家の庭で品種改良!

庭でみかんの品種改良やってます

一年たった実生

2023年11月29日 21時43分01秒 | カンキツ

最近は今年播種した個体の話題ばかりでしたが、今日は去年蒔いた実生の報告をしようと思います

去年は全体で3組み合わせの交配をして、結果的に2組み合わせを残すことにしました

それぞれセルトレーに移植し育てていましたが一年経ち、さらに大きく成長しました!

(あすみ×モロとありますが全く関係ありません笑)

 

秋から伸び始めた新芽にはしっかりとトゲも生えています!

 

夏場にかなり雑な管理をしてしまったため、本来よりも成長が遅れてしまったことは否めませんが、来年の春すぐ接ぎ木できるサイズにはなったかなと思います!

いままでは1個体ずつ別々のポットで管理していましたが、今年はセルトレイに移行しました。

理由としては、成長の大敵である乾燥を防ぐことが挙げられますが、確かにその成果は出たようです!

今年はわけあってひとまずポットに1個体ずつ植えていますが、本葉が固まったころセルトレイに移植しようと思います

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マメキンカン実生 結実

2023年11月27日 12時00分00秒 | カンキツ

カンキツは種を蒔いてから実がなるまでの期間(幼若期)が長い植物として有名で、それが品種改良の妨げになっているわけですが、そんななかマメキンカンと呼ばれる品種は特に幼若期が短いカンキツとして知られています。

私自身はその性質に着目してマメキンカン中心の交配をトライしているわけですが、実際のところどれくらいで実が実るのか具体的な数値を見たことがありませんでした。

そこで去年から"最短何年でマメキンカンを実らせられるかチャレンジ"をしています。

ひとまず今年の春に蒔いた種を無理やり大きな木に接ぎ木したところ、夏の終わりに開花を確認することができました

マメキンカン実生 開花 - 家の庭で品種改良! (goo.ne.jp)

 

約半年で花が咲くという驚異的な短さをみごと示してくれたわけですが、結局その花は実になることなく落ちてしまいました。

あら残念と思っていたのですがその2か月後に咲いた花はなんと落ちることなく残り現在に至ります!

それがこんな感じ↓↓

ひとまずこれでマメキンカンが種を蒔いてから1年以内に花を咲かせることを確認することができました

よくよく考えれば、こういう育種素材の性質の確認は交配に取り掛かる前に行うべきでしたね、、

また一つ勉強になりました

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自家不和合打破手法のまとめ

2023年11月24日 11時00分00秒 | 自家不和合性実験

アブラナ科は自家不和合性(自らの花粉で受粉しない性質)を持つため交配自体は比較的簡単に行えるのですが、それ以降、つまり交配を行って徐々に固定していく過程ではどうしても自家受粉をさせる必要があるため、何らかの方法を使ってこの自家不和合性の性質を取り除く必要があります。いくつか方法は知られているのですが、検索しても具体的な方法が提示されいてるサイトはなく、情報収集に苦労した覚えがあります。大学院に入りだいぶ英論を読むことにも慣れてきたので、それらを参考に、自家不和合性の解除方法として代表的な3つ、①蕾受粉, ②NaCl処理, ③CO₂処理の方法をここにまとめていこうと思います。

そして、まとめるだけだとつまらないので、それら3種の方法を実際に行って比較できればと考えています。新しく「自家不和合性実験」というカテゴリーを作ったので、興味のある方はそちらを時々覗いてください!

 

まず①の蕾受粉ですが、開花前は自家不和合性が弱いことを利用した手法です。

おそらく3つの中では最も古くから使われている手法なんじゃないかと思います。

非常に単純な方法で特に論文を紹介するまでもないのでここでは論文は特に引用していません。

方法は簡単で、花が開花する2~3日前に花を開き柱頭を露出させそこに花粉をつけて受粉します。

ちょうどよい動画がYoutubeに挙がっていたのでそちらを挙げておきます

((15) Bud pollination procedure in cauliflower. By Pawan sahu (M.Sc-Olericulture) - YouTube)

すでにお気づきかと思いますが問題点は効率が悪いことです

一つ一つ手作業で進めていかないといけないため多くの種子を必要とする場合にはあまり向きません

 

