
病院に着いた次の日も、その次の日も、お天気がとってもいい日で穏やかな日が続いていた

二度目の手術を終えてからは、まだ、車椅子で、病院の周りを、散歩するくらいだったから、まさちゃん、一度車で、外の景色を見せてあげたかった・・・
看護婦さんに相談して、主治医の先生に、聞いてもらった~
お母ちゃんの主治医の先生ね、とっても熱心な優しい先生で、わざわざお母ちゃんの所に来て、「外出してもいいですよ、気分転換してきてください」って、許可してくれたんよ


まさちゃん、久しぶりに、おかあちゃんに、お化粧してあげたんだよ
看護婦さんが、お母ちゃん見て、「可愛い

お誕生日に、孫にもらった毛糸の帽子かぶって、お姉さんからのプレゼントの素敵なカーディガン羽織って、まさちゃんがプレゼントしたマフラーして、寒くないように、バッチリ準備してね


すぐ近くに甲の形をした甲山っていう山があってね
甲山が綺麗に紅葉して色づいているのが見えてきたら、お母ちゃん
「きれいやなぁ!」って、感激してたよ
だって、こんな風に景色眺めるの久しぶりだもんね~
しばらく走ると、海も、とっても綺麗に見えて、「きれいやなぁ~」って、なんべんも、言ってたわ
外出予定の一時間半は、あっという間に過ぎていったよ

その次の日も、とってもいい天気でね、今度は、ちがう所に連れてってあげようと、受付の人に、もっと、綺麗なところ、ありませんか?って聞いてみた
教えてもらったように、ゴルフ場を越えて、山道を車で登って行くと、レストランがあったあった!ここから眺める景色が綺麗だと教えてくれたんだっけ・・・
でもね、ここのレストランは、もう閉店して、やってなかったんよ

このレストランから、素晴らしい景色を眺められるように建物が建ててあるので、素晴らしい景色は、レストランの向こう側で、せっかくここまで、来たのに、、、って、仕方なく、写真、一枚撮って帰ろうとしたんだけどね
ちょっと待て、どこか、向こうに行ける道ないかなぁ~って、まさちゃん、お母ちゃんの車椅子押しながら、建物の端っこまで、行ってみた
そしたらね、なんとか、車椅子が通れるくらいの幅で、向こうに行ける 空き地があったんよ
でもな、これが、かなり、急な坂道やった・・・


ほんとは車椅子を押せるような坂道じゃなかった・・・
けど、ちょっと先に素晴らしい景色見えてるのに、ここで、まさちゃん、諦めるわけにいかへんかった

とにかく、お母ちゃんに、この景色見せてあげたかったんよ~
車椅子を逆にして、必死で、車椅子がずり落ちないように、支えながら、少しずつ、少しずつ、坂道を下って行った

平気なようなフリをして、ほんとは、必死やったけどね

やっと、少し平地にまで、来て、お母ちゃんに景色見せてあげたら

苦労して、ここまで、連れてきてあげて、よかった!まさちゃん、思ったよ
けど、苦労は、もうちょっと続いてたわ~



まさちゃん、車椅子あんまり、外で押したことないし、なんとか、下ってきたけどね、今度は、その急な坂道、登って行くこと、あんまり考えてなかったんだよね
それに、舗装されてない草も生えてる山道は、車輪も食い込んで、登って行くのが、これまた、大変やった

一生懸命、車椅子を押してるまさちゃんにお母ちゃんも、

舗装された道まで、たどり着いた時のホッとしたこと、、、

ちょっと、無謀なドライブやったけど、素晴らしい景色を見せたまさちゃんも、景色見て感激してくれたお母ちゃんも、満足して、病院に帰っていったんだよ~
きっと、ここからの景色も、坂道のことも、二人だけの大切な思い出だわ
さぁ今日も笑顔で、ガンバだね~
ながながと付き合ってくれた、あなたありがとうね
ここに来てくれたあなた、ほんとにありがとう

















