家の庭で品種改良!

庭でみかんの品種改良やってます

倍数性のカンキツには強い台木を

2021年11月26日 18時27分12秒 | カンキツ

今日、他大学の友達が、僕の大学を訪れてくれたんですが、第一声が「人多いね~」

うちの大学は春学期が始まってから全面対面授業をやってくれているのですが、どうやらほかの大学は必ずしもそうでもないみたいですね。

対面の授業が再開されて、改めて対面の良さを実感しています。

対面の方が学ぶことが多いというのももちろんそうだけれども、友達と駄弁ったりすることで、とても精神的に健康になれる感じがします笑

 

さて、今日は倍数性カンキツの話です。

このテーマは何回も取り上げているのですが、今まで漠然と感じていた"倍数性カンキツって成長が悪い"という印象を裏付ける論文を見つけたので、うちにある倍数性カンキツの様子を少し紹介しつつ、その論文に書いてあったことを紹介できたらと思っています。(とはいっても、1981年に発行された超古い論文です笑)

 

さて、今うちには倍数性カンキツと思われる苗が二つあります。

(昔あった苗は留学している間に枯れました笑)

一つは、ブンタンの小粒種子から発芽したもの、もう一つはメロゴールドから発芽したものです。

それぞれ、去年の冬に採種したもので、春にカラタチに寄せ接ぎをし、ちょうど一年目を迎えました。

 

まず、ブンタン小粒種子から得たものがこちら↓

ちょうど葉が三枚展開したときに接ぎ木をしたのですが、そこからいかに急速に成長したかがこの写真からよくわかります。

吸水能力が若干低いのか、かなりの頻度でしおれるので、寄せ接ぎした苗の根はまだ地面につないでいます。

 

枝にはところどころしわが見られます。どうも吸水能力が低い気がしてなりません

 

葉の色はかなり濃い目。この写真の葉は少し面白くて、カラタチのように一つの葉から三枚の葉が出ています。

ブンタンの全体像はこんな感じ。結局寄せ接ぎをして一回伸びたっきり、伸長せずに現在に至ります。

 

そして、メロゴールドの苗がこっち↓

わかりやすいですね笑

寄せ接ぎをした後、なかなか伸びずにいたのですが、2枚だけ伸長しました。

2枚目はかなりのビックサイズ。倍数性カンキツらしい姿をしています。

 

この二つが今うちにある倍数性カンキツです.

正確には、倍数性の調査はしていないので、絶対とは言えませんが、葉の感じなどから高い確率で倍数性カンキツだと思っています。

 

注目すべきは、この成長の遅さです。

寄せ接ぎをしたにもかかわらず、一年でこれだけしか伸びていません。

これまでも、発芽した倍数性カンキツの伸長が途中で止まるという現象は何回か確認していて、おそらく倍数性カンキツは成長が鈍るのだと思っていましたが、確かに先日読んだ論文にそのような趣旨のことが書いてありました。

 

タイトルは「寄せ接ぎによるカンキツ類の実生及び茎頂接ぎ木苗の成長促進」。

倍数性カンキツや、ウイルスフリー化させた苗への寄せ接ぎ/茎頂接ぎ木の効果を調べた論文です。そこに「カンキツ類の4倍体実生樹は2倍体実生樹に比べ根が粗大で少なく、生育が傲慢で、着花、結実までの期間が長い」とありました。どうやら倍数性カンキツの生育は確かに鈍いようです。

カンキツの台木としては、カラタチ以外にも、矮性カラタチの飛龍や、樹勢の強いレモン、シークワーサーが知られています。カラタチに寄せ接ぎしてもこの程度ですので、倍数性の可能性がある苗に関しては、より樹勢の強いレモンやシークワーサーなどの苗を台木として寄せ接ぎした方がいいのかもしれませんね。


シキキツ×マメキンカン その後

2021年11月23日 00時41分01秒 | シキキツ×マメキンカン

ご無沙汰してます…!また、2週間くらいさぼってしまいましたね、、

実は、ちょうど数日前にある種苗会社のオープンデーに行ってきたんです。

最近は、学部の物理学の勉強でバタバタしていて、しかも冬ということもあって品種改良と距離が空いてしまっていましたが、オープンデーを見て、ブリーダーさんとお話をして、またやる気が上がってきちゃいました笑 (単純…笑) どんなに社会が発展しようとも、その根底には"食"の文化があり、その根底を品種改良は陰ながら支えている…ほんとカッコいいお仕事です

 

で、やる気が出たのはいいんですが、やっぱり冬は、植物の動きが鈍くて、あまりネタがない…笑

7月にシキキツとマメキンカンの交配した種子が取れたという記事を書きましたが、それ以降何も報告をしていなかったので、ひとまず最近の近況報告を書こうと思います

あの交配からは、最終的に十数個の種が取れましたが、発芽させてみるとほとんどがシキキツと同じような葉の形。マメキンカンは四倍体なので、取れた種子はうまく交配ができているならば3倍体でありすぐ見分けがつくはず。今回も失敗してしまったかと肩を落としていたのですが、一つあやしい苗を見つけることができました!

それがこれ↓

 

これ単体だとあまり怪しさが分からないのですが、兄弟と並べてみると明確にその差を見ることができます。

右があやしい個体ですが、すこし矮性ががっているのが分かります。

サイズ感はこんな感じ↓

結構小さいです。

 

ちなみにもうお気づきかともいますが、寄せ接ぎを行っています。

発芽して少ししたころ、根腐れを起こしてしまったからです。

接ぎ木部はこんな感じ↓

根は染色体数を調べるかもしれないので一応残してあります。

 

という感じで、シキキツ×マメキンカンからは一応怪しい個体は得ることができました。

9月にもシキキツ×マメキンカンの交配を行いましたが、こちらはうまく交配できたようで順調に成長中です。

また、変化があれば報告します~


アブラナ科の最近

2021年11月08日 23時37分28秒 | アブラナ

ずいぶんと更新が遅くなってしまいました…!

確認してみると前回更新したのが先月の22日、、2,3週間ほったらかしてしまいました💦

寒くて成長遅いからあまりブログネタないんですけどね、といいたいところですが、結構な勢いでまだ成長を続けています

庭のスイートバジルなんかまだピンピン笑

このまま冬越しちゃうんじゃないの?っていう勢いです笑

 

最近何をしていたかというと、勉強をメインにやっていました。

専攻の物理学(量子力学や固体物理)と趣味の育種学を行ったり来たりしています。

全く接点のない分野に見えますが、両方とも確率がベースにあるという点で共通していて、そのつながりを見つけていくのがなかなか面白い…いつかこのことについても書きたいなぁ、、

 

さて、今日はアブラナ科の様子の報告です~

そんな大したネタではないけれど、交配用に育てている子がだんだんと大きくなってきました♪

発芽率が悪くて蒔き直したりもしたので、だいぶ成長が遅いですが、種をとるには問題ない大きさまで育ちました。

あとは花が咲くのをひたすらに待ちます。

 

ただ、この花を咲かせるというのもなかなか難しい。

花を咲かせるだけならば問題ないのだけれども、

交配をする場合は花が咲くタイミングをしっかり合わせないといけないから難しい。

カンキツの交配もそれがうまくいかず失敗してしまっています。

 

こういうところにやっぱり理論だけじゃどうにもならない難しさを感じます。

だからやめられないんですけどね…笑

 

早く大きくなりますよ~に