砂 電 車 の 冒 険 ( 2-9)
砂電車の屋根に載せた太陽電池パネルには夏を思わせるような強い日差しが降り注ぎ、砂電車は心地よい潮風を受けながら走っていきます。
「お兄ちゃん、もっと早く、早く!」
渚君は窓越しに次々と流れていく景色を眺めながらはしゃいでいます。
遠くに“ぽっかり”浮かんだ鬼が島の岩肌では、数百羽ものウミネコが白いかたまりとなって蝶のように飛び交い、まるで浮雲のように見えます。
奈美ちゃんは浜辺に寄せては返す白波を食い入るように眺めています。
やがて右前方の高台に松林が見え始めました。
その時、床に座っていたチロが
「クンクン、クンクン」
鼻を床にこすりながら落ち着きなく動き回りはじめました。
奈美ちゃんが優しくチロの頭を撫でてやりましが治まりません。
「お兄ちゃん、チロ“おしっこ”みたいよ、早く停めて!」
海人君がブレーキレバーを“ゆっくり”引きながら砂電車を松林の麓に停め運転席のドアーを開けると、チロは待ちきれない様子で飛び降り松林に向かって走り出しました。
松林についたチロは片足をもたげ“ジャー”一気に“おしっこ”をすると、後ろ足で砂をかけ臭いをかいでいます。
「チロ、おいで!」
ようやく松林について奈美ちゃんが声をかけると、チロはうれしそうにしっぽを振りながらかけ寄ってきました。
「ここで少し休もう!」
三人は海に向かって松林の高台に腰をおろしました。
海人君が“ぼんやり”水平線を眺めていると、陽朗さんと砂千子さんの姿が蜃気楼のように浮かんできました。
「海人、砂電車での砂丘への旅、楽しそうだな~、パパも行きたかったよ!」
「奈美と渚、お願いね。あまり遠くまで行かないで早く帰っておいで!」
陽朗さんと砂千子さんは海人君に“ニッコリ”微笑むと、また蜃気楼のように海の彼方に消えてしまいました。
「パパ!ママ!」
大声で叫びそうになるのを、唇をかみしめ我慢している海人君の目に、急に涙がこみ上げてきました。
砂電車の屋根に載せた太陽電池パネルには夏を思わせるような強い日差しが降り注ぎ、砂電車は心地よい潮風を受けながら走っていきます。
「お兄ちゃん、もっと早く、早く!」
渚君は窓越しに次々と流れていく景色を眺めながらはしゃいでいます。
遠くに“ぽっかり”浮かんだ鬼が島の岩肌では、数百羽ものウミネコが白いかたまりとなって蝶のように飛び交い、まるで浮雲のように見えます。
奈美ちゃんは浜辺に寄せては返す白波を食い入るように眺めています。
やがて右前方の高台に松林が見え始めました。
その時、床に座っていたチロが
「クンクン、クンクン」
鼻を床にこすりながら落ち着きなく動き回りはじめました。
奈美ちゃんが優しくチロの頭を撫でてやりましが治まりません。
「お兄ちゃん、チロ“おしっこ”みたいよ、早く停めて!」
海人君がブレーキレバーを“ゆっくり”引きながら砂電車を松林の麓に停め運転席のドアーを開けると、チロは待ちきれない様子で飛び降り松林に向かって走り出しました。
松林についたチロは片足をもたげ“ジャー”一気に“おしっこ”をすると、後ろ足で砂をかけ臭いをかいでいます。
「チロ、おいで!」
ようやく松林について奈美ちゃんが声をかけると、チロはうれしそうにしっぽを振りながらかけ寄ってきました。
「ここで少し休もう!」
三人は海に向かって松林の高台に腰をおろしました。
海人君が“ぼんやり”水平線を眺めていると、陽朗さんと砂千子さんの姿が蜃気楼のように浮かんできました。
「海人、砂電車での砂丘への旅、楽しそうだな~、パパも行きたかったよ!」
「奈美と渚、お願いね。あまり遠くまで行かないで早く帰っておいで!」
陽朗さんと砂千子さんは海人君に“ニッコリ”微笑むと、また蜃気楼のように海の彼方に消えてしまいました。
「パパ!ママ!」
大声で叫びそうになるのを、唇をかみしめ我慢している海人君の目に、急に涙がこみ上げてきました。