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旧える天まるのブログ
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ヨミガエルガール<NO MORE ENCORE前編>

2018-11-11 13:54:50 | ヨミガエルガール

初回ヨミガエルガール傘がない

前回
ヨミガエルガール恋の予感



「息子は初め演奏家志望でな」
「その科目のハイスクールに通わせたんだが」
「彼女とかけおちしてしまってな」
「お互いに休学届けを出し、家出をしてジュジュという女の子を出産したのじゃ」
「行方不明になったわたしらは、やっとのこと、二人の居場所をみつけてな」
「二人を説得した」
「わたしらの親とローファが子供を預かり」
「ローファが一人前になるまで会わぬよう」
「説得した」
「しかし、わたしらの雑音が大きすぎた」
「ふたりの誓いの言葉をもう少し、よく聴こえるようにしてあげなければいけなかった」
「誓いの言葉が小さかったんじゃろう」

「…」
「…」

「ふたたびふたりは再会をし、暮らし始めた」
「だが…」



「MJ」



「ベーコ」
「キミは永遠だ」



「キミは永遠の自由を手に入れる」

「なんのこと?MJ」
「ジュジュとローファはどこなの?」
「会わせて!」



「見てるがいい」

「ジュジュ!」



「サーリー」
「ジュジュをかえせ!」



「ローファ」
「三人で永遠に暮らしましょ」

「う!」



「この井戸の下で」
「永遠に、永遠に」



「愛情を奪い」
「永遠に、ここに沈むの」

「済んだか?」

「さあ、わたしたちだけにして」



「ローファ!ーーーーーー」
「ジュジュ!ーーーーーー」



中森明菜 傘がない

傘がない
クリエーター情報なし
Universal Music LLC










「キミの自由だ」



「ローファとジュジュ」
「そして、カレッジで知り合ったサーリーまでもが誤って井戸に落ち」
「死んでしまった」





「そこには彼女もいて、命だけは助かった」
「だが、意識をもどしたときには」
「言葉と耳が使えなくなってのう」
「声帯と聴力を失っていたのじゃ」

「それで、ベーコさんは本を書くようになったんだ」

「わたしらが目にするのは、彼女の書いた本と写真雑誌ぐらいでな」
「あの日以降、会ったことがなくてのう」

「ベーコさんがどこにいるか、わかりませんか?」

「最近、妙なことを聞いて」
「彼女が訪ねにきてるようなことを耳にしたんじゃ」



「いつもよりクルクル回ってるだっちゃー」
「狼が走ってるだっちゃー」

あの後



「今日は祈りの宿に泊まりましょ」

「そうね」



「え!」

「なに?」



「コロモちゃん!」



「知り合い?」

「う、うん」



「あのですねー」

「なんかあったの?」



「輪っか付けただっち」

「追いかけるだっちゃ!」



「入れなかったみたいですー」

「ど、どいうこと?」

「ちょっと詳しく聞かせてくれる?」

「はいですー」



ヨミガエルガールNO MORE ENCORE後編


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灯の果て夢の果て<色>

2018-11-08 10:06:33 | 灯の果て夢の果て


<色>

 マッチ棒がトイレで用を足していると、扉の素通りする物音と「おかえなさい」という言葉が聴こえて来た。マッチ棒はパブ改め、宮古のバーのママがもどって来たと思い、急いでチャックを閉め手を洗い服装を整えトイレからカウンターにもどった。

「こんばんは」

「いらっしゃい、ええとー」

「町野さんです、今日、釜石に行ってきたんだって」
「カオリママです」

「初めまして、町野です」

「何もなかったでしょ?」

「いいえ」

「大観音見て来たんだって」

 白系のスーツにまとったエリコとは対照的に、黒のダウンジャケットを羽織り、体格は小太りで黒の髪の毛にパーマがかかり、中年の容姿とボスの貫禄。そして”トラック野郎”シリーズで”愛川欽也”の妻役を演じた”春川ますみ”似の日本のお母さんが入り混じり、そこにダークな感じも入り混じり、ダークな女は一緒いたエリコだった。

「ママのタイプでしょ」

「タイプだわー」

「お土産いただきましたー」

 エリコはマッチ棒が釜石大観音で買ったお土産の紙袋を持ち上げカオリママに見せると、マッチ棒は「中にお菓子が入ってますから」と一言。

「あら、気をつかっていただいて、あとで頂きますから」と、一言返し、ジャケットを着たままエリコと二人でカウンターの前に立った。

 店は閉店し、マッチ棒と3人で飲み始めた店内で、マッチ棒は池袋の妹さんに会ってここに訪れたことを改めて話した。

「妹はあそこじゃ、ユミコと呼んでいるようだけど、しばらく会ってなくてねー」
「それまであたしら、名古屋に居たのよ」
「母と別れた父が亡くなってねー。それで残した住居と、ここにお店を開いてね」
「前の旦那がフィリピン人集めて、ここを改装してショーパブ始めた頃に」
「妹も商売始めたいって言うから、その時ちょっと会ったぐらい」
「それから、お客さんが来なくてねー」

