普通の水仙ニホンスイセンとは違って、中央部分の副花冠がラッパの形にとびでる「ラッパスイセン」。地中海原産のヒガンバナ科の植物だが、日本でも野性化しているらしい。黄色の目立つ花で、春の早い時期に咲くのでひときわ目立つ。「Seven Daffodils」の歌でよく知られるダフォディルという名前は、白い水仙ではなく、黄水仙とも呼ばれるこのラッパスイセンを指すことが多い。よく見ると繊細な花だ。
(2020-02 川崎市 路傍)
ラッパスイセンは西ヨーロッパに自生し、世界で広く栽培されている。ヨーロッパ東部、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどで野生化し、自然交雑種も見られる。園芸品種はDivision1 (Trumpet daffodils)であり、花の色や形が異なる多数の園芸品種がある。
球根は卵形、長さ3~5㎝、幅2~3㎝、外皮は淡褐色。葉は3~4個つき、葉身は扁平、長さ20~45㎝、幅5~12(15)㎜、粉白色を帯びる。花序は1個の花をつけ、長さ25~50㎝、苞は淡褐色、紙質。花は芳香があり、虫媒花。花被は淡黄色、幅5~7㎝。花被の筒部は1.5~2㎝、基部で急に細くなる。分離した花被片の部分は直立して、広がり、淡黄色、しばしば捩じれ、倒披針形、長さ2.5~3.5㎝、幅1~1.5㎝、先は鋭形。副花冠は黄色、筒状、長さ30~3.5㎜、幅15~25㎜、先はフレアー状にひろがり、しわがある。雄しべは、単列、副花冠の中間まで突き出る。花柱は葯を越えて2~5㎜突き出る。花柄は長さ5~10㎜。2n = 14。
ヤエラッパズイセン N. 'Telemonius Plenus' は花が黄色の八重のラッパスイセン
N. ×incomparabilis MilleはN. pseudonarcissus と N. poeticusとの自然交雑種。花が1個つき、黄色、副花冠が花被片のほぼ半長。
カンランズイセン N. ×odorus Linnaeusはラッパズイセン(N. pseudonarcissus)とキズイセン(N. jonquilla)との自然交雑種。花が1~4個つき、鮮黄色、副花冠が花被片の長さの1/2~3/4。
いくつかの亜種に分類されている。
●subsp. bicolor フランス、スペイン原産。花被片が淡黄色、副花冠が暗黄色。
●subsp. leonensis スペイン北部原産。葉が長さ35㎝以下と大きい・花被片が淡黄色、副花冠が黄色。
●subsp. minor スペイン北部原産。小型で高さ10~15㎝。花は幅約3㎝。
●subsp. moschatus フランス南部、スペイン北部原産。花被片が白色、副花冠も白色
●subsp. nobilis スペイン、ポルトガル原産、イベリア固有種。花が大きく、花被片が淡黄色~白色、副花冠は濃黄色。
●subsp. pallidiflorus スペイン、フランス原産。高さは低く、花は直径3~4㎝。花被片は基部で捩じれる。副花冠が淡色。2n=14。
[花期] 3~4月
[草丈] 20~30㎝
[生活型] 多年草
[生育場所] 栽培種
[分布] 帰化種 西ヨーロッパ原産