳にし、
いろんな色や形で彼女の表層や深層に身に付けていた感情を、
1枚1枚剥していく作業なのではないか。

その剥がされていく1枚1枚が、
言わば1曲であり1ステージなのだ。
父への想い、母への想い、
家族への想い、みんなへの想い。
一青窈が自分の心の箱に閉じ込めていた感情が、
少しずつ「音霊」として照射される。

それでもそこには、
それを躊躇するかのような一青窈と
それでも自己を放していくのだという一青窈が混在している。
だから彼女はここ最近の新曲やアルバムやツアーで、
自分を解放していくことの意欲と実感と苦悩を
何ら隠すことなく私達に告白している。
その葛藤こそが、自己の解放という彼女の創作活動が必ず突き当たる壁。
その万里の長城が、
否応なく彼女の音楽にさらなる深みを与えずにいられない。

---------- キリトリ -----------

「二十一世紀の音霊」
『一青窈Yo&U Tour '06』ツアードキュメント番組。
フジテレビ721chで昨夜放送されたものを録画で観る。
夜勤明けのボクは、
昼から図らずも号泣に号泣を重ねてしまった。

---------- キリトリ -----------

この番組は、2時間。
1月の初リハから始まって、時系列的にツアーを追う。
最後は沖縄。
これはかなり貴重な記録だと思う。
8月に関東ローカルの地上波でも放送するようだが、
時間は60分。
ツアーDVDの限定版のほうにも収録されるようだが(たぶん)、
ここまで濃密な内容ではないだろう。

以下、感想の羅列。
(ネタバレ的内容が含まれているかもしれません。ご注意ください。)

---------- キリトリ -----------

作詞の過程
そこらへんにあるメモ帳やチラシの裏に
気になった言葉を書きとめているのは知ってたが、
彼女がそれをパソコンに「落としている」様子が写っていた。
それは、ひとつの作品と呼べるものではまだなく、
ワンフレーズワンフレーズの箇条書き。
これを、まるで並べ替えや組み合わせでもするようにして、
作品に仕上げていくようだ。
スタッフと雑談しながらも、
相手の話す「気になった言葉」はそのまま打ち込んでいく。

---------- キリトリ -----------

ステージのピーク
前回の「てとしゃん」ツアーが「ハナミズキ」だったとすれば、
今回のツアーのクライマックスは「さよならありがと」だったことが
改めてはっきりした。
しかし、一青窈は悩んでいた。
「さよならありがと」で感情のピークを持ってくることの難しさ。
武部聡志氏らスタッフと率直に意見をぶつけているようで、
それでも彼女は、その打ち合わせの場で
自分の「こうしたい」という想いを言葉にして伝えることの
難しさともどかしさの海を泳いでいるかのようだ。

---------- キリトリ -----------

バックステージパス
自分も応募したんだけどな…
みんな、窈さんと対面して1対1で話している。
羨ましいなんてものではない。
でも、外れてよかったのかも。
この自分は、彼女を前にしたら何を言ってしまっていたか
考えただけで恐ろしい。

---------- キリトリ -----------

仙台は、ほんの一瞬だった。
ステージ翌日、車から仙台駅に降り立って、
次の青森に移動するシーンだろう。
ほんとにほんの一瞬。
でも、僕もあの日その駅から同じ方向に新幹線に乗ったんだよ。

---------- キリトリ -----------

岡山。
「もらい泣き」のアレンジを変えたらしい。
仙台ではどんな感じだったっけ。忘れたよ。
岡山のバージョンは、とてもハードだった。
イントロなんて絶対「もらい泣き」とはわからない。
スタッフの反対を押し切っての、一青さんの「やりたいこと」だった。
そして、これがとてもカッコいい。
「もらい泣き」ほど、どんなアレンジでも素晴らしい世界を聴かせる曲はないと思う。

---------- キリトリ -----------

立つべきか。立たざるべきか。
ロックなら迷うことなく最初から座らないんだけど、
一青さんのステージはそういう訳にも行かない。
どこで立つ?立たない?みたいな一種の緊張感。
一青さんは、無理に立って欲しくはないけど
自然に観客が立ち上がるようなLIVEにしたい、ようだ。
そこがなんとも難しいところ。
「ハナミズキ」が聴きたくて来てる年配の方も結構いたりする訳で、
いわば年齢層は非常に幅広い窈さんファソ。
彼女の出したひとつの結論が、
上述の「もらい泣き」だった。
…仙台(の俺達)はたぶん大人しかったんだよね。

---------- キリトリ -----------

全国を食べる一青窈。
現地の美味いもんを喰ってるシーンが多い多い。
これまた美味そうに喰ってるし。
あなたのシアワセそうな笑顔を見てるだけで
僕はじゅうぶん満腹なんだけども。