「それだけじゃないよ」

 エリコが店のことをかばうようなことを言い始めた。

「ここ二階でしょ」
「それで、二階で営業してると下から苦情があって」
「フィリピンから3人入って、わたし入れて四人」
「時間制で、間にちょっとしたショータイム入れると下に響いてね」
「けっこう揉めたの」

 再びカオリママが語りだした。

「あとは、前の旦那とフィリピン人が出て行って」
「その前から、あちこちでいろいろやったわ」
「ダイアルQ2がこれから儲かるとか、ウンタラカンタラって」
「まーバカみたいに、いろいろなこと言い出してね…」

「名古屋では何かやってたんですか?」

「キャバレー」

「この子ダンサーなのよ、ポールダンス?知ってる?」

 マッチ棒は名古屋でのことを聞くと、以前、エリコはキャバレーでポールダンスを踊っていて、そこでカオリママは受付をやっていて、その後に宮古へエリコとともに引っ越して来たという事情を聞いた。

「エリコ、今夜、踊って見せようか」

そういうと、エリコがカウンターから使われなくなったステージの方へ歩きだし、その後方に引かれていたカーテンを開くと中央にポールダンス用のポールが銀色に光り、天井から縦に繋がっていた。

 マッチ棒は銀色に光るポールに緊張感を覚え、ぬるくなったお湯割りを飲むと、再び尿意を感じトイレの方へ誘導された。トイレから戻るとエリコはおらず、カオリママだけがカウンターの前に立っていた。

「今、着替えに行ってるから、エリコ」

 エリコがポールダンスを踊るために着替えている最中、マッチ棒は『池袋のファッションヘルスであったことを話すべきか?』迷っていた。その迷いを打ち消すようにカオリママは、これまでいくつもの商売でうまくいかなかったことを数珠繋ぎのように話し、マッチ棒のことをふる様子にならなかった。

「今年、三陸博があるのよ」

「三陸博ですかー」

 博覧会バブルは大河ドラマ”独眼竜政宗”が放送された1987年に”東北博”をきっかけに各地で博覧会バブルが起き、宮古市では今年、”JAPAN EXPO”主催の三陸博が7月から行われる予定地となっていた。政宗ブームと東北博ブーム。バブル経済の後押しと博覧会バブル。売上税導入騒動から始まり、消費税の導入。宮城県知事と仙台市長のゼネコン汚職。『その諸悪の根幹は政宗にあるのでは?』と、二重三重に不快不信に思ってはいたが、宮古で行われるイベントを心待ちにしているカオリママたちの様子を伺うと、ブラックジョークにさえ、口にはしなかった。



高校生下宿: える天まるのブログ<高校生下宿> (ブログ文庫)
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ヨミガエルガール<恋の予感>

2018-11-04 14:08:19 | ヨミガエルガール
初回ヨミガエルガール傘がない

前回
ヨミガエルガールハリウッド・スキャンダル






「やあー」

「MJ」

「キミがカレッジ医学生のローファ君か」
「よろしく」

「ローファです」
「よろしく」



「X線グラビアの依頼が入った。ベーコ」

「そう」
「いまから引っ越すところ」
「それでMJ」

「なんだい?」

「わたしたち」
「ここにいるローファとジュジュの三人で暮らすことにしたから」
「新居も、もう決めてある」



「自由にしたらいい」
「俺の自由はキミの自由だ」
「仕事場で会おう、ベーコ」

「ベーコ、あの人が?」

「あの人がMJ」
「仕事のお世話をしてもらってるの」
「日が暮れるわ、急ぎましょ」



「そこに冷凍庫の物をぶら下げてくれ」

「はい」

「重いぞ」

「だいじょぶです」





「お疲れみたいねー」
「仕送りが無くてもやっていけるー?」
「ジュジュちゃんは元気ー?」



「キミには感謝してるよ」







「ジュジュ」
「もうすぐママが帰ってくる、先に食べてよう」

「うん、パーパ」



「X線グラビアはいつ頃、発売?」

「それがちょっと気になるところがみつかっちゃって、ベーコちゃん」

「どうかした?」

「X線でベーコちゃんの身体が透けてみえちゃうんだけどね」
「なんか怪しい影が見えてるんだよ」
「ベーコちゃん心あたりない?」

「どの辺なの?」

「読者がもっとも気になる部分なんだよ」
「肺の辺りは問題なかったんだけど」
「その、骨盤のあたりというか、その…」











「ローファなら、今日の授業は無いはずよ」



「カレッジ病院のことは俺たちにまかせな」
「なんとか都合、つけてやるぜ」



「おまたせ」



「分娩室が空いたわ」

「ドクター教授の奴らは?」

「ドクター教授には適当に誤魔化しておいた」

「彼女はカレッジ医大生でも一目置かれているんだ」

「ドクター教授が食事をしてる間にすましましょ、おいでベーコさん」

「はい」



中森明菜 恋の予感

恋の予感
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Universal Music LLC








リュウセイ



「落ち着いたら帰してもいいわ」
「ただ、今夜一晩は辛いかも」



「あとはよろしく」

「おつかれ、サーリー」



「うーうーんんーー」
「ハアーハアー」





「どうした?ベーコ!」

「ちょっと苦しくて」

「何があったんだ?」

「ハアーハアー」
「ちょっとまって、もうじき落ち着くから」



「今日、中絶をしたの」

「ど、どういうことだよ!」

「僕の子をか?」

「あなたの子かも、わからなくて」

「僕はベーコに産んでもらいたいんだ、そのためにカレッジで医学を学んでるんだ」
「ベーコとふたりで過ごしたあの家で、ジュジュは生まれた」
「僕はあの日のことを今でも忘れない」





