昭恵夫人とトランプ氏が面会、親友だった安倍元首相との絆を重視 政府は行動を 岩田明子
安倍晋三元首相の妻、昭恵さんが15日(日本時間16日)、ドナルド・トランプ次期米大統領と、米南部フロリダ州の私邸「マールアラーゴ」で面会した。同席したトランプ氏の妻、メラニアさんはX(旧ツイッター)で、「安倍昭恵さんを再びマールアラーゴでお迎えでき光栄です。私たちは亡き安倍元首相をしのび、彼の素晴らしい功績をたたえました」とつづった。
トランプ氏はその後、記者会見を開き、来年1月の大統領就任前の石破茂首相との対面会談について「彼ら(日本側)が望めばあり得る」と述べた。
石破首相に先駆け、昭恵さんが会えたのは、トランプ氏が安倍元首相との絆を重視している表れだろう。それだけ、安倍元首相とトランプ氏は夫婦としても交流を深めてきた。
特筆すべきは、2019年4月26日、メラニアさんの誕生日に合わせて米ホワイトハウスで開かれた非公式の夕食会だ。「水入らずで祝いたい」というトランプ氏の招待を受けて、異例の誕生会が実現した。
夕食会では、あらゆることが話題となった。中国問題や北朝鮮情勢といった外交課題だけでなく、米大リーグなどにも話は及んだ。メラニアさんが「ハンサムで長身の人がいますよね」と言うと、安倍元首相は「大谷(翔平)選手ですね」と返した。トランプ氏が「シンゾーに勲章を与えるべきだ。こんなに素晴らしい友人はいない」と、米朝首脳会談に関して的確なアドバイスをした安倍元首相を絶賛する一幕もあった。
「ディール(取引)」を重視するトランプ氏は交渉相手の価値を厳しく見極める一方、ファミリーを大事にすることでも知られている。だからこそ、親友で好敵手でもあった安倍元首相の家族や周辺も大切にすべき存在と考えているのだろう。今回の昭恵さんだけでなく、今年4月には安倍元首相の盟友だった麻生太郎元首相との面会にも応じた。
日本周辺の安全保障環境は最近、急速に厳しさを増している。
韓国では14日、日米との連携を強めてきた尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案が国会で可決された。今後、尹氏が罷免されて、その後の大統領選で左派政権が誕生すれば、核・ミサイル開発に邁進(まいしん)する北朝鮮への抑止力という点で、大きな不安要素となる。
習近平国家主席率いる中国は先週、過去最大規模となる計100隻近くの軍艦と海警局の船を第1列島線(九州沖―沖縄―台湾―フィリピン)周辺に展開していることが判明した。
日米同盟の重要性が増すなか、トランプ氏がことあるごとに、「シンゾーはどう思う?」とアドバイスを求め、危機感を共有してきた安倍元首相はもういない。
トランプ氏は第2次政権発足を前に、精力的に各国首脳と会談を重ねている。日本政府も一刻も早く、石破首相とトランプ氏の会談を実現すべく、具体的行動を起こしてほしい。
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