前回
浮気ホリデー<本能>
「これは僕が最初に始めたんだ」
「即席で世に出すスタイル」
タチバナモトハル、ナツコの子供。幼少期から詩を書くことが好きで、そして音楽にも目覚め、音楽の知識を生かしたDJと作詞家を目指して海外留学をしている。
「モトハル、そろそろ出番だぞ」
スノ、芸能プロデューサー。担当していたラジオ番組で、モトハルの投稿に目を付け、モトハルを海外留学に誘った。スノは海外マネジメントでモトハルとともに仕事を行っていた。
「スノさん、仕事のスケジュールが次々あって彼女とデートができないっす」
「それから、僕の書いた詩、いつ曲になるんですか?」
「近いうちにレコーディングして売り出す」
「それまではまず、顔を売っておくんだ」
「もうすでに僕の出したいのも出ちゃってますよ」
「次の新ネタも早く作らないといけないっす」
「出来たら教えてくれ」
「そしたらレコーディングに入る」
「今日の仕事、まずは頑張ってくれ」
(モトハルさん、入りまーす)
「タイガー」
「タイガー」
「魔法瓶タイガー」
(もう一回よろしいですか?)
「はい」
「よかったよ、サマー」
サマー、スノがプロデュースしている歌手。歌唱力が抜群でスノの恋人でもある。
「愛してるわ」
「きみの歌声に僕はメロメロさ」
「うれしい」
「仕事が終わったら、家でゆっくりと過ごそう」
「愛してる、あなた」
「あなたの好きな、だだちゃ豆煮てるね」
「あー・・・・」
フユヒコ。ナツコの旦那、アキオの学生時代の後輩。卒業後は通信会社に勤めている。
主人が出張から帰るまで、少しの間待って居られますか?
「はいだっち」
「なんならこちらにどうぞ」
「はいだっち」
「本格的ですだっちな」
「格好はわたしの趣味だけど」
「以前は主人の書斎でしたのよ」
「それをこのように改造して」
「夫婦で嗜むお部屋にしましてね」
「応接間としても使えるかしら?」
「主人の昔からのお知り合いですもんね」
「ゆっくりと寛いでいただけたらいいわ」
「アキオ先輩とは、大学のサークルでお世話になっただっち」
「主人はたしか、マウンテンサークルでしたよね?」
「登山とはちがって、山を眺め、麓を歩き、山菜やキノコなども見つけたりもしただっち」
「先輩はそれを日記に書いたり、小説にしてただっち」
「へー、主人はその頃から書くのが好きだったのね」
「わっちは、みんなより鈍間だっちから、トランシーバーを持ってもらってだっち」
「夢中になって遠くに行っても、連絡がとれるようにするのが役目だったっち」
「その後、通信会社に就職しただっち」
「でも、わっちの事業部は終了することになっただっち」
「あら、お気の毒ね」
「ちょっとお酒でも飲みながら、わたしにも話してくださいよ」
「わっちの事業部は、PHSという新型機種を開発して」
「小型でポケットサイズの携帯電話を世に出しただっち」
「ピッチ、ピッチと、もてはやされ、人気ブランドになっただっち」
「文字を送信する機能もいち早く始めただっち」
「他が10文字程度のものを、100文字以上送信することもいち早く出しただっち」
「携帯サイトも写メも初めに出したのは、わっちの事業部からだっち」
「遠く離れた場所から、いち早く携帯で文通が出来るようになっただっち」
「スマートフォンをいち早く世に出したのも、わっちの事業部だっち」
「そうなの、今はスマホが主流ですもんね」
「携帯が普及し始めた頃から、援助交際も流行したわよね?」
「音声だけの頃は、直接会うことしかできなかっただっち」
「昔のような文通なら、すぐに会わなくてもすんだだっち」
「だから、メールを送れるようにいち早く取り組んだだっち」
「それまで、パソコンをもってる人々しかできなかったことをだっち」
「パソコンを持たなくても文通ができるようにしただっち」
「そのフユヒコさんの会社の事業が終了するの?」
「開発も改良もしただっち」
「でもだっち」
「すぐに追随する企業にシェアを拡大されただっち」
「低価格で挑んでもだっち、シェアの差は拡げられる一方だっただっち」
「そして、二年後にPHS事業は終了するだっち」
「PHSはいつも肩身が狭かっただっち」
「肩身の狭さがいいように扱われただっち」
「流行したピッチも死語になるだっち」
「そのことをうちの主人に告げに来たの?フユヒコさん」
「わっちの身分がまだあるうちに」
「先輩と肩を並べて話したかっただっち」
「飲んで飲んで、ここでは無料ですから」
「10分おきに飲むだっち」
続く
次回
浮気ホリデー 丸ノ内サディスティック
浮気ホリデー<本能>
「これは僕が最初に始めたんだ」
「即席で世に出すスタイル」
タチバナモトハル、ナツコの子供。幼少期から詩を書くことが好きで、そして音楽にも目覚め、音楽の知識を生かしたDJと作詞家を目指して海外留学をしている。
「モトハル、そろそろ出番だぞ」
スノ、芸能プロデューサー。担当していたラジオ番組で、モトハルの投稿に目を付け、モトハルを海外留学に誘った。スノは海外マネジメントでモトハルとともに仕事を行っていた。
「スノさん、仕事のスケジュールが次々あって彼女とデートができないっす」
「それから、僕の書いた詩、いつ曲になるんですか?」
「近いうちにレコーディングして売り出す」
「それまではまず、顔を売っておくんだ」
「もうすでに僕の出したいのも出ちゃってますよ」
「次の新ネタも早く作らないといけないっす」
「出来たら教えてくれ」
「そしたらレコーディングに入る」
「今日の仕事、まずは頑張ってくれ」
(モトハルさん、入りまーす)
「タイガー」
「タイガー」
「魔法瓶タイガー」
(もう一回よろしいですか?)