「わたしたちは、まだ早すぎたの」
「わかって、ローファ」
「愛してる、だからわかって」

「ベーコ、僕に何をわかれって言うんだ?」

「ローファ」
「もう一度、あなたを信じたい」
「あなたなら、あなたなら、きっと…」



「わかったよ、今日は静かにしていよう」

「ローファ」



「サーリーがベーコを診てくれたのか」

「まあー何事も経験よ」

「ローファもここからカレッジに通うなんて、偉いわ」
「ねえジュジュちゃん、パパは偉いですねえー」



「ベーコおかえり、ちょうど、サーリーが来てくれたんだ」



「ベーコ!」



「追いかけたら?ローファ」

「ベーコ!」
「サーリーごめん」





「ひどい」

「ベーコ」

「わたしに恨みでもあるの?」

「ベーコ」




「ベーコ、悪かった、すぐにサーリーを帰すべきだった」
「ベーコの言うように、もう一度、お互い信じ合うべきだ」

「ジュジュが待ってる」



「ジュジュ?」



「ジュジュがいない!」



「ジュジュ?」

「おもてに出たのかも」



「僕は、あっち側を探す」

「わたしは向こう側を探してみるわ」





「ジュジュ!」
「サーリー!」



「この井戸に降りていった」



「MJ」
「なんでここに!」

「ベーコ」



「サーリー!」

「ジュジュをどこにつれていくんだ!」



「MJ」



次回
ヨミガエルガールNO MORE ENCORE前編


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厳しい目

2018-11-03 12:48:21 | 日記
 先月は、映画『音量を上げろタコ!何歌ってんのか全然わかんねぇんだよ』を観に行きました。
公開日当初は、宮城県ではTOHOシネマズ仙台とイオン富谷店とあともう一か所どこで、わずか3館の上映だったと思い、多少、遠方まで出かけ観て参りました。

 その日は、上映時間の間があいたため、繋ぎに今年話題になった『カメラを止めるな』と一緒に二本立てで映画を観ました。

 妻とふたりでその二本をみたのですが、観終わった感想は、二作品とも冒頭から血を流し、血だらけで具合が悪くなりそうだったと言ってました。翌日には、独り暮らしの娘から「水道代払い忘れて水道止められた!」と緊急の連絡が入るなど、連日、なにかと立て続けにあった日でした。

 映画は『カメラを止めるな』と立て続けに観ましたが、お世辞抜きで『音量を上げろ』のほうが良かったです。
『カメラを止めるな』は1映画監督としては無二の作品。で、みる価値もあるかもしれませんが、『音量を上げろ』は1映画監督としは継続性のある作品で、複数の作品を手掛けているだけに、映画を最寄の駅、バス停、空港などで例えると、そこで待っている身として、楽しめた作品でした。

 そういう意味では『カメラを止めるな』は「感じのいいタクシーにあたったかな」と、言った感じです。

 『音量を上げろタコ!何歌ってんのか全然わかんねぇんだよ』

は、冒頭でゴジラを思わせるシーンから始まり、ふうかのギターの形は落花生のようにも思え、ザ、ピーナッツかよ!ゴジラ対モスラかよ!と、ハチャメチャの連続。そして裏切られたようなエンディング。

 あるサイトのレビューでは、興行的に『爆死』と評して、「おい!ネタばれじゃねーか」とツッコみをいれたくもなりました。

 他の評価も厳しい評価のようですが、私はこの映画を観終わって、噂に聞く三木監督。そして、三木組と言われている俳優陣を目の当たりにして、厳しさをまざまざと感じました。

 各パーツは、これまでの三木ワールドを混ぜ込んでいて、更に今回は楽曲が加えられたことに新鮮味もありましたが、それがまた『厳し三木ワールド』にもなっていました。

 象徴されていたのは、岩松了さんのシーンで、老人になってもオーディションを受けるミュージシャンに容赦のないダメ出し。老人ばかり集まるオーディションにふうかも会場に訪れたが、オーディションのシーンもないまま物語は進んでゆき、「カットされたのか?」と思うほど、消化不良な感じのシーンでした。「厳しさはそこに表現されているのかも」と、思いました。

 噂に聞く、厳しい監督と厳しい俳優陣。今回、抜擢された吉岡里帆さんも、若手ですが強情そうで厳しい意見をもった印象があるので、映画レビューの厳しい評価は正しいのかもしれません。

私は少なくとも、この映画ではマネージャー役ではないと思いますが、1観客として、とても楽しめました。ただし、『カメラを止めるな』とは食べ合わせが悪かったようです。


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