ともあれ、どうすればいいんじゃあ!とすぐに泣き出す情けない殿様の話はこれにて。
きっと後世には、鎌倉幕府二代執権・北条義時の生まれ変わりみたいな南光坊天海が書かせた東照大権現の歴史が残ることでしょう。春日局が竹千代(家光)に語り聴かせた神君の事績、という体は第一話から変わらず。竹千代ちゃんにはどうも御祖父様の生涯について春日局が盛りまくったお話は退屈なご様子。ただ、春日局を扇子を持ったキツネに描いた竹千代ちゃんが、御祖父様を白ウサギに描いたのは意味深長な感が。
前半20分程は大坂夏の陣。家康公が甲冑を着なかったのは史実ですが、真田勢との対決で両手を伸ばす様はパルパティーン皇帝がフォースを使うような描写。やはり越前勢は全カットなのですね(嘆息)
秀頼公御生害、淀殿御自害の様は見事でした(史実ではあのような広間っぽいところではなく山里丸の焼け残りの蔵だったそうで、もう少し場末感があったろうなあ)。
中盤は臨終に向かう家康公の周辺。松平忠輝関連の話は全カット。北条得宗家の血を引いていそうな天海僧正のもとで歴史編纂に当たっていた中に妙齢の女性がいたのですが、まさか稲さんだったとは。
浜松で団子🍡売っていた婆さんも出ていましたが、あんた一体何歳なんだ(笑)
後半20分程は去りゆく家康公の走馬灯か。愛妻・瀬名さんと愛息・信康君が在りし日の姿で現れ、争いのない世を築いたと褒めたところで夢から覚めた体の描写。平岩らの家臣に叩き起こされたのは五徳姫が信康のもとに輿入れする当日朝。わちゃわちゃした騒動で家康が家臣一堂にからかわれるわけですが、案外その頃が家康にとって最も幸福な時だったのでしょうかね。
ラストで高層ビル群が見えたのは、このお話の世界は現代に続くという意図かな。
脚本家の古沢良太さんの意図はかいますし成功した部類だと思いますが、演出・作画の雑さや史実からの省略の不用意さは最後まで付きまとったと思います。
トルストイ『戦争と平和』の登場人物は550人以上、三国志演義の登場人物は2000人以上。どちらも最大級の長編小説ですが、無駄な登場人物がいるわけではありません。リドリー・スコットの『ナポレオン』でも同じことが言えますが、登場人物を絞ることは歴史劇では必ずしも良い結果につながるとは言えません。
さて、古沢さんに次のチャンスは与えられるのでしょうか。数字はかなり厳しいので、難しいかな。
宮藤官九郎さんと同じく、現代劇の方が生きるのでは。