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ニートクリスマス番外編<日曜日のストレンジャー>

2018-04-02 02:42:50 | ニートクリスマス後編

前回
③ニートクリスマス番外編 わたしの首領




 同じパターンを繰り返した僕は、再びあの状況へ巻き戻した。

石野真子 日曜日はストレンジャー

日曜日はストレンジャー
クリエーター情報なし
Victor




「ドライヤーありがと」

「ああ、うん、ちゃんと乾いたか?」

「うん、ありがと」
「ちょっと帰るから車かしてくれる?」

「え、あの、俺送って行くけど」

「家に行ったら、あれでしょ」
「また来るから車ちょっと貸して」

「カノ、彼氏とかいるんじゃないのか?」

「いるけどなにか?」



「彼氏がいるなら、俺みたいなニート相手しちゃダメだろ」

「よくわかんない」
「車だけちょっと貸して」

「どこにも出かけないでしょ?」

「まあ、このとおりだから俺」

「じゃ、あしたまた来るから」



(カノは俺の車を運転して実家へ帰ると・・・)



「何日か泊めてくれる?」

「何日かって心配するんじゃないのか?」

「心配しないよ 近くだし」

 クドウがまた、その晩にやって来た。一度起きたことは、どう巻き戻しても再びそこに訪れる。しかし、それは俺へのご褒美なのだと感じた。



「クドウ!」
「家で揉めたかなんかしたのか?」

「泊めてくれる?」

「それは俺にとってはご褒美にしか過ぎないんだよ」
「俺はクドウに”ヤラせてくれ”ってしか言えないぜ」

「夕べだって、カノは泊まったんじゃないの?」

「泊まったよ」
「昼に弟が迎えに来て、そのあと俺の車借りて帰ったよ」
「俺はカノの両親にも面と向かって紹介できない立場なんだぜ」
「前は会社でおまえらに会ったけど、今はニート、無職だぜ」
「カノとクドウは少しは心配してくれたのか?ニートが珍しくてか?は知らないが」
「俺にとっちゃそれがご褒美。まあ、おまえらと会った頃は、少しは頑張ったからな」

「そういうつもりで来たわけじゃないんだけど」

「俺はクドウに”ヤラれてくれ”としか言えない」
「そんな男、両親に紹介できるか?」
「ニートだぜ、俺、この先の将来未定だぜ」
「俺の親もよそんちの縁談話し頼まれたりしてるけど」
「俺の見合い話しは一度も無いぜ」
「俺たちの同級生でも、何回か見合いしたとか聞いてるけど」
「クドウにだって、お見合いのひとつやふたつ来てるんじゃないのか?」

「あたしは別に、その・・・」

「俺は、クドウの両親に合わせるような顔ではない」
「せいぜい、今夜中にクドウの家に帰すことぐらいだ」
「それに、明日またカノが来るけど」
「カノにも俺は同じような立場だし」



「送って行くから帰るよ クドウ」
「揉めてないで、さっさと帰ったら親に謝れ」

「うん」

・・・・

「仕事早く見つけて頑張るんだよ」

「うん」

石野真子 ジュリーがライバル

ジュリーがライバル
クリエーター情報なし
Victor




「こんばんはー」

「こんばんはー」



「今夜は夕方の続きをやろうか」

「今夜は少し早めに落ちます」

「了解」



 翌日の夕方、カノが帰ってきた。

「車、ありがと」

「家の人心配したんじゃないか?」

「大丈夫」



「ちょっと荷物置かせてもらうね」

「ああ、うん、なにこれ?」

「着替えていい?」

「いいけど、夕べクドウが来てさー」



「なにかあった?」

「別になにもなかったけど」

「ふーん」



「クドウがなにもなくて来ないでしょ」

「あ、うん なんか家で揉めたらしくて」
「夕べ、でも、俺も泊めるわけいかないから」
「泣きべそかいてたけど帰した」

「ご飯食べた?」

「まだだけど、相槌ぐらいしろよ」



「クドウを帰したんだー」
「泊めればよかったのに」

「ニートの分際でそんなことできないよ」

「そうなんだー」

 カノからは微動だにしない空気が漂った。俺はカノのマイペースで作る料理をじっと待っていた。

「お盆かなにか敷いて食べれるよね」

「テーブルだすよ」

「いいよー別に今出さなくても」



 俺らは床の上にお盆を置いて料理を食べた。

「ごちそうさまー」

「ごちそうさまー、旨かったな」

「少ししたら、せんねん灸しない?」

「せんねん灸?そんなの買ってきたんだ」

「肩こりとか酷くて、この頃は腰痛もあって」
「アララギもどっか痛くない?」

「あちこち痛いけど、せんねん灸ってお灸のことか?」

「そう インスタントのだから、ツボに貼って火をつけるだけだから」

「そんなの誰かにやってもらったほうがよくないか?」

「頼めないから頼んでるんでしょ」

「俺やったことないぜ」

「最初、あたしがやるから、説明書もあるし、ツボは一緒でしょ」

「ええー」

「横になって、横になって」



「えっと」
「ここのツボに貼って火をつける」
「じっとしててね」

「はい」

・・・・・

「熱いんですけど」

「動かない」

「熱い?」

「だからさっきから熱いって」



「じゃ、今度は交代」
「肩こりのツボからやって」

こうしてふたりはお灸の時間を過ごした。

<ニートクリスマス番外編>
続く

次回
⑤ニートクリスマス番外編 ワンダーブギ

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