「はい」
NIPPON | |
クリエーター情報なし | |
UNIVERSAL MUSIC LLC |
「よかったよ、サマー」
サマー、スノがプロデュースしている歌手。歌唱力が抜群でスノの恋人でもある。
「愛してるわ」
「きみの歌声に僕はメロメロさ」
「うれしい」
「仕事が終わったら、家でゆっくりと過ごそう」
「愛してる、あなた」
「あなたの好きな、だだちゃ豆煮てるね」
「あー・・・・」
フユヒコ。ナツコの旦那、アキオの学生時代の後輩。卒業後は通信会社に勤めている。
主人が出張から帰るまで、少しの間待って居られますか?
「はいだっち」
「なんならこちらにどうぞ」
「はいだっち」
「本格的ですだっちな」
「格好はわたしの趣味だけど」
「以前は主人の書斎でしたのよ」
「それをこのように改造して」
「夫婦で嗜むお部屋にしましてね」
「応接間としても使えるかしら?」
「主人の昔からのお知り合いですもんね」
「ゆっくりと寛いでいただけたらいいわ」
「アキオ先輩とは、大学のサークルでお世話になっただっち」
「主人はたしか、マウンテンサークルでしたよね?」
「登山とはちがって、山を眺め、麓を歩き、山菜やキノコなども見つけたりもしただっち」
「先輩はそれを日記に書いたり、小説にしてただっち」
「へー、主人はその頃から書くのが好きだったのね」
「わっちは、みんなより鈍間だっちから、トランシーバーを持ってもらってだっち」
「夢中になって遠くに行っても、連絡がとれるようにするのが役目だったっち」
「その後、通信会社に就職しただっち」
「でも、わっちの事業部は終了することになっただっち」
「あら、お気の毒ね」
「ちょっとお酒でも飲みながら、わたしにも話してくださいよ」
「わっちの事業部は、PHSという新型機種を開発して」
「小型でポケットサイズの携帯電話を世に出しただっち」
「ピッチ、ピッチと、もてはやされ、人気ブランドになっただっち」
「文字を送信する機能もいち早く始めただっち」
「他が10文字程度のものを、100文字以上送信することもいち早く出しただっち」
「携帯サイトも写メも初めに出したのは、わっちの事業部からだっち」
「遠く離れた場所から、いち早く携帯で文通が出来るようになっただっち」
「スマートフォンをいち早く世に出したのも、わっちの事業部だっち」
「そうなの、今はスマホが主流ですもんね」
「携帯が普及し始めた頃から、援助交際も流行したわよね?」
「音声だけの頃は、直接会うことしかできなかっただっち」
「昔のような文通なら、すぐに会わなくてもすんだだっち」
「だから、メールを送れるようにいち早く取り組んだだっち」
「それまで、パソコンをもってる人々しかできなかったことをだっち」
「パソコンを持たなくても文通ができるようにしただっち」
「そのフユヒコさんの会社の事業が終了するの?」
「開発も改良もしただっち」
「でもだっち」
「すぐに追随する企業にシェアを拡大されただっち」
「低価格で挑んでもだっち、シェアの差は拡げられる一方だっただっち」
「そして、二年後にPHS事業は終了するだっち」
「PHSはいつも肩身が狭かっただっち」
「肩身の狭さがいいように扱われただっち」
「流行したピッチも死語になるだっち」
「そのことをうちの主人に告げに来たの?フユヒコさん」
「わっちの身分がまだあるうちに」
「先輩と肩を並べて話したかっただっち」
「飲んで飲んで、ここでは無料ですから」
「10分おきに飲むだっち」
続く
次回
浮気ホリデー 丸ノ内サディスティック