家の庭で品種改良!

庭でみかんの品種改良やってます

あすみ×西南のひかり 培地へ

2023年12月28日 11時41分44秒 | カンキツ

あすみ×西南のひかりの交配から多胚種子が得られたという話を少し前にしました

(あすみ×西南のひかり 多胚種子のその後 - 家の庭で品種改良! (goo.ne.jp))

胚は枯れることなく緑を保っていたのですが、ティッシュの上だと水分が多すぎるせいか根が伸びずどうも成長が鈍っていました。この状態が続くと枯れるだけだと思い、今日それらを寒天培地上に移植しました

 

 

培地はいつもどおりヴィトロプランツさんのMS培地を利用。

材料の殺菌は足りないかなと思いつつ75%エタノールで行いました

 

移植前の状態はこんな感じ↓でしたが、今後はここからしっかり根が伸びてくれると嬉しいですね

 

 

コメント (2)
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マメキンカン 単胚種子採種

2023年12月26日 16時02分38秒 | カンキツ

先日、サンシャイン水族館に行ってきたのですが、そこでリーフィーシードラゴンというタツノオトシゴを見ました。

リーフィーシードラゴンはNHKのダーウィンが来たなどで何度か見たことはあったのですが直接見るのは初めて。

 

生物とは思えない美しさに感動するとともに、そういえば学部時代タツノオトシゴの研究室があったなぁ、、そこも今考えれば魅力的だったなぁ、、なんて考えていました笑

 

さて、今日は久々にマメキンカンの話題です。

マメキンカンは多胚性品種です。多胚性品種では基本的に交雑胚を得ることはできないのですがたまに単胚種子が混ざることがあります。マメキンカンは胚数が多いので単胚が混ざる率も低いのですが、時々暇なときに探しています。

今年はなぜかわからないのですが春に萌芽が起きずしたがって春の開花もなかったのですが、その分夏に開花。その開花分がようやく熟してきました。そこから単胚種子を探したところなんと3つも発見。

 

 

温度が胚数に大きく影響することはよく知られていますがもしかすると気温が高い夏に開花したのが原因かもしれません(例えばこの論文を参照⇒2010292018.pdf (affrc.go.jp))。

これらの個体が親とどれだけ異なるかは親の遺伝子がどれだけヘテロ性を持っているかに依存しています。シキキツの単胚種子は思いのほか分離しましたがマメキンカンはどうでしょう、、運よく単胚性にでもなってくれればいいのですが…笑

 

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雪見イチゴ

2023年12月21日 12時39分50秒 | イチゴ

ちょうど先日イチゴの育種をされている方とお会いする機会がありました。

そこで話題になったのが桃薫というイチゴ、モモの香りがするといわれている品種です。

 

大抵そういう宣伝文句はあたらないことの方が多いですし、最近そういう誇張表現が増えている気がするのですが、この桃薫に関しては、(それをモモと表現すべきかはさておき)他の品種にない特別な香りを持っていて非常に驚かされたのを今でも覚えています。

なぜそんな改良ができたかというと野生種との交配を行ったから。F.Nilgerensisと呼ばれる独特な香りを持つ2倍体のワイルドベリーが親の親に使われています。

 

そんな品種の話をするうちに久々にイチゴ欲が発生、気づいたらF.Nilgerensisno苗をポチっとしていました笑

 

(3苗買ったのですが、よくよく見るとおまけで5苗入れてくれたみたいです、ありがとうございますm(__)m)

 

このF.Nilgerensisは日本では雪見イチゴという名前で流通しています。

ワイルドベリーなので桃薫ほど大きな実はつけませんが、香りは桃薫のそれを凌駕します。

通常のイチゴと異なりワイルドベリーは病気などにも強いので栽培が楽なのもいいですね

 

こちらも定期的に経過報告できればと思います、お楽しみに!

 

 

 

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赤カブ 自家不和合打破実験用

2023年12月17日 19時00分00秒 | 自家不和合性実験

以前、アブラナ科における自家不和性解除方法を紹介しました。

自家不和合打破手法のまとめ - 家の庭で品種改良! (goo.ne.jp)

①蕾受粉、②CO₂処理、③NaCl処理の3つを紹介しましたが、実際にどれが良いのかは肌感覚としてつかめていません

そこで実際に実験をして確かめることにしました!

 

ちょっと今から苗を育てるのでは少し時間がかかりすぎてしまうのでスーパーで安くなっていた赤カブを使うことにします

 

 

CO2処理は濃度管理が大変そうなので今回はなしとし、手軽にできそうな蕾受粉とNaCl処理を対象することにしました

4株あるので、1株は蕾受粉用、他の3株はNaCl用としてそれぞれの株で濃度を変えてみようと思います

 

蕾受粉はときどき使っていますがNaCl処理は初めての実装です。

さて、どう結果が出てくるのでしょう、、

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こ、これは面白いんじゃない…!?

2023年12月14日 21時40分57秒 | 勉強

今日は久々の論文紹介です

といっても論文の日本語レビューを読んだだけで原著を読んでいないのですが、カンキツの個人育種を行う人にとってはかなりの朗報なんじゃないかと思います。

 

紹介するのは熊本県農業試験場や佐賀大学が2022年に出した多胚性に関する論文です。

カンキツの交雑育種を効率的に行う方法を開発 | 佐賀大学広報室 (saga-u.ac.jp)

 

種子繁殖という観点から見るとカンキツは多胚性があることで有名です。

多胚性種子に含まれる種子親のクローンは若干の変異を含むため形質へのわずかな変化をもたらしたい場合非常に有効で、実際に多くの品種を生み出してきまいした。特に温州ミカンでは広く使われておりほとんどの品種がこの方法か枝変わりによって生じています。

一方、交雑育種の観点から見ると交雑胚の獲得確率が悪くなるためどちらかというと嫌悪される性質でした。特に交雑胚は珠心胚(種子親のクローン)と比べ生育が弱いため、胚発生の過程で失われてしまうと考えられていました。そして、それを回避するには果実が十分熟す前に胚を取り出し寒天培地上で育てる(In vitro)ことが必要とされてきました。

この研究では、実際 In Vitroとして胚救出をして育てる場合と、種子が熟したころに土に播種する場合(In Soil)ではどちらの方が効率よく交雑胚を獲得することができるかをマーカーを利用しながら改めて調査がなされています。そして結果として、In Soilでも十分交雑胚の獲得ができるほか、今まで常識として考えられてきた、交雑胚の生育が悪いという話は間違いであり、むしろ生育が良いことを突きつめました。

 

カンキツの育種では、非常に面白い性質を持っているにもかかわらず多胚性のため種子親として使えない、という場面が多々あります。胚数が少ない場合はたまに単胚が生じるため種子親として使えますがそうでない場合は基本的に無理だろうと今まで決めつけていただけに、今回の発表は非常に興味深いものでした!

マーカーを使えるほどのお金はないため交雑胚の選抜は葉の形状からするしかなく結局難しいことに変わりはありませんが、交雑胚獲得の可能性は十分あるとわかっただけでもありがたい話です。今後は多胚性品種も積極的に利用しながら交配を進められればと思います♪

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