日本郵政の社長進退 首相の姿勢が問われる
(中国新聞 社説)
'09/6/6
日本郵政の西川善文社長の進退問題が、自民党内を揺るがしている。鳩山邦夫総務相が自らの解任も覚悟の上で、社長続投を認めないと宣言しているからだ。
「かんぽの宿の売却問題などの責任を取って辞めるべきだ」。主管大臣である鳩山氏の言動をめぐり党内の亀裂が深まっている。「民間人事を政治がひっくり返すべきでない」と小泉純一郎元首相に近い勢力が批判を浴びせる一方で、鳩山氏に同調する議員もいる。
麻生太郎首相は続投を容認する考えと伝えられる。だが、そのリーダーシップは見えない。
三井住友銀行出身の西川氏は、小泉元首相から社長に招かれて3年余り。日本郵政は先月の指名委員会で続投を決め、今月末の株主総会で全株を持つ政府の承認を得ることにしていた。
この間、かんぽの宿の一括売却問題で、不透明な入札手続きが明るみに出た。国民の共有財産の処分をめぐる失点である。その責任も問われず、すんなり続投というのは、確かに理解に苦しむ。
政府は、株主総会までに日本郵政に業務改善の新目標をつくらせることを条件に、続投を認める方向で手を打ちたいようだ。だが鳩山氏はきのうも「こんな経営陣に郵政を任せることはできない」と西川体制を重ねて批判。自ら辞任はしないと言い切った。
「小さな問題」と調整役の与謝野馨財務相は平静を装うが、そうはいくまい。衆院選が迫る中、首相を支えてきた鳩山氏を更迭すれば、政権の打撃は大きい。交代も織り込んだ解散前の内閣改造説もささやかれているが、選挙目当てとの批判は免れないだろう。国民が納得できるような着地点をみいだす責任は、首相にある。
混迷を深める社長人事。その背景には、小泉改革の本丸とされた郵政民営化への評価が党内でも定まらないことがありそうだ。
「郵政民営化に賛成ではなかった」という麻生首相の国会答弁は記憶にまだ新しい。それを「笑っちゃうぐらいあきれている」と切って捨てた小泉氏こそが今回、陰の主役と言っていいのかもしれない。鳩山氏の意向をくんだ西川社長の後任探しの動きに対し、自ら阻止に動いたとされる。
小泉改革は貧困層を増やしたとして旗色が悪いが、郵政民営化はそのシンボル。ここで西川社長の更迭を認めれば、改革の後退が決定的になる。そんな危機感が小泉氏や周辺にはあるのだろう。
一方、麻生首相は郵政民営化で4分社化された経営形態を見直す考えをいったんは示した。鳩山氏も「影の部分は少なくしなければ」と、サービス低下が言われる郵便事業の見直しも必要と思っているようだ。ただ党内でのコンセンサスは得られていない。
4年前に党を大勝に導いた郵政民営化をどう評価し、問題があるならどう見直すか。党の政策としてまとめ上げてマニフェストに書き込み、国民に信を問う必要がある。ここでも、首相の姿勢や指導力が問われている。
日本郵政社長をめぐる自民党内のごたごたについて、中国新聞が社説で評論している。
今や地方紙の方がしっかりした事が書いてあり、余程信頼が置ける感じである。
麻生政権は、4年前に党を大勝に導いた郵政民営化をどう評価し、問題があるならどう見直すか。党の政策としてまとめ上げてマニフェストに書き込み、国民に信を問う必要がある
このことを問う総選挙にしたら良いのではないだろうか?