季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

楽譜の製本

2019年12月18日 | 音楽
先ごろルーズリーフ仕様の楽譜を持って来た生徒がいた。何分僕は初めて見るもので、驚きが先に立ってしまった。なんてこった、安っぽい時代になって来たな、そんな感想がチラッとかすめた。

その後そんな事は頭から消えたまま自分が持っているあれこれを弾くうちにふと思い出した。

最近ではライセンス版が数多く出回っており解説も日本語で有難く、何より製本がしっかりしていて装丁も凝っているものが多い。便利な世の中になったものだと、何処かで満足していた。
 
ラフマニノフの諸作品、コルトー版のショパンなど僕が最近になって買い直したものだけはライセンス版なのである。

ところが使っている人なら分かるはずだが、ページをめくるとそこに止まってくれずに前のページに、いやそれどころか表紙に戻っていってしまう。

例えばラフマニノフのソナタやエチュードをいったい何回踏みつけて折り目をつけようとしただろう。表紙の厚紙は僕の顔よりなお皺くちゃなのだが、中身はこれまた僕と同様ピチピチしすぎている。

何年経っても一向に変わらない。古くから持っている楽譜はバラけていて我が猛練習を伺わせるのに充分で、これはこれで困る。

そこで上述のルーズリーフに目を向ければ、これはめくることによって閉じた側が傷むことも少ないし案外良いのかもしれないと見直したのである。

ラフマニノフに関してはライセンスを取得しているヤマハミュージックに何とか改善して貰えないかと電話したことがある。

その様なクレームを頂いたことはありません、お客様だけです、とのことであった。僕よりも体重がある人ばかりだったに違いない。ただ、その人達の楽譜は重さに負けてバラけているのではあるまいか。