砂 電 車 の 冒 険 ( 1-7)
必死で吠え、叫ぶ、チロの様子を見ていると、海人君はチロがいじらしくなってきました。
「パパ、チロも連れて行こうよ!」
海人君が懇願するように、陽朗さんと砂千子さんの顔をのぞきこむように見つめると
「そうだな~。 チロだけ残しておくのもかわいそうだ、連れて行こうか?」
陽朗さんは車庫に置いてあった段ボール箱にチロを入れると、最後部の荷台に乗せました。
「出発するよ!みんな車に乗って」
陽朗さんのかけ声で、大海さん一家はエステマに乗り込みシートベルトを締めました。
運転手は陽朗さん。ナビゲーターは海人君、後部座席には砂千子さんと奈美ちゃん、そしてチャイルドシートに渚君が座りました。
陽朗さんはみんなのシートベルトを確認すると、海人君に指示を出します。
「海人、左側を見て!」
「左、OK」
海人君が答えます。
「右よし、左よし」
陽朗さんが左右の確認をしアクセルを踏み込むと、大海さん一家を乗せたエステマは白兎海岸に向け静かに走り出しました。
エステマは左手の日本海の青い海を眺めながら順調に進み、北条砂丘へとさしかかりました。
「パパ、今何時?」
海人君がたずねました。
「もうすぐ9時30分になるよ!」
「あ!風車が見える」
奈美ちゃんが叫びました。
しだいに近づくと、風車は三枚の大きな羽を空に向かって広げ、そそり立つように並んでいます。
「お兄ちゃん、何機あるか数えてみようよ」
海人君と奈美ちゃんは、エステマの横を流れていく風車を数えはじめました。
「いち、にい、さん、・・・・・きゅう」
「ママ、9機もあったよ!」
奈美ちゃんがうれしそうに後ろを振り返って眺めていると、風車はしだいに小さくなり、エステマは山陰道の急な上り坂へとさしかかりました。
高台から眺める日本海はコバルトブルーに輝き、無限の波の粒が白波となり、まぶしく浜辺に押し寄せていました。
作 嵯峨風流 絵 高那ひつじ
必死で吠え、叫ぶ、チロの様子を見ていると、海人君はチロがいじらしくなってきました。
「パパ、チロも連れて行こうよ!」
海人君が懇願するように、陽朗さんと砂千子さんの顔をのぞきこむように見つめると
「そうだな~。 チロだけ残しておくのもかわいそうだ、連れて行こうか?」
陽朗さんは車庫に置いてあった段ボール箱にチロを入れると、最後部の荷台に乗せました。
「出発するよ!みんな車に乗って」
陽朗さんのかけ声で、大海さん一家はエステマに乗り込みシートベルトを締めました。
運転手は陽朗さん。ナビゲーターは海人君、後部座席には砂千子さんと奈美ちゃん、そしてチャイルドシートに渚君が座りました。
陽朗さんはみんなのシートベルトを確認すると、海人君に指示を出します。
「海人、左側を見て!」
「左、OK」
海人君が答えます。
「右よし、左よし」
陽朗さんが左右の確認をしアクセルを踏み込むと、大海さん一家を乗せたエステマは白兎海岸に向け静かに走り出しました。
エステマは左手の日本海の青い海を眺めながら順調に進み、北条砂丘へとさしかかりました。
「パパ、今何時?」
海人君がたずねました。
「もうすぐ9時30分になるよ!」
「あ!風車が見える」
奈美ちゃんが叫びました。
しだいに近づくと、風車は三枚の大きな羽を空に向かって広げ、そそり立つように並んでいます。
「お兄ちゃん、何機あるか数えてみようよ」
海人君と奈美ちゃんは、エステマの横を流れていく風車を数えはじめました。
「いち、にい、さん、・・・・・きゅう」
「ママ、9機もあったよ!」
奈美ちゃんがうれしそうに後ろを振り返って眺めていると、風車はしだいに小さくなり、エステマは山陰道の急な上り坂へとさしかかりました。
高台から眺める日本海はコバルトブルーに輝き、無限の波の粒が白波となり、まぶしく浜辺に押し寄せていました。
作 嵯峨風流 絵 高那ひつじ