安倍首相一切妥協せず国際社会と連携・ASEM首脳会議
先着の安倍首相待たせ、中国「ホスト」演出
モンゴルで開かれているアジア欧州会議(ASEM)首脳会議に合わせて中国の李克強(リークォーチャン)首相が安倍首相との会談に応じたのは、南シナ海問題を巡る仲裁裁判の判決を受けて国際社会で孤立する事態に危機感を抱き、「中国包囲網」を主導する日本にくぎを刺す狙いがあったとみられる、会談は中国側の要求により、安倍首相が会場に先に到着したのに室外で待たされ、後から来た李氏が先に入室して安倍氏を迎える形式をとった。李氏は「ホスト」で、あくまで日本側の求めに応じて会談を受けたことを演出する狙いだ。
李氏は会談冒頭、「安定的な関係に向けた努力をしてほしい」と日中のぎくしゃくした関係の責任は日本側にあるとの主張を展開した。
安倍晋三首相は16日午前(日本時間同)、アジア欧州会議(ASEM)の地域・国際情勢に関する全体会合で、南シナ海問題をめぐってオランダ・ハーグの仲裁裁判所が中国の主張を全面否定する判断を出したことに言及し「当事国が判断に従うことにより、南シナ海における紛争の平和的解決につながっていくことを強く期待する」と改めて中国に裁定の受け入れを求めた、安倍首相はこの日も前日に行われたドイツなどの2国間会談と同様に南シナ海問題を提起。国際社会共通の懸念事項として各国と認識の一致を図ることで、国際司法を公然と無視する中国に対し裁定順守の圧力を一層強める狙いがありそうだ、会合で安倍首相は「海洋における法の支配の3原則」として(1)国家は法に基づいて主張を行う(2)力や威圧を用いない(3)紛争解決に平和的収拾を徹底する-の3点を強調。「航行や上空飛行の自由は地域の平和と安定にとって死活的に重要だ」と述べ、関係国が問題解決に向け努力する重要性を訴えた、一方、北朝鮮が核実験や弾道ミサイルの発射など挑発行動を続けている現状について「断固たる対応が必要」と指摘。その上で北朝鮮の非核化に向け「国連安全保障理事会決議の厳格な履行を通じ圧力を加えることが必要」として国際社会の結束を呼びかけた、北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさん(51)=拉致当時(13)=を含む日本人拉致問題にも言及し「拉致は基本的人権の侵害という国際社会の普遍的な問題だ」と述べ、拉致問題の解決に各国の理解と協力を求めた、安倍首相は同日午後(同)のASEM閉会式に出席後、ウランバートルを出発し、同日夜、帰京する。