家の庭で品種改良!

庭でみかんの品種改良やってます

マメキンカンの話

2015年02月03日 22時33分53秒 | 品種改良の話
前回ちょっと触れた、種をまいてからすぐ実が付くミカンの話を今日はしたいと思います!

そもそもミカンというのは「桃栗3年柿8年柚子の大馬鹿18年」のことわざにあるように
幼若期(簡単に言うと種をまいてから実がつくまでの期間のこと)が果樹の中でも特に長い植物なんです。
だいたい8~12年かかるそうです。
(さすがに18年は長すぎるような気がしますが…)

例えば、毎年1000の種をまいて品種改良をすると、(果樹研究所では毎年2000個くらいの種をまいているらしい!)
8年で実が付くと仮定しても8000個体の苗木が常に畑に植わっていることになるわけです。
一個体1㎡の面積の畑が必要だとすると(実際はもっと必要)、8000㎡の面積が必要になります。(しかも品種改良をしたところで大した利益はない!)
そんな大きい面積、利益なしでは、公企業でなけでば持つことができません。
となると個人で品種改良を行うことはほぼ不可能であるということになります!ガ~~ン(T_T)

ということで…
幼若期が短いミカンの品種を作るということは、個人が品種改良を行う上で必要不可欠なわけです!

そこで…
今、注目してるのは、マメキンカン
2~3年で実が付くという特別な形質を持っています!

ただ、このマメキンカンは4倍体で、1代目まで作れるものの、2代目を作ることができません。
(→4倍体×2倍体→3倍体×2倍体→交配不可能)
そして、開花期が普通のミカンとは違うので、(2か月ぐらい遅い)交配が難しい!
そして、多胚性という性質を持っているので花粉親(父親)には使えるが種子親(母親)に使いにくい!
(多胚性についてはいずれ触れます…)
という3つの大きな問題があって、まだ交配に至ってませ~~~ン…

4倍体の問題は2倍体のマメキンカンが日本のどっかにあるそうなので、いづれ手に入るだろうということにしてマス…(いつ手に入るのやら…)
(もしも、2倍体のマメキンカン持ってたらぜひくださ~~~~~い)
そして、ほかの2つの問題は交配の組み合わせで解決しようと考えています。
その組み合わせが…
(長実金柑×マメキンカン)×普通のミカン
これです!

長実金柑はマメキンカンと同じ開花期で単胚性(多胚性とは違い種子親にも花粉親にも使える)という性質を持っています。
つまり、長実金柑×マメキンカンの交配で、単胚性で2~3年で実が付く種子親に使える品種を作って、普通のミカンと交配しようというわけです。
まぁそんなうまくいかないとは思いますが、とにかく2倍体のマメキンカンが手に入り次第交配をしようかなと考えています。

文章ばっかな記事ですみません!
ではまた今度!








ポンカンについて

2015年01月30日 00時47分46秒 | 品種改良の話
今日、ポンカンを食べました!
この時期にしては、甘みが強くてびっくりしてます~

実はポンカンを交配親に使うと、糖度の高い子孫が出現しやすくなるらしいです。
たとえば、ミカンの中でも糖度15%になる甘い品種は、甘平・あすみ・せとみ・サザンレッドで、
それぞれ、
甘平
 →西之香×ポンカン
あすみ
 →(スイートスプリング×トロビタオレンジ)×(清見×ポンカン)
せとみ
 →清見×吉浦ポンカン
サザンレッド
 →カラマンダリン×ポンカン

という交配になっており、すべてポンカンが親に使われています!

ただ、ポンカンは種が多いという弱点があり、
ポンカンを交配親に使った品種改良では、子の代から種の多い個体が多く出現してしまいます。

具体的に言うと、
種をなくす一因になる、雄性不稔性(花粉ができない性質)は、核外遺伝子(母性遺伝する遺伝子)と核内遺伝子によって支配されているのですが、
核外遺伝子の雄性不稔に関する遺伝子をS、雄性稔性(花粉ができる)に関する遺伝子をFとし、
核内遺伝子の雄性不稔の遺伝子をr(劣性で遺伝)、雄性稔性の遺伝子をRとすると、
ポンカンは[F(RR)]と表されます(もしかすると[S(RR)]かもしれない)。
雄性不稔の品種は[S(rr)]なので、
雄性不稔の個体を親に使ってポンカンと交配しても、子は[S(Rr)]、つまり雄性稔性の個体になってしまいます…
(確かにF1である、甘平・せとみ・サザンレッドは雄性稔性の品種です)

ということで、ポンカンを親に使って、種が少なく甘い品種を作るためには、
F2(2代目)まで交配を進めなくてないけないということになります。([S(rr)]×[F(RR)]→[S(Rr)]×[S(Rr)]→[S(rr)][S(Rr)][S(RR)]=1:2:1)

とはいっても、種が少ない品種を作り出す方法は雄性不稔性の利用以外にも、
雌性不稔性(種の発達が止まる性質?)や無核紀州型雌性不稔性(受粉した種の発達が途中で止まる性質)、
3倍体(染色体数を通常の2本に対して3本にした個体)、単為結果性(受粉しなくても実が大きくなる性質)を利用する方法などもあるので
一概にF2まで交配をしなければいけない、というわけではありませんが…(甘平・せとみは、雌性不稔性の性質が強い(量的遺伝する)のでF1であるものの、種が少ない)


↑雄性不稔性によって花粉が退化した個体

こんな感じで、今後はこのような具体的な話も盛り込んでいこうかなぁと思っているので、
ミカンの品種改良に興味がある人はぜひ読んでみてください!(間違っているかもしれないので、信頼度50%くらいの気持ちで読んでください…(^_^.))