先日申し込んでいた
ペシャワール会のDVDが送られてきたので、夫と二人で早速見た。
マルワリード用水路は、素人が作る用水路とは思えないような規模で、
取水口など、かなり大きな構造物になっていた。
渇水地なのに時々来る集中豪雨で起きる鉄砲水も、吸収する必要性が有って、
かなり広い水路を作ることになったと言っておられた。
かつて農地だったが、渇水によって何も生えない荒地と化していた、殺伐とした広大な地域が、
今は青々とした麦畑になっている。
用水路の終点は、昔からの砂漠(ガンべり)で、其処に通水したら30万人くらいの人を養える畑が出来る見込みであると言う。
初めガンべりを緑化するなど無理だと言っていた人たちも、2年前くらいからはガンべり、ガンべりが合言葉となっているそうである。
中村哲さんは、「国際貢献と言う言葉はあまり好きでは有りません。」と言っておられた。
たまたま自分はアフガニスタンにいたからアフガニスタンの人が、渇水で困っておられるのを見かねて、水路を作ろうと思っただけで、
どこか遠くの人を助けると言うのではなく、自分のすぐそばの人が泣いていたら、どうして泣いているの?と訊ねて何とかしてあげたいと思うでしょう。私のしたことはそういうことなのです。」と言うような意味のことを話しておられた。
イエスキリストの有名な言葉に「汝の隣を愛せよ。」と言う言葉があるけれど、
中村哲さんの生き方は、この言葉を実地で実行されているものだと思った。
その他にも宗教施設(モスク)と子供の学校(マドラサ)、
難民キャンプを追われた孤児達の為の宿舎を備えたものを現在建設中で、
次から次に気が付かれた事をしてあげておられる姿には、頭が下がるを通り越して、言葉では表せない感動であった。
水路に水が流れ始めるのを皆で見ているシーンが有ったが、アフガニスタンの人たちはどんなに嬉しい事だろうと思うと、涙が滲み出して来て、嗚咽しそうになってしまった。
中村さんは新しい用水路だけでなく、昔から有るけれど使えなくなっていた用水路の修繕も、同時に進められて、そちらの方も水が満ちるようになっていた。
現地の人が、初めはこんな計画が出来るとは信じられなかったと言っておられた農業用用水路計画だけでなく、
今はガンべり砂漠に水を張ると言う計画も、みなの楽しみになっている。
あの広大な荒地を見たら、其処にあのような施設を作る事を計画するだけでも、気が遠くなるようなことなのに、寄付金を集めて現地の仕事の無い人たちに、仕事を用意する事で生活の道を提供しつつ、遂に恒久的に生きていけるための、農地を提供されたのである。
アフガニスタンの人たちが、「先生と日本人のお陰です。」と言っておられたけれど、私は日本人として何もしていないのに、中村さんのお陰で日本人として感謝される立場を頂いたのだな~と思った。
日本も、中村さんのされたことによって、計り知れない恩恵を頂いたのではないだろうか?
「アフガンに命の水を」ペシャワール会26年目のたたかい と言うDVDビデオは、
菅原文太の渋い声と共に、50数分間退屈する暇も無い、充実したものであった。