米、遠のく追加経済対策
与野党対立で5000億ドル案否決
トランプ米政権と連邦議会による追加の新型コロナウイルス対策の実現が遠のいている。上院は10日、共和党が提案した5000億ドル(約53兆円)規模の経済対策案を事実上否決。与野党は超党派合意に向けた作業を放棄しており、11月の大統領選前の成立は困難との見方も出てきた。「財政の崖」が景気回復の足かせとなる。
トランプ政権は窮余の策として、失業給付を週400ドル積み増す大統領令を出したが、財源は災害基金からの転用で10月には資金が枯渇する可能性がある。公的支援が立て続けに失効する「財政の崖」が深まり、コロナ危機からの景気回復は下押しが避けられない。
景気回復が遅れれば、本来はトランプ大統領の再選シナリオの逆風となる。ただ、中西部の激戦州は製造業の操業再開で失業率が急低下。一方で民主党の地盤である東海岸や西海岸は、サービス業の比率が高く、失業率が高止まりする。共和党が雇用対策の拡大に慎重になり、民主党が逆に失業給付の積み増しを求める理由はそこにある。