軍事転用可能として輸出が規制されている水上バイクなどをロシアに不正輸出したとして、大阪府警外事課は10日、外為法違反(無許可輸出)容疑で、貿易業「アストレード」(大阪市中央区)代表のロシア国籍の男(38)を逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。ロシアのウクライナ侵略に伴う経済制裁以降、不正輸出容疑での逮捕は全国初。府警は取引の実態について解明を進める。
捜査関係者によると、男は令和5年1月、経済産業相の許可を得ず、水上バイク4台や船舶エンジン、トレーラー、中古バイクなど約4300万円相当の物品を大阪市住之江区の南港から、韓国を経由して不正にロシアへ輸出したとしている。
ロシアのウクライナ侵略に伴い、政府はロシアへの広範な経済制裁を実施。半導体や通信機器といった軍事転用が可能な品目のほか、軽トラックやブルドーザーなど産業基盤強化に資する物品、60万円超のバイクや衣類、宝飾品なども輸出禁止の対象となっている。
昨年4月に情報提供があり、府警は同年秋に同社を家宅捜索。昨年1月に大阪から輸出されたコンテナが韓国・釜山経由で同2月、ロシア極東のウラジオストクの港に到着し、陸揚げされていたことを突き止めた。
産経新聞
靖国神社(東京都千代田区)の石柱に英語で「トイレ」と落書きされた事件で、警視庁公安部は器物損壊などの容疑で中国籍の男ら3人の逮捕状を取り、1人を逮捕した。靖国神社の敷地内ではこれまでも外国活動家らによる落書きや放火事件などが続発。近年は動画投稿サイトや交流サイト(SNS)で視聴数を稼ぐための「反日コンテンツ」として過激な投稿者らの標的になっているとみられる。
今回の事件で、中国籍の男はカメラに素顔をさらしながら、靖国神社の敷地に侵入。石柱に向かって堂々と放尿するしぐさを見せ、落書き後にポケットに両手を突っ込んで立ち去った。一部始終を収めた映像にはラップ調の音楽がかぶせられ、いたずらというより英雄的行為かのような演出が施されていた。
事件後、容疑者の男らが中国の動画投稿アプリに動画をアップすると、中国のSNS上では視聴者から「とても美しい」と称賛のコメントが寄せられた。
1972年の日中国交正常化以来、両国の歴史認識を巡る問題では、しばしば「靖国」が焦点になってきた。
「靖国神社は侵略戦争の象徴だ」。岸田文雄首相が今年4月、真榊(まさかき)と呼ばれる供物を奉納した際も、中国外務省の報道官がいつもの歴史認識を持ち出し、「軍国主義との決別」を迫った。
先の戦争の英霊が眠る戦没者追悼施設たる靖国神社について、これまでも中国外務省は「戦争を美化している」と決めつけてきた。
こうした歴史教育は、靖国神社への攻撃が「愛国的」とみなされる素地をつくり、これまでも反日活動家を誘引。さらにSNS全盛の現代において、中国では愛国的コンテンツが手堅い人気を誇っているといい、視聴数とそれに伴う収入目当てに過激な投稿者のターゲットにされるリスクが高まっているとみられる。
平成30年12月には「南京事件」への抗議活動のため靖国神社の敷地に入ったとして、警視庁公安部が中国籍の男女を逮捕。1人は参道で「南京大虐殺を忘れるな」と広東語で書かれた横断幕を広げ、位牌(いはい)のようなものを燃やした。もう1人はその様子をスマートフォンで撮影し、動画を公開していた。
産経新聞
東京都千代田区の靖国神社で石柱に落書きが見つかった器物損壊事件で、警視庁公安部は9日、器物損壊と礼拝所不敬の疑いで、中国籍の埼玉県朝霞市、職業不詳、姜卓君容疑者(29)を逮捕したと発表した。また、同容疑で、いずれも中国籍の董光明容疑者(36)と許来玉容疑者(25)の逮捕状を取り、指名手配した。
逮捕容疑は共謀の上、5月31日午後9時55分ごろから午後10時ごろまでの間、靖国神社敷地内で、神社名を刻んだ「社号標」という石柱に赤いスプレーを吹き付け、「Toilet(トイレ)」と落書きして損壊(損害見積額420万円)し、礼拝所に対して公然と不敬な行為をしたとしている。
公安部によると、董容疑者が落書きし、許容疑者がその様子を撮影。姜容疑者は2人と行動をともにし、スプレーを購入するなどしていた。董、許容疑者は5月29日に入国し、31日夜の落書き直後の6月1日未明の便で羽田空港から中国・上海に出国した。
落書きする様子は、中国の動画投稿アプリ「小紅書(レッド)」に投稿されていた。董容疑者とみられる男が「アイアンヘッド」と名乗り、石柱の台に登り、石柱に向かって放尿しているようなしぐさをした後、赤いスプレーで落書きする様子が映っていた。
産経新聞