「多くの皆さんのお気持ちを形にできた。ほっとしている」。8日に霊苑を訪れた有志団体会長で、自民党参院議員の佐藤啓氏は石碑を前に率直な気持ちを述べた。
団体が昨年建立した慰霊碑の長期的な管理計画を検討する中で、メンバーが「今は誰もが安倍元首相のことを知っていても、30年後の人たちは知らないかもしれない」と設置を提案。全国の支援者から寄付も受けて設置にこぎつけ、7日から公開している。
<小泉総理の北朝鮮訪問に同行、拉致被害者五名の帰国に尽力><「美しい国、日本」をかかげ自由民主党総裁に就任>-。幅約130センチ、高さ約80センチの黒御影石の石碑には、安倍氏が平成5年衆院選で初当選してから事件で死去するまでの約30年間の主な出来事が並ぶ。限られたスペースに入れる文言はメンバーが修正を重ねた。「いずれも、安倍元首相でないと成し遂げられなかったことだ」と有志の一人は強調する。
末尾にあるのは、<以和為貴(和を以て貴しとなす)>。慰霊碑に揮毫(きごう)された「不動心」とともに安倍氏が生前、折に触れて記した言葉だ。奈良県内の支援者が色紙に書いてもらった文字をスキャンし、石碑に刻んだ。「意見の異なる世界のリーダーと手を取り合うなど、内政も外交も和を重んじた安倍元首相らしい言葉。一つ一つの字から確固たる信念が伝わってくる」