ヤマトHD、値上げ効果で業績V字回復
宅配便最大手、ヤマトホールディングスの業績が急回復する。2019年3月期の連結営業利益は500億円程度と前期推定比で約8割増加しそうだ。アマゾンなど大口法人顧客のほか、個人向けの料金を引き上げた効果が出る。人材確保のための費用は増加するものの、大幅な増益を確保する。これまでヤマトHDは人手不足などに苦しんできた。「値上げ」という経営判断が奏功し、4年ぶりの増益に転じる
電子商取引の拡大で宅配便需要が大きく増加した一方、ドライバー不足で荷物をさばききれず、16年3月期から減益が続いていた。配送を外部委託する費用の増加などが重荷となった。17年3月には従業員への未払い残業代が発覚している
事業を立て直すため、17年春から法人顧客との値上げ交渉を本格化。一部は他社に移ったものの約6割で値上げが浸透した。同年10月には宅配子会社ヤマト運輸で「宅急便」の個人向け配送料金を平均15%引き上げた
値上げで得た原資をもとに、今期は人材確保に向けた投資を手厚くする。夜間配送に特化した組織を設け、1万人規模を新規採用する。3月には労使間で、3000人のトラック運転手を含む約5000人の契約社員を正社員登用する待遇改善策に合意。5月に切り替える
今期までは配送能力を超えた分の荷物の受け入れを制限するが、人員の増強が見込める来期からは受け入れ量を再び増やして成長につなげたい考えだ
人手不足は一段と深刻化しており、想定通り人材を確保できるかは不透明だ。18年1~3月期は荷物量が配送能力を上回ったため人材確保のコストがかさみ、10億円程度の営業赤字になったようだ。人手不足対策のコストが想定以上に膨らめば、値上げ効果が限られる恐れもある
日本経済新聞