---------- キリトリ -----------

忍ぶ石はどうなるの?
彼女の家の庭は、作品やトークに頻繁に出てきていて、
父親の植えたいろんな植物とか石(忍ぶ石)とか…。
この想い出の詰まった家を、
一青窈は壊す決心をした、という。
過去との訣別、なんて単純なものでもないだろうし、
我々には絶対わからない彼女なりのいろんな気持ちがあるはずだ。
この番組で、初めて(そしてたぶん最後の)彼女の「家」がみれた。
自分には取り敢えずそれだけで十分なのだ。
あなたの「アリガ十々」の風景を目にすることができただけで。

---------- キリトリ -----------

「また少しだけ君のこと
 無断で好きに」  
…なりました。        (「さよならありがと」から)

こんな男がこんな地球の片隅でこんな気持ちで一青さんを見ている。
一青さんを通して一青窈の歌う世界を感じている。
それで十分じゃないか!?
十分…なのか?  わかりません。

---------- キリトリ -----------

一青窈、は どうして歌っているんだろう。  ?

僕はあなたの歌に元気づけられたり
勇気づけられたり
愛とか優しさとか不器用さの意味を教えてもらうだけではない。
いや、むしろそんなことはどうだって良いのだ。
全然どうだって良いのだ。

私が声を聴きたい時に、
僕が少しだけ
春霞のようなどん底でクソ喰らえな気分を味わいたくなった時分にだけ、
ホントに少しだけ、
一青窈さんはその歌声を聴かせてくれれば。




---------- ちょっと宣伝 -----------

9/6 「一青窈 LIVE DVD Yo&U Tour'06」発売決定

2006年2月~4月にかけて行われ、
全国29ヶ所6万人を動員した「Yo&U Tour '06」の
東京国際フォーラム公演を収録したDVDの発売が決定!

「一青窈 LIVE DVD Yo&U Tour'06」
2006.09.06 in stores
【LIVE DVD収録曲】
1. Oh la la
2. Banana millefeuille
3. ピンクフラミンゴ
4. 影踏み
5. うれしいこと。
6. sunny side up
7. 翡翠
8. ぱぱへ
9. いないばぁ
10. ハナミズキ
11. 一思案
12. アンモナイト
13. ホチKiss
14. 指切り
15. もらい泣き
16. かざぐるま
17. さよならありがと
18. 大家
19. アリガ十々
20. &

●初回限定盤 COBA-4576~4577 
5,040(4,800)
CDサイズデジパック仕様 2枚組
通常盤DVD+限定盤DVD
※限定盤DVD=ツアードキュメント、インタビューを収録予定

●通常盤 COBA-4578 
3,990 (3,800)
トールケース仕様

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3 コメント

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わくわく度↑↑↑ (わこ)
2006-07-24 16:48:51
ご無沙汰してましたm(__)m



ご覧になられたのですね。





変わらずにあったかいな~朱さん



窈ちゃんへの想いも、

ご自身に対しても、

こうやって読ませていただく側へも。



たっぷりとネタバレがあるならUターンしたのですが、程よく(笑)でしたのでありがたかったです



わたしもこの素晴らしい人を知り、そしてライブに触れることができたことをシアワセに思っています。
返信する
読んでいるだけなのに (まイ♪)
2006-07-24 22:15:20
はじめまして。

私の家ではこの番組を見ることはできませんでした。ここで初めて番組の内容を読みました。

読んでいるだけなのに、深い感動を受けました。

私は、まだ中学生なので地元の岡山公演にしかいけれませんでした。

その公演の「もらい泣き」が一青さんの強い想いで実現したバージョンだったとは、本当に心から感動と、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

お家の取り壊しのことは悲しい。

でも、一青さんが決めた決断なら、やっぱり私たちファンには分かるような気持ちではないはず。

忍ぶ石や、MCに幾度も出てきたあの有名なお庭、お父様の植えた木。。

どれも形として無くなっても、私たちの中ではなくさないと決めました。

長文失礼いたしました。
返信する
ありがとうございます。 ()
2006-07-24 23:44:22
>わこさん

うっかりネタバレすみません。

一青窈さんについて書いていると

なぜか思い入れが激しくなってしまいます。

あとから読むとかなり恥ずかしかったり。



>まイ♪さん

はじめまして。

あの「もらい泣き」は素直に素敵だなと思いました。

イマの一青さんが歌うとこうなる、ということなのかなー。勝手な解釈ですが。

いろんな意味で裏切ってくれるのも彼女の魅力なんでしょーか。
返信する

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