マウントというより、ききょうさん(清少納言)てば同好の女子をみつけてつい舞い上がったんじゃなかろうか。推定年齢からの憶測ですが、大学1年生からすると中学3年生はマウントの対象とするには若干弱いですし。
まひろさん(紫式部)からすると思いっきりマウント取られてますけれどね。道長くんの漢詩に舞い上がっていた気分に水を差されてへそを曲げたかも。
道長くんたちの漢詩はおおよそ白氏文集に載っている漢詩が元だったので、白楽天のような詠みぶりと形容すると「貴方たち白楽天パクったでしょ」と言っているようなものになってしまいかねません。ききょうさんのように白居易の友人である元微之のような、といっておけば少し角が取れますが、ひけらかしでもあるので元輔先生が咳払いして娘を止めたのもわかるところです。
ちなみに、Xでの識者の方によれば公任さんだけ自作詩とのこと。流石は大納言公任。
なお第6話(寛和元年、985年)時点ですと
清原元輔 77歳
(藤原兼家56歳)
藤原為時 36歳
藤原道隆 32歳
藤原道長 19歳
ききょう 19歳 ※清少納言
まひろ 14歳 ※紫式部
(いずれも満年齢、Wikipediaより)
俳優さんの配役の都合で、こうした年齢差がいまいち分かりづらいのが現代ドラマの難点でしょうか(可能なら『おしん』のように、丁寧に子役・大人役・老け役を使い分けてほしいなと)。為時父さんからすると、元輔先生は学部生〜博士課程時代に講義を取っていた教授みたいなものです。
ちなみに今回の関係者を無理やり現代に例えると(リアルな業界事情とはズレると思いますのでご寛恕のほど):
清原元輔さん:慶応あたりの有名教授で現在は名誉教授、そこそこ実入りの良い副業があってお金にはさほど困っていない。還暦近くになって生まれた末娘を溺愛。なお、後年頭髪を娘のエッセイでネタにされた模様
藤原為時さん:博士課程を出たけれどクソ生意気と見られて干されっ放しな万年助教、次期首相と目される大物政治家(兼家さん)に泣きつきその推薦で皇太子殿下の家庭教師をしていた。皇太子殿下(花山天皇)の即位をきっかけに宮内庁に出向したばかり。息子の出来が悪いのが悩みで、「お前が男だったら」と優秀過ぎる長女をその悩みに巻き込んでいる
ききょうさん:自分のハゲ頭で笑いを取れるひょうきん者の、おじいちゃんみたいな年齢の父親に末娘として溺愛された陽気な女子大生(なお高1の頃、幼なじみの婚約者と結婚。すぐに生まれた3歳の娘あり、育児はベビーシッター任せ※)。将来、宮内庁勤務時代の思い出を綴ったエッセイが大ベストセラーになるらしい
※令和6年初頭時点なら、レアケースで成立しうる話
まひろさん:全然うだつの上がらない大学の助教な父親に、出来の悪い弟と比較して事あるごとに「お前が男だったらよかったのに」と言われて育った内向的な女子中学生。成人男性のペンネームで同人活動してお小遣い稼ぎしていたりする。後に世界文学史に名を残す長編恋愛小説を執筆するらしい
今回の漢詩の会:次期首相の息子で将来の首相確実な若手政治家(道隆さん)が主催する「趣味の催し」、出席者はいずれもSラン大学在学中で中央省庁にインターンとして出入りしている有望株のイケメン男子。この会での元輔先生と為時父さんは、趣味の催しのコメンテーターとして声のかかった慶応の名誉教授と東大の助教という立場
後に紫式部は『紫式部日記』で清少納言に「得意げに知識をひけらかしているが書いている文字は間違いばかりで大したことない、こんな女は畳の上じゃ死ねないよね(超訳)」等々と筆誅を加えますが、そのきっかけの一つはこの会にあった……なんてことはないか。
それにしても、百人一首にその和歌が採録された人物の多いこと多いこと……
現在までに登場した人物だけでも
清原元輔
清少納言(ききょう)
赤染衛門
右大将道綱母
儀同三司母(道隆の妻)
大納言公任
紫式部(まひろ)
この他、大弐三位(まひろさんと宣孝さんの娘)は確実に出演予定。他にも出演しそうな人物が数人。
それにしても、合戦抜きで大河ドラマとは冒険だなあと思っていましたが、丁寧な映像作りと『源氏物語』をよく踏まえた台本で今のところ?なシーンはほとんどなし。私の中では、『鎌倉殿の13人』に並ぶか超えるかするかもしれません。