■スイカを使用
JR東が新たに発売する「オフピーク定期券」は、ICカード「Suica(スイカ)」を使い、平日朝の混雑する時間帯は利用できない。このため、料金が1割安くなる。18日以降に発行する通常の定期券は値上げするため、同じ区間で2種類の定期運賃が混在することになる。
対象は、山手線や京浜東北線、中央線、総武線など、電車特定区間と呼ばれる利用者が特に多い1都4県の約280駅を結ぶ区間。ピーク時間帯は90分間で設定し、各駅で異なる。例えば、東京駅は午前7時半~午前9時、横浜駅は午前7時~午前8時半を設定した。
東京―横浜駅間の通勤6か月定期券はオフピークが6万2600円となり、通常よりも7750円安くなる。誤ってピーク時間帯に駅に入ると、降りる時に通常の運賃が差し引かれてしまう
■混雑5%緩和
JR東の深沢祐二社長は7日の記者会見で、「できるだけたくさんの方に利用してほしい。企業側にも(切り替えを)働きかけていく」と述べた。社員に交通費を支給する企業にとっては経費の削減が期待できる。1年後には17%程度がオフピーク定期券に切り替わるとみている。
変動運賃の導入によって、ピーク時間帯の混雑が現状よりも5%程度緩和すると見込む。ラッシュ時の運行本数や乗務員を絞ることもでき、関連する費用を減らすことができる。JR東にとっては、オフピークを割り引き、従来の定期券を値上げすることで運賃収入は変わらない。
幹部は「車両数の適正化や駅業務の見直し、変電所の削減といった固定費が削減できる」と説明する。
鉄道各社は、JR東の取り組みを注視しており、結果によっては、他社にも広がる可能性がある。