赤の地に縦の多数の絞りの線が入る椿「抜筆」。 一重のラッパ咲き中輪で、筒しべとの対比もきれいだ。葉全体が絞りの布のような質感を出している。
(2020-03 東京都 神代植物公園)
赤の地に縦の多数の絞りの線が入る椿「抜筆」。 一重のラッパ咲き中輪で、筒しべとの対比もきれいだ。葉全体が絞りの布のような質感を出している。
(2020-03 東京都 神代植物公園)
淡い紫の花が静かに咲く「ショウジョウバカマ」。白花もあって目を引く。猩々の赤い頭髪とはまったくかかわりのない清楚な花だ。春の野を飾る大切な花である。
(2020-03 南高尾)
カマ属の多年草。北海道から九州までの、やや湿った場所に生える。垂直分布が広く、人里近くの田んぼの畦道から高山帯の高層湿原まで生えている。
特徴
葉は広い線形でなめらか、根本から多数出てロゼット状に平らに広がる。花茎はその中から出て高さは10~20cm、先端に横向きに花が付く。花の色は生育場所によって、淡紅色、紫色、白色と変化に富んでいる。花期は低山では3~4月であるが、高山では雪渓が溶けたあとの6~7月になる。なお、花被は花が終わった後もそのまま残り、色あせはするものの、咲いたときの姿を残しているので、夏に緑の花が咲いている、といった姿となる。
繁殖は種子のほか、葉の先にできる不定芽によっても殖えることができる。
名前は、花が赤いのを猩々(中国の伝説上の動物のこと)になぞらえ、根生葉の重なりが袴に似ていることから名付けられたとされる。
蓮華がこれほど透明感のあるきれいな花だとは思わなかった。後ろで咲いているのはオオイヌノフグリ。春の野原は暖かで穏やかだ。心がのびのびとする。
(2020-03 川崎市 公園)
ゲンゲ(紫雲英、翹揺 Astragalus sinicus)はマメ科ゲンゲ属に分類される越年草である。中国原産。レンゲソウ(蓮華草)、レンゲとも呼ぶ。
特徴
湿ったところに生える。全体に柔らかな草である。茎の高さ10-25 cm。根本で枝分かれし、暖かい地方では水平方向に匍匐して60-150 cmまで伸びる場合もある。茎の先端は上を向く。また、根本から一回り細い匍匐茎を伸ばすこともある。葉は1回羽状複葉、小葉は円形に近い楕円形、先端は丸いか、少しくぼむ。1枚の葉では基部から先端まで小葉の大きさがあまり変わらない。花茎は葉腋から出てまっすぐに立ち、葉より突き出して花をつける。花は先端に輪生状にひとまとまりにつく。花色は紅紫色だが、まれに白色(クリーム色)の株もある。
利用・文化
ゲンゲの花は、良い「みつ源」になる。蜂蜜の源となる蜜源植物として利用されている。ギリシア神話では、祭壇に捧げる花を摘みに野に出た仲良し姉妹の話が知られている。ニンフが変身した蓮華草を誤って摘んでしまった姉のドリュオペが、代わりに蓮華草に変わってしまう。「花はみな女神が姿を変えたもの。もう花は摘まないで」、と言い残したという。
日本における利用・文化
春の季語。ゆでた若芽は食用にもなる(おひたし、汁の実、油いため他)。民間薬として利用されることがある(利尿や解熱など)。ゲンゲの花を歌ったわらべ歌もある。「春の小川」などが知られている。「手に取るな やはり野に置け 蓮華草」は、江戸時代に滝野瓢水が詠んだ俳句。遊女を身請しようとした友人を止めるために詠んだ句で、蓮華(遊女)は野に咲いている(自分のものではない)から美しいので、自分のものにしてはその美しさは失われてしまうという意味。転じて、ある人物を表舞台に立つべきではなかったと評する意味合いでも使われる(荒舩清十郎の項目を参照)。
乳牛を飼っているところでは、飼料とした。休耕田の雑草防止策にもなった。ゲンゲの生える中に不耕起直播して乾田期除草剤を使わないですむ方法、ゲンゲの枯れぬうちに入水、強力な有機酸を出させて雑草を枯死させる方法がある。ただしゲンゲは湿害に弱く、不耕起では連作障害が起きかねない。21世紀に入ってからは、外来種のアルファルファタコゾウムシによる被害がめだつ。
化学肥料が自由に使われるようになるまでは、緑肥(りょくひ = 草肥:くさごえ)および牛の飼料とするため、8-9月頃、稲刈り前の水田の水を抜いて種を蒔き翌春に花を咲かせていた。これはゲンゲ畑と呼ばれ「春の風物詩」であった。化学肥料は、20世紀に入ると生産が本格化したが、原材料が軍事物資という側面があり農業分野で大量に使用することがはばかられていた。このためゲンゲを水田や畑に緑肥として栽培することで化学肥料の使用を抑える手法が取られていた。戦後は、化学肥料の大量生産や使用が自由になったこと、また、保温折衷苗代の普及によりイネの早植えが可能になり、緑肥の生産スケジュールと被るようになったことも、ゲンゲ畑が急速に姿を消す原因の一つとなった。
窒素固定は、植物が大気中の窒素を取り込んで窒素肥料のようなかたちで蓄えることによる。ゲンゲは、根に球形の根粒がつく。ゲンゲの窒素固定力は強大で10 cmの生育でおおよそ10 アール 1 t の生草重、4-5 kg の窒素を供給し得る。普通15ないし20 cmに成長するからもっと多くなるはずである。
サーモンピンクの大輪のバラ「花音」。花音と書いてカノンと読ませる。最近のキラキラネームのようだが、外国人にもわかりやすいかもしれない。京成バラ園芸作出の2003年の品種だ。半剣弁高芯咲きの大輪が「ほかのバラことはしりません」とでもいいたげに花を開く。香りも強いという。
(2019-11 川崎市 生田緑地バラ苑)
とても大きな花が咲きます。
鮮やかなオレンジ色で咲き始め、徐々にサーモンピンクに色が変わっていきます。
フルーティーなよい香りがします。
品種名 かのん 【花音】 Kanon
作出 2003年 日本 京成バラ園芸株式会社
系統 HT ハイブリッドティ
花色 橙~サーモン
花形 半剣弁高芯咲き
花径 大輪
芳香 強香 ★★★★☆
開花 四季咲き ★★★★☆
樹高 1.7m