たわいもない話

かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂

雲雀のさえずり 1-3

2008年09月30日 17時13分51秒 | 朝の散歩
【 ふるさとは 時代の波に 乗り遅れ 若者みえぬ 古き町並 】

海人との会話

沖合いに小舟が一隻、舟のまわりに3・4個の桶が浮かんでいるのが見えた。
「あの舟のとこ~まで、どれくらいあ~だかな!」
「う~ん!1キロくらいあ~へんだ~か?」
そう言うと海人さんは、4~5種類の薬を口に入れた。
「なに獲っちょう~な~だかな?」
「サザエかアワビを獲っちょうへんだ~か?」
「あの辺にな~と、だーぶ深いだら~なぁ~」
「15ひろくらいは、あ~とも~ぜ!」
「15ひろ言うと、20mから25mくら~いかな?」
「それくら~は、あ~だらな!」
沖を見ながら海人は、少し寂しそうな表情を見せた。

(次に続く)
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雲雀のさえずり 1-2

2008年09月28日 12時29分11秒 | 朝の散歩
【雨雲を 突き抜け昇る 天空は 湧き出す雲の あおき海原 】

海人との会話

海は穏やかで波はまったくありません。
この海人さん、年の頃なら70歳前後か?
細身の体で身長は170cmくらい、眉がみょうに太いのが印象的である。
最近話題の、メタボなどまったく関係なさそうな体つき。
「わすも歳とって、体のあつこつが悪んなっていけんわ!」
「いいつも海い、はいちょうな~だけん、そげ~に悪いとこ~は、あ~へんだ~が?」
「そげなことはないわな、毎週病院に通っちょうだぜ!」
そう言うと軽トラックの運転席から、薬の入った白い袋を取り出した。

(次に続く)
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雲雀のさえずり 1-1

2008年09月26日 11時53分03秒 | 朝の散歩
【 荒畑に 鍬打いれし 雑草の 太き根がいで 立ち往生 】

海人との会話

太陽の光が海に映り眩しく光る朝。
いつものように浜辺を散歩していると、顔見知りの海人さんに出会った。
「今朝は、えらいおそいだ~ないかな」
「うん、この頃はアワビもサザエも獲れんけん商売にならん! 道楽で潜ちょうやなもんだ!」

「あの先に桶が浮かんじょうが、あすこまでどのくらいあ~だ!」
「ん~ おおかた300mくらいはあ~ぜ」
「深さはどれくらいあ~かな?」
「十ひろはあ~わな」
「十ひろ言うと15mくらいかな?」
「うん、それくらいだな」
「あんな沖は、若いもんだないと潜れんわな!」
「わしも若いころは、もっと沖まで潜ったもんだぁ~もん、今は四五ひろがやっとだわ!」

「昔すはサザエでもアワビでも、何でもよけい獲れたもんだ~もん、今はいけーへんわ!」

(次に続く)
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