つぎに、②のCO₂処理についてです。

[1]の論文を見ると様々な自家不和合性打破の手法が載っているのですが、そこで引用されていた論文[2]を参照させていただきます。

この方法は自家受粉した植物体をCO₂条件下に数時間おき、自家受粉を打破する方法です。

だいたい3~5%程のCO₂条件下に5時間ほど植物体を置くとかなり受粉率が上がるそうです。

3~5%のキープはかなり難しそうに思われますが、論文では一時間おきに濃度をチェック&調整している程度なのでそこまで厳密である必要はないと思います。

また蕾受粉をした個体をCO₂条件下に置くとさらに受粉率が上がるそうです。

問題点としてはCO₂の準備やCO₂濃度の調査がやや困難であることが挙げられますが、それさえクリアできればかなり良い方法だと思います

 

最後に③のNaCl処理についてです。

おそらくこの手法はTao and Yangによって1980年に提唱されたものだと思うのですが、今回はその論文ではなく[3]の論文を参考にさせていただきました。

②と③の手法はいままで見てきたようにそれぞれ欠点を持つのですが、それを克服する形でこの手法が提案されています。

方法は単純で、15g/Lの濃度のNaCl水溶液を受粉の10~15分前に柱頭に対して散布するだけです。

それにより花粉の発芽率なんかが上がるそうです(あまりモリキュラーの話は強くないので詳しくは原著をどうぞ笑)。

上記の2つの方法と違い、わざわざ特別な設備を用意する必要もありませんし、作業もそこまで大変ではありません

 

以上がアブラナ科の育種で問題になってくる自家不和合性の打破の方法でした。

ちょうどF1の個体で、今年F2を自家受粉で取りたい個体がありますので、今回紹介した方法を試しながらよし悪しを皆様にご報告できたらと思います

 

参考文献

[1] アブラナ科植物における生殖形質の遺伝学的研究とその育種への展開, 新倉聡, 育種学研究, 9:153-160, 2007

[2] Self-Seed Production by CO2 Gas Treatment in Self-incompatible Cabbage, Tetsu Nakanishi and Kokichi Hinata, Euphytica, 24: 117-120, 1975

[3] Use of Sodium Chloride Solution to Overcome Self-incompatibility in Brassica campestris, Antonio A. Monteiro et. al., HortScience, 23(5): 876-877, 1988

 

 

そういえば今日植え替えをしました。

4×7で植えるつもりだったんですが、4×8にしていました笑

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だいぶ伸長

2023年11月22日 23時03分15秒 | ブラッドライム交配

10月31日に蒔いたカンキツの種ですが、3週間ほどたちかなり大きく伸張してきました!

21日の投稿ですでに2苗の間で個体間差が見られているとのことを言っていましたが、さらに1週間ほどたちその違いが顕著になってきました!

 

⇓ こちらがやや成長の鈍い個体。ゆっくりゆっくり伸長しています

 

⇓ そしてこちらが伸長の早い個体。徒長しているだけにも見えますが、2苗とも同じ場所で管理しているので場所による違いはあまりないものと考えられます

 

ひとまずここまでは順調な成長を見せていますが、来週から一段と寒くなるそうなので、少し心配です。

特にこれらの実生はどちらかというと寒さに弱い遺伝子を継いでいるのであまり油断はできません

室内で大切に大切に育てていこうと思います

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ん~、、微妙

2023年11月19日 11時29分27秒 | カンキツ

ようやくカンキツのシーズンが始まりましたね

うちでも早生の西南のひかりが熟し始めてきました

晩生のものも遅れながらも着色しつつあります

 

食べることを考えると晩生のものはまだ待っておくべきですが、種子を採種するという意味では、早生も晩生も大体この時期には十分種が熟しています。それでもいままでは実が完全に熟すまで採種を待っていたのですが今年からは早生晩生に関わらず早い時期に採種をすることにしました

 

こちらが今年交配した果実です。右と左で花粉親が違います

交配自体はこの5倍くらいやったのですが、ほとんどうまくいかず落ちてしまいました。

 

だいたいこういう場合は一果あたりの種子の数も少ないのですが、おそるおそる中を開いてみると…

右と左それぞれから3粒づつしか取れませんでした笑

 

しかも左の3粒のうち、1粒はなんと多胚…

学術的にはとても興味がありますが、実践上は最悪です、、、

 

しかも右の交配に関しては3粒中1粒で胚が腐っており、残りの個体もあまり状態のよい種子ではありませんでした、、

 

ということで、以前とった種子も含め今年は交配から6苗しか取れませんでした

100くらいとれた去年とは全然違う状況です、、

ちょっと今年は難しい(遺伝的距離の遠い)組み合わせに挑戦したのですがそれがあだとなってしまったようです

